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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★潜水艦海難に思う、切断ケーブルはいずこ?★』[2009年06月24日(水)]
6月17日正午過ぎ、青森県・東通村の尻屋崎の東約28キロの太平洋上で、海上自衛隊の潜水艦“おやしお(2,750排水トン)”が、調査船”資源(10,395総トン)が曳航中のケーブルに接触し、これを切断した事故の続報です。

“資源”は日本国政府が所有する三次元物理探査船で、経済産業省・資源エネルギー庁が所管しています。事故当時、同船は三陸沖での海底資源調査のため、受信機を装備した直径6センチ、長さ4,800メートルのケーブル10本を曳航中でした。

“おやしお”はこのうち7本のケーブルを切断、うち3本は現場海域で回収されたものの、残り4本(いずれも全長の一部)は漂流を開始しました。

海上保安庁は航行警報を発し、付近船舶に注意を呼びかけるとともに、巡視船等による捜索を行なってきました。その他、海上自衛艦1隻、航空機3機、経済産業省がチャーターした警戒船4隻も捜索にあたってきました。

しかしながら、発見には至らず、海上保安庁については6月20日をもって、また、海上自衛隊については6月22日をもって、いずれも専従捜索を終了しています。

今のところ、同切断ケーブルの漂流に伴う、航行船舶への被害は報告されていません。航行警報も削除されているようですが、付近航行船は念のため、注意するに越したことはないようです。

金華山沖には長さ約8メートルのクジラの死骸も漂流しているようですので、併せて注意が必要です。まさか、ケーブルがからまった死骸ではないとは思いますが・・・。



『★潜水艦海難に思う、隊歌を思い返せば?★』[2009年06月19日(金)]
6月17日正午過ぎ、青森県・東通村の尻屋崎の東約28キロの太平洋上で、海上自衛隊の潜水艦“おやしお(2,750排水トン)”が、調査船”資源(10,395総トン)が曳航中のケーブルに接触し、これを切断した事故の続報です。

お伝えしたとおり、“資源”は日本国政府が所有する三次元物理探査船で、事故当時、三陸沖での海底資源調査のため、受信機を装備した直径6センチ、長さ4,800メートルのケーブル10本を曳航中でした。

当初、“おやしお”との接触により、うち6本が切断したと伝えられていましたが、その後の調査で切断されたのは7本であったことが判明しました。

7本のうち2本は現場海域で既に発見されたようですが、残り5本は発見されていません。海上保安庁は航行警報を発し、付近船舶に注意を呼びかけるとともに、巡視船等による捜索を行なっているとのことです

第二管区海上保安本部(宮城県・塩釜)の発表によると、“おやしお”の艦長は事情聴取に対し、「(事故当時、船体に)異音を連続して感じた。」と話したそうです。また、“おやしお”の艦橋付近には、接触の証拠となる数カ所の擦過跡が確認されたとのことです。

また、“資源”を所管する経済産業省資源エネルギー庁によると、“資源”は切断後に回収したケーブルや予備ケーブルによって補修作業を行い、調査を再開する予定とのことです。

さらに、今回の探査に関し、当初予定した7月4日までには終了せず、ずれこむ可能性も示唆したそうです。なお、同庁はケーブルの被害額の算定を始めたとのことです。

資源エネルギー庁の担当課はたしか石油・天然ガス課のはずです。同課のH課長とは昨年末、北海道での講演でご一緒しました。課員の皆さんともども対応に追われ、さぞやご多忙のこととお察し申し上げます。

以前にもブログに書いたのですが、私が “船乗り”の道を歩み、現在の職に就いたのは、少年時代に海上自衛隊の体験入隊イベントに参加したことがきっかけです。私は古きよき時代の海上自衛隊の“ファン”なのです。

体験入隊を通じ、私は海上自衛官からさまざまなことを学びました。海の“掟(おきて)”や“交通ルール”、さらに、“シーマンシップ”の何たるかなどです。当時の海上自衛隊の隊歌は今でも覚えています。

