『★河川交通の盲点、震災は渇水期に起きるのか?★』[2008年11月21日(金)]
私は今、茨城県に来ています。週初めに引き続き、再度、アウトドア調査、すなわち、河川におけるクレーン台船の廻航作業の安全確認調査を実施するためです。
すでに皆さんはご承知のとおり、私は一昨年(2006年)8月14日に発生し、首都圏を大規模停電のパニックに陥れた、クレーン台船による送電線損傷事故について、再発防止対策推進のお手伝いをさせて頂いています。
事故を起こしたM建設は、現在に至るも、クレーン台船の河川での廻航作業にあたり、たびたび、私のような外部の専門家を立ち合わせ、安全性の評価を求めているのです。
今日の廻航作業は、茨城県・那珂港漁港の係留地から那珂川を経由し、支流の個沼川に入り、大貫橋の係留地に至るまでの約2時間を予定しています。
航海時間は短いのですが、個沼川は右へ左へと“くねくね”と曲がり、かなり熟練の曳航操船技術を必要とします。
加えて、航路上には三か所の道路橋、一か所の鉄道橋、三か所の架空送電線など、次々と上空障害物が登場します。時間は短いものの、極めて神経を使う曳航作業が予想されます。
河川での廻航作業は通常、11月から3月までの比較的水位が少ない、いわゆる渇水期に限定されているのです。
たしかに、浅瀬への乗揚げ事故を防止するためには、水深に十分余裕が生じる増水期に曳航を行うほうがベターです。
しかし、増水期にあっては、多くの場合、クレーン台船は橋梁の下をくぐることはできないのです。橋の下と川面との間隔が十分ではないからです。
道路橋にせよ、鉄道橋にせよ、通常、当該橋を利用する自動車や鉄道の利便性を中心に設計され、建造されています。河川において橋の下を航行する船舶の利便性は、必要最低限程度しか考慮されていないのです。
したがって、両岸の道路やレールと、ほとんど高低差が生じないような、できる限り平坦な橋がベストとされ、結果、船舶の航行にとっての利便性は著しく低下しているのです。
「現状で橋の下と通れない船は工夫をして通るようにしろ! それでも通れないならば諦めろ!」ということなのです。
そもそも、河川は“お上”の持ち物で、“お上”が管理するものであり、国民はその管理のもとに、一定の条件のもとに利用できるとする発想が根底にあるような気がします。
ただし、河川の船舶交通は、その枠組みにすら今まで入れてもらっていなかったと言っても、言い過ぎではないと思います。
こうしたことから、水深は十分あるにもかかわらず、日本の場合、橋梁や水門がネックとなり、船舶輸送・交通が著しく制限され、結果、舟運活動を低迷させているケースが多々見られます。舟運活動は、交通渋滞に伴う地球温暖化ガス発生抑制の特効薬でもあるのですが。
また、前にも申し上げた通り、首都圏が震災に襲われた場合、最悪の状況下にあっても、それほど支障なく最後まで利用できる可能性が高い交通インフラは、河川といわれています。
たとえば、真夏の行楽帰りの首都高速道の両国ジャンクション付近、見事なまでの大渋滞を経験された方も多いことでしょう。
「早く自宅に戻り寛ぎたい!」、焦る気持ちを抑えているつもりでも、フルパワーのエアコン音と、ラジオから空しく流れる事務的な渋滞情報は、皆さんのストレスを増加させるばかりのはずです。
ふと、何気なく視線を眼下に落とすと、そこは隅田川です。一隻の船が、渋滞などまるで他人事のように、極めて優雅に濃紺の川面を滑るように下ってゆきます。
そうです。道路上で日々刻々と繰り広げられている喧騒をものともせず、河川こそ渋滞知らずの都内で残された唯一の交通ルートなのです。
交通渋滞に伴う地球温暖化ガス発生抑制の特効薬、それは、河川交通の活用なのです。しかも、震災時にあっては、被災者・負傷者の救済・救護、食料・水・医薬品など物資の供給、支援要員や機材の運搬、帰宅困難者の輸送など、ありとあらゆる場面での活用が期待されています。
ところが、水面からの高さがわずか5メートルほどのクレーン台船ですら、渇水期でなければ通れないという切実な実態を、どれだけの国民が知っているのでしょうか。
クレーン台船ならば、おそらく一度に200人以上の被災者を安全な場所まで輸送することも可能なのですが。世の中うまく機能していないのです。震災が渇水期に起きることを祈るばかりです。もちろん冗談です。震災は無いに越したことありません。