男と生まれ、海を行く、
若い命の血は燃える、
かおれ桜よ、黒潮に、
備え揺るがぬ旗じるし、
おお、選ばれた自衛隊、
海を守る我ら

昨日のブログで私は、「海上自衛隊は初心に立ち返り、“船乗り教育”の改善を行なわなければならない。いや、“あたご”海難を教訓とし、すでに改善されていなければならない。」と述べました。この歌詞を思い返せば、私の伝えたい真意をお分かりいただけるかと思うのですが。



『★潜水艦を“絡み取る”最新兵器?★』[2009年06月18日(木)]
昨日(6月17日)の昼、12時12分ごろ、青森県・東通村の尻屋崎の東約28キロの太平洋上で、海上自衛隊の潜水艦“おやしお(2,750排水トン)”と、調査船”資源(10,395総トン)が曳航するケーブルとが接触、同ケーブルが切断されるという事故が発生しました。

第二管区海上保安本部(宮城県・塩釜)によると、双方の乗組員にけがはなく、また、両船に船体損傷もないとのことです。

“資源”は経済産業省・資源エネルギー庁の委託を受け、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧 石油公団)が運航していました。

同船は石油・天然ガスやメタンハイドレートなど、海域における資源探査を目的に、2008年2月に就航した、世界最先端の装備を有する三次元物理探査船で、日本国政府の所有船、すなわち公船です。

事故当時“資源”は、三陸沖での海底資源調査のため、受信機を装備した直径6センチ、長さ4,800メートルのケーブル10本を曳航中で、“おやしお”との接触により、うち6本が切断したとのことです。

一方、海上自衛隊の説明によると、“おやしお”は事故当時、潜望鏡を出した状態で航行し、“資源”の存在については認識していたものの、ケーブルの存在について認識していたかについては調査中とのことです。また、切断されたケーブルのうち1本(約200メートル)は、“おやしお”の艦橋に絡まっていたとのことです。

なお、“おやしお”は本年1月10日にも、鹿児島県の錦江湾内での性能試験中、漁船と接触事故を起こしています。

今回のケーブル切断事故、どちらに原因があるか確定はされていませんが、今年に入り2件の海難が続いた点も含め、“おやしお”側が形勢不利なのは間違いないところです。

当然、“資源”の曳航作業に関する情報は、海上自衛隊ばかりか、一般商船などにも開示されているはずです。

確認してみました。「水路通報21年356項、本州東岸・尻屋埼東南東方、測量作業・えい航電線調整作業、期間平成21年7月5日まで、区域・・・」とちゃんと出ています。

「調査船“資源”は水路測量時、白紅白旗掲揚。調査船は船尾から長さ約4,800mの電線10本をえい航する。電線末尾を白色灯付浮標で表示。警戒船配備。」と、中学生レベルの読解力があれば理解できるはずです。

これ以外にも様々な媒体で情報は入ってきていたはずです。航海当直者はこれらの情報に常に細心の注意を払っています。

曳航索を伸ばしている操縦性能制限船は、法律の規定に従い、時間的にも距離的にも十分な余裕を確保し、確実に回避しなければなりません。海の世界の常識です。“おやしお”は最善を尽くしていといえるのでしょうか。

イージス艦“あたご”の海難に関するブログでもさんざん書いたのですが、海上自衛隊は初心に立ち返り、“船乗り教育”の改善を行なわなければならないのです。いや、“あたご”海難を教訓とし、すでに改善されていなければならないのです。

“あたご”の海難審判では海上自衛隊に対し、勧告が言い渡されました。すなわち、海上自衛隊という組織全体をとらえ、海難の再発防止を目的とした安全管理体制の充実や、再教育の徹底などを求めた勧告が言い渡されたのでした。

すなわち、“あたご”海難の発生を、海上自衛隊にとって特異な事例とするのではなく、組織全体に跨るずさんな航行安全の実態が表面化した事例ととらえ、組織としての再発防止に取り組む必要性を認定したのでした。

今回の“おやしお”の事故を見て、我々関係者は怒りを通り越し、ただただ唖然とするばかりです。この組織の海技力を常識レベルに持ち上げるためには、一体どうしたら良いのでしょうか。困ったことです。

そうは言っても、互いに日本政府の公船、民間船が被害を蒙ったわけではありません。それだけでもせめてもの救いです。

もっとも、ケーブルの被害は国民の税金で補われるわけですから、まったく無関係というわけでもありません。また、切断したケーブルは現在、付近海域を漂流中と思われ、二次災害の危険が無いとも断言できません。

なお、第一世界大戦や第二次世界大戦の際、海峡や湾内への潜水艦の侵入を防ぐため、対潜網と呼ばれる鋼製のネットや、ワイヤーなどを使用したと聞いたことがあります。

そうすると、“おやしお”は今回の事故を見る限り、なにも21世紀のハイテク対潜兵器を駆使するまでもなく、第一次世界大戦当時の工夫で、簡単に“絡み取られてしまう”ということなのでしょうか。安全保障上、こちらの方も心配になってきました。



『★ロシアの原潜事故に思う、意思疎通の欠落?★』[2008年11月10日(月)]
今日は朝から会社の健康診断、駆け足で戻ってきたのですが、メールチェック等に手間取り、本ブログの更新は大幅に遅れてしまいました。

週末の海の事件と言えば、やはり、ロシアの原潜での事故に尽きます。報道によれば、日本海を試運転のため航行していたロシア太平洋艦隊所属の原子力潜水艦で一昨日(11月8日)、消火装置の誤作動のためフロンガスが噴出、居合わせた乗組員や造船所関係者ら20人が死亡、22人が負傷したとのことです。

事故を起こした原潜は、アクラ級の“ネルパ”という新造艦で、同艦は本年10月末から、軍人81人のほか造船所関係者ら民間人を含む総勢208人が乗り込み、試運転を行なっていた最中の事故だったようです。

なお、一部の報道は、事故の原因について、ロシア軍関係者の話として、造船所関係者のミス・ハンドリングがあったと伝えています。

ロシアの原潜による大事故は、2000年8月にバレンツ海で発生した“クルスク”の沈没事故(118人死亡)以来、8年ぶりのことです。

今回の事故は、造船所からロシア海軍への引渡し前、試運転中に起こったものです。私にも経験がありますが、新造船の試運転に際しては、乗組員以外、多くの造船諸関係者が便乗します。

この段階では、新造船の所有権は造船所側にあります。そのため、指揮命令系統が必ずしも明確ではなく、また、造船所の社員はもとより、関連会社や機器メーカーのエンジニアなど、普段互いに顔馴染みではない者も多数集まるため、コミュニケーション形成や意思疎通などに支障がないとは言い切れません。

商船の場合、綿密なスケジュールに従い、一泊二日程度で淡々と終わってしまうのですが、最新鋭の原潜ともなると、相当の日数を要するようです。

商船のように短期間では問題にならない、コミュニケーション形成や意思疎通の欠落も、長期となると、今回のような大事故に発展することもあるという教訓となりました。



『★頭上注意! あさしお海難の審判開始』[2007年03月30日(金)]

昨年11月21日、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の練習潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故で、昨日(3月29日)門司地方海難審判理事所(北九州市)は、門司地方海難審判庁に対し、海難審判の開始を申し立てました。

この海難の場合も、昨日お伝えした鹿島での連続座礁海難や、一昨日お伝えした根室沖でのコンテナ船と漁船との衝突海難と同様、受審人(通常の裁判の被告人に相当)は存在しません。

すなわち、指定海難関係人(海難の原因に関係があり、かつ、これに対し勧告をする必要があると認めた者)として、“あさしお”のS元艦長(46)が指定されたのです。

自衛艦の操船資格は、一般の操船資格に係る国内法の枠組みから除外されています。自衛隊独自の資格制度のよって運営されているのです。すなわち、自衛艦の操船には通常の海技免状を必要としません。また、海上保安庁や商船からの“転職組”など、特別な事例を除き、通常の海技免状を保有していません。つまり、受審人にはなり得ないのです。