すでに皆さんはご承知のとおり、私は一昨年(2006年)8月14日に発生し、首都圏を大規模停電のパニックに陥れた、クレーン台船による送電線損傷事故について、再発防止対策推進のお手伝いをさせて頂いています。
事故を起こしたM建設は、現在に至るも、クレーン台船の河川での廻航作業にあたり、たびたび、私のような外部の専門家を立ち合わせ、安全性の評価を求めているのです。
今日の廻航作業は、茨城県・那珂港漁港の係留地から那珂川を経由し、支流の個沼川に入り、大貫橋の係留地に至るまでの約2時間を予定しています。
航海時間は短いのですが、個沼川は右へ左へと“くねくね”と曲がり、かなり熟練の曳航操船技術を必要とします。
加えて、航路上には三か所の道路橋、一か所の鉄道橋、三か所の架空送電線など、次々と上空障害物が登場します。時間は短いものの、極めて神経を使う曳航作業が予想されます。
河川での廻航作業は通常、11月から3月までの比較的水位が少ない、いわゆる渇水期に限定されているのです。
たしかに、浅瀬への乗揚げ事故を防止するためには、水深に十分余裕が生じる増水期に曳航を行うほうがベターです。
しかし、増水期にあっては、多くの場合、クレーン台船は橋梁の下をくぐることはできないのです。橋の下と川面との間隔が十分ではないからです。
道路橋にせよ、鉄道橋にせよ、通常、当該橋を利用する自動車や鉄道の利便性を中心に設計され、建造されています。河川において橋の下を航行する船舶の利便性は、必要最低限程度しか考慮されていないのです。
したがって、両岸の道路やレールと、ほとんど高低差が生じないような、できる限り平坦な橋がベストとされ、結果、船舶の航行にとっての利便性は著しく低下しているのです。
「現状で橋の下と通れない船は工夫をして通るようにしろ! それでも通れないならば諦めろ!」ということなのです。
そもそも、河川は“お上”の持ち物で、“お上”が管理するものであり、国民はその管理のもとに、一定の条件のもとに利用できるとする発想が根底にあるような気がします。
ただし、河川の船舶交通は、その枠組みにすら今まで入れてもらっていなかったと言っても、言い過ぎではないと思います。
こうしたことから、水深は十分あるにもかかわらず、日本の場合、橋梁や水門がネックとなり、船舶輸送・交通が著しく制限され、結果、舟運活動を低迷させているケースが多々見られます。舟運活動は、交通渋滞に伴う地球温暖化ガス発生抑制の特効薬でもあるのですが。
また、前にも申し上げた通り、首都圏が震災に襲われた場合、最悪の状況下にあっても、それほど支障なく最後まで利用できる可能性が高い交通インフラは、河川といわれています。
たとえば、真夏の行楽帰りの首都高速道の両国ジャンクション付近、見事なまでの大渋滞を経験された方も多いことでしょう。
「早く自宅に戻り寛ぎたい!」、焦る気持ちを抑えているつもりでも、フルパワーのエアコン音と、ラジオから空しく流れる事務的な渋滞情報は、皆さんのストレスを増加させるばかりのはずです。
ふと、何気なく視線を眼下に落とすと、そこは隅田川です。一隻の船が、渋滞などまるで他人事のように、極めて優雅に濃紺の川面を滑るように下ってゆきます。
そうです。道路上で日々刻々と繰り広げられている喧騒をものともせず、河川こそ渋滞知らずの都内で残された唯一の交通ルートなのです。
交通渋滞に伴う地球温暖化ガス発生抑制の特効薬、それは、河川交通の活用なのです。しかも、震災時にあっては、被災者・負傷者の救済・救護、食料・水・医薬品など物資の供給、支援要員や機材の運搬、帰宅困難者の輸送など、ありとあらゆる場面での活用が期待されています。
ところが、水面からの高さがわずか5メートルほどのクレーン台船ですら、渇水期でなければ通れないという切実な実態を、どれだけの国民が知っているのでしょうか。
クレーン台船ならば、おそらく一度に200人以上の被災者を安全な場所まで輸送することも可能なのですが。世の中うまく機能していないのです。震災が渇水期に起きることを祈るばかりです。もちろん冗談です。震災は無いに越したことありません。