すでに、本海難に関しては、第十管区海上保安本部(鹿児島市)が、「“あさしお”のS艦長の判断ミスが原因である可能性が高い。」として、同艦長を業務上過失往来危険容疑で、宮崎地方検察庁に書類送検しています。

さて、この事件ですが、当初、事故の原因は、「“マスキング”と呼ばれる特殊な現象が起こったためだ。」と発表され、それを聞いた多くの皆さんが納得しかけました。

“マスキング”とは、潜水艦の上方を2隻の船舶がすれ違って航行する際、潜水艦から遠ざかってゆく船のスクリュー音が、近づいてくる船のスクリュー音を、封じてしまう現象のことを言います。

潜行中の潜水艦は、上方の船舶のスクリュー音を、船首部のソナー(水中音波探知機)によって探知します。探知した音に基づく上方状況の分析は、“水測員”と呼ばれるソナー要員に委ねられています。

ソナー要員は、自身の聴力だけが頼りです。日頃から、自身の耳をまるで野生動物のごとく研ぎ澄まし、鍛錬することに命を掛けています。自身の聴力の維持・向上に関する取り組みは、生半可ではないのです。

したがって、熟練のソナー要員は、通常、2隻の船舶による“マスキング”はおろか、さらに複数の船舶による“マスキング”に対しても、容易に対応できる能力を有しているはずです。彼らは、“聴力”こそ命のスペシャリストであるからです。

このように、今回の事件、当初はソナー要員の技能の否定にもつながる、“マスキング”という一言で片付けられようとしました。しかし、どうやら、状況は若干違っていたようです。

“あさしお”が浮上する際、ソナー要員は、マスキングをものともせず、事前に“スプリング・オースター号”の存在を見抜いていたのです。

彼はすぐに、艦長に報告しました。しかし、指揮官である彼は、ソナー要員の正しい報告を、逆にマスキングが彼を惑わしているものと誤解し、そのまま浮上を続けるよう指示していたとのことです。

これが事実であるとすれば、今回の事件の原因は、間違いなく艦長の人的ミスです。我が国の海上防衛能力上、欠けていたのは、ソナー要員の技術力ではなく、指揮官の判断能力や部下に対する信頼であったこととなります。事件の概要を振り返ってみましょう。

昨年11月20日朝、“あさしお(排水量2,900トン/A艦長ほか75人乗り組み)”は、訓練航海のため母港である広島県呉港を出航し、長崎県佐世保港に向かいました。

“あさしお”は豊後水道を南下した後、翌21日07時30分頃、日向灘において潜航訓練を実施しました。すなわち、深度40メートルまで一旦潜行し、その深度のまましばらく航行を続けていたのです。

そして、この訓練を終え、潜望鏡が使用可能な深度まで浮上することとしました。浮上にあたっては、船首部のソナーによって、あらかじめ全周囲の安全を確認する必要があります。

09時46分、水測員からの報告で航行中の“スプリング・オースター”を探知したことを知りました。その後も、水測員から同船が接近している旨の報告が行われていました。

しかし、練習潜水艦である“あさしお”には、訓練以外に重要な使命を担っていました。すなわち、乗組員に対する教育です。

A艦長は水測員からの報告を耳にしたものの、船務長と呼ばれる部下の教育にすっかり気を奪われ、その報告の重要性に対する認識がすっかり抜け落ちていました。


“あさしお”は接近する“スプリング・オースター”の進路を避けることなく、同じ針路及び速力で漫然と浮上を続けたところ、09時49分前、このままでは最悪の事態に至ることに初めて気付きました。

A艦長は急速潜航と針路変更を指示しましたが時既に遅く、09時49分、北緯31度36.6分東経131度56.0分の公海上において“スプリング・オースター”と衝突しました。

この衝突の結果、“あさしお”は舵を損傷し、また、“スプリング・オースター”は船底中央部に破口を伴う凹損を生じましたが、二重底構造であったため、積荷であるケミカルの流出には至りませんでした。また、幸いなことに、双方の乗組員ともに無事でした。

今回の事件の原因は、間違いなくA艦長の人的ミスだと思います。我が国の海上防衛能力上、欠けていたのは、ソナー要員の技術力ではなく、指揮官の判断能力や部下に対する信頼であったことがわかるかと思います。



『部下への信頼の欠如? 潜水艦が接触事故!(第五報)』[2006年12月04日(月)]
11月21日、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故の第五報をお伝えします。

調査を進めていた第十管区海上保安本部(鹿児島市)は、事故の原因を“あさしお”のS艦長の判断ミスである可能性が高いとして、同艦長を業務上過失往来危険容疑で、宮崎地方検察庁に書類送検する方針を固めました。

当初、事故の原因は、“マスキング”と呼ばれる特殊な現象が起こったためだと、報道されていました。

“マスキング”とは、潜水艦の上方を2隻の船舶がすれ違って航行する際、潜水艦から遠ざかってゆく船のスクリュー音が、近づいてくる船のスクリュー音を、封じてしまう現象のことを言います。

潜行中の潜水艦は、上方の船舶のスクリュー音を、ソナー(水中音波探知機)によって探知します。

探知した音に基づく上方状況の分析は、“水測員”と呼ばれるソナー要員に委ねられています。

ソナー要員は、自身の聴力だけが頼りです。日頃から、自身の耳をまるで野生動物のごとく研ぎ澄まし、鍛錬することに命を掛けています。自身の聴力の維持・向上に関する取り組みは、生半可ではないはずです。

したがって、熟練のソナー要員は、通常、2隻の船舶による“マスキング”はおろか、さらに複数の船舶による“マスキング”に対しても、容易に対応できる能力を有しているはずです。彼らは、“聴力”こそ命のスペシャリストであるからです。

そのため、私は今回の事故を通じ、我が国の海上防衛能力に対し、大いなる不審感を抱いていました。しかし、どうやら、状況は若干違っていたようです。

“あさしお”が浮上する際、ソナー要員は、マスキングをものともせず、事前に“スプリング・オースター号”の存在を見抜いていたのです。

彼はすぐに、艦長に報告しました。しかし、指揮官である彼は、ソナー要員の正しい報告を、逆にマスキングが彼を惑わしているものと誤解し、そのまま浮上を続けるよう指示していたとのことです。

これが事実であるとすれば、今回の事件の原因は、間違いなく艦長の人的ミスです。我が国の海上防衛能力上、欠けていたのは、ソナー要員の技術力ではなく、指揮官の判断能力や部下に対する信頼であったこととなります。

その改善策は、技術力の問題より、むしろ複雑かもしれません。

最後に、私の今までの記事ですが、雑多であったものを、カテゴリー別に整理してみました。検索しやすくなったかと思います。


                   もうすぐ、クリスマスです。
『夢の又夢? 潜水艦が接触事故!(第四報)』[2006年11月24日(金)]

11月21日、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故の第四報をお伝えします。

油津海上保安部は、一昨日、油津港沖に停泊中の“あさしお”に対し、実況見分を行なうとともに、業務上過失往来危険罪の容疑で、艦長らの事情聴取を行ないました。

なお、艦長らに対しては、海上保安庁の取調べの後、防衛庁が派遣した調査委員会のメンバーによる事情聴取が行なわれた模様です。

一方、志布志港内に緊急入域した“スプリング・オースター号”に対しては、志布志海上保安署などによる実況見分が行なわれるとともに、同号の乗組員から、当時の詳しい事情について聴取が行なわれました。

また、接触の結果、同号の船底部に生じた破孔に関し、潜水士による調査や、船級協会による耐航性の確認検査などが行なわれた模様です。

事故の原因に関し、今のところ詳しい発表はされていませんが、人的ミス及び機器の不調の二点に絞られ、取調べが行なわれているものと思料されます。

各報道も、事故原因が公表されない現時点にあっては、前回、私がブログで主張したのと同様、海自の防衛能力の“おそまつさ”を嘆く論調に変わってきています。

軍用潜水艦が、衝突直前まで、頭上を無防備に航行する民間船のスクリュー音を探知できないなど、先進国では到底考えられないことです。

事故原因の追究や再発防止対策もさることながら 今回の事件を警鐘と捉え、我が国の防衛能力の弱点を徹底的に検証し、是正してもらいたいものです。

なお、海自は今年9月、青森県むつ市で、隊員が装填弾の確認を怠る人的ミスにより、付近の民有地等に機関砲を誤射するという、前代未聞のとんでもない事件を起こしたばかりのはずです。あの教訓はどのように生かされたのでしょうか。

防衛庁の省への格上げ問題を論じる前に、やるべきことがありそうな気がします。 

なお、私も以前書いたとおり、今回の事件、ハワイ沖で発生した、あの“えひめ丸”の悲劇を彷彿させる事故でした。各報道機関も、その点を取り上げています。

しかし、忘れてはならないことがあります。“えひめ丸”の事件は、潜水艦の緊急浮上訓練(同乗していた民間人向けのパフォーマンスと言ったほうが適切かもしれません。)中の事故なのです。

一方、今回の“あさしお”の事件は、通常の浮上訓練中の事故なのです。緊急浮上と通常浮上では、技術レベルに関し圧倒的な差があるのです。

そもそも、通常浮上で事故を起こすような技量では、緊急浮上など“夢の又夢”なのではないでしょうか。

『大丈夫なのか? 日本の防衛能力、潜水艦が接触事故!(第三報)』[2006年11月22日(水)]
昨日(21日)、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故の第三報をお伝えします。

海上幕僚長は記者会見で、 「人的被害が無く、ほっとしている。一歩間違えると大惨事だった。」と述べ、併せて再発防止策を徹底する旨を強調しました。

既に、海上幕僚監部は、調査チームを現地に派遣し、事故原因の究明に乗り出したとのことです。

各報道の論調は、「なぜ、“あさしお”が、直前まで“スプリング・オースター号”に気が付かなかったのか。」という点に、絞られているようです。

報道によれば、「“あさしお”は今回浮上する際、周辺を航行する1隻の船のスクリュー音を、ソナー(水中音波探知機)によって確認した。そのため、当該音が通り過ぎるのを待ち、(安全だと判断し)浮上を開始した。しかし、海面付近に達した時、又、別のスクリュー音を探知、(危険と判断し、)再度潜航しようとしたが、間に合わず接触した。」と言うことです。

つまり、「最初の船のスクリュー音は探知したが、次の“スプリング・オースター号”のスクリュー音は直前まで探知できなかった。」と言うことのようです。

確認が遅れた理由として各報道は、「同艦は船齢が古い旧式艦であること」、「かつて、全長の増加を伴うを船体改造が施されたこと」、「水中音波探知要員の能力に格差が生じている可能性があること」、「海水温度の急激な変化など、ソナーの探知能力を損なう自然現象が生じた可能性があること」などを挙げています。

原因に関しては、今後の調査で明らかになると思いますが、現時点では、探知要員の能力格差あたり、すなわち、人的要因がもっとも怪しいような気がします。

なお、報道はあまり触れていないようですが、今回の事件により、我が国の海上防衛能力に不審を抱いたのは私だけなのでしょうか。

もし、訓練ではなく、実戦であったならば、浮上する前の時点で、“あさしお”は駆逐艦の餌食となります。中国などは、どのような視点で今回の事件を見ているのか、大いに興味がわきます。


『ケミカルタンカーならではの幸運? 潜水艦が接触事故!(第二報)』[2006年11月21日(火)]
本日(21日)午前、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍の貨物船“スプリング・オースター号”と接触した事故の第二報をお伝えします。

接触された“スプリング・オースター号”は、バラストタンクに若干の浸水が認められるものの、航行には支障は無く、鹿児島県の志布志に緊急入港すると伝えられています。

なお、その後の調べで、接触された貨物船“スプリング・オ−スター号”は、ケミカルタンカーであることが判明しました。

このサイズのケミカルタンカーは、あらゆるケミカルの搭載を可能にするため、国際規則で要求された最高レベルの船体構造を備えているはずです。いわゆる、外航汎用ケミカルタンカー(Parcel Tanker)と呼ばれる船舶です。

具体的には、船底はおろか船側までも、“魔法瓶”のような二重構造になっていると予想されます。場合によっては、内側のタンク構造部分はステンレス製となっているかもしれません。

今回の事故、バラストタンクへの浸水で済んだとしたら、こうしたケミカルタンカーの構造が幸いしたとも言えるのではないでしょうか。

一重構造の油タンカー等であったとしたら、海洋汚染を含め、この程度の被害では済まなかったかもしれません。

なお、海上保安庁によれば、訓練中の“あさしお”は、「浮上に際し、ソナー(水中音波探知機)によって、周辺の安全を確認したところ、船舶の存在を示す反応があった。そこで、浮上を中止し、再潜航しようとしたが間に合わなかった。」と述べているようです。

ところで、ケミカルタンカーは、ひとたび事故が発生すると、その結果が極めて悲惨となるケースが多々あります。

我が国では、以前、私のブログでも紹介した、“マース・グサール号”の事故などが有名です。今回の事故、大事には至らず、本当に良かったです。
    炎上するマース・グサール(1989年3月14日)
『えひめ丸事件を彷彿、潜水艦が接触事故!』[2006年11月21日(火)]

本日(21日)午前9時50分頃、宮崎県油津港の東約27海里(50キロ)の日向灘で、海上自衛隊の潜水艦「あさしお(全長78メートル、基準排水量2,500トン)“が貨物船と接触したとの一報が、艦隊司令部(神奈川県横須賀市)から第10管区海上保安本部(鹿児島市)にもたらされました。

どうやら、同海域で訓練を行なっていた「あさしお」が浮上の際、自船の船尾を貨物船に接触させた模様で、「あさしお」は舵の一部を損傷したものの負傷者はなく、また、航行にも支障はないとのことです。

一報、接触された貨物船は、当初、「あさしお」の接触には気付かず、そのまま南西に向かって航行を続けたとのことです。
 
油津海上保安部の調べでは、接触された貨物船は、パナマ船籍の「スプリング・オースター号(4,160総トン)とのことです。

同号にはフィリピン人及び韓国人の乗組員17人が乗船し、中国に向かっていた模様で、幸いなことに、同号にも負傷者はないとのことです。

潜水艦と民間船との衝突と言えば、2001年、ハワイ・オアフ島沖で発生した、愛媛県立宇和島水産高校の練習船「えひめ丸」が、米海軍の原子力潜水艦「グリーン・ビル」に衝突され、沈没した事件を思い出します。

同事故では、教官及び実習生ら9人の尊い命が犠牲となりました。この事故も、今回のケースと同様、潜水艦が浮上する際に発生した衝突事故でした。やはり、潜水艦は浮上時に、他を巻き込んだ事故を起こしやすいことが、再度証明されたこととなります。

なお、今回の「あさしお」の事故が起こった海域は、水深は1,000メートルにも達し、また、航行する船舶も、外航船に限定した場合、年間、5,000〜10,000隻程度、一日10数隻から30隻程度の比較的交通量が少ない海域です。また、海自による訓練の実施自体も、事前に航行警報や水路通報等で、付近船舶に対し発信されていたものと推測されます。

本格的な事故原因等の追究が、今後進められるものと思われますが、“小事をもって良し”とせず、大きな海難に至る前に、今回の事故を最後の警鐘と捉え、今こそ再発防止策を根本から徹底的に考え直すべきでしょう。

何なら、協力しますよ。

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