日本財団公益コミュニティサイト CANPAN CANPANブログ:公益法人,NPO,CSR,社会貢献活動のための無料ブログ
海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
« アリューシャン自動車船転覆海難 | Main | 台湾訪問 »
2006年04月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
カテゴリアーカイブ
最新記事
最新コメント
nekoさん 元海の男
『★漁業実習船沈没海難、事故の真相に迫る!★』 (10/13)
nekoさんへ 元海の男
『★第七千代丸海難と新しい海難審判制度★』 (10/08)
海豚親父殿 元海の男
『★イージス艦海難、東郷元帥に学ぶべき?★』 (10/03)
最新トラックバック
(第七報)濃霧の東京湾口で貨物船沈没[2006年04月20日(木)]
4月13日早朝、東京湾口で沈没した「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)からの油流出事故、第七報をお伝えします。

昨日・本日も、現場では、油防除のプロ集団の手により、漂着が確認された油を拭き取る、又は、小さな油塊を丁寧に拾い集める等の作業が行われているようです。

作業開始当初の回収量は、一日あたり1本のドラム缶に収まる程度と聞きましたが、その量は、さらに減少してきているとのことです。そろそろ、海岸現場での作業は一旦終了し、その後の漂着状況に応じた再作業等が行われる見通しかと思われます。

一方、気になる沈没船からの断続的な油漏洩ですが、これも徐々に落ち着き始めているとのこと。しかし、予断は許されないため、引き続き監視・対応が行われるものと思われます。
(第六報)濃霧の東京湾口で貨物船沈没[2006年04月19日(水)]
4月13日早朝、東京湾口で沈没した「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)からの油流出事故、第六報をお伝えします。

昨日の第五報では、洲崎の岩場海岸の一部約500mにわたって、油が漂着しているのが確認されたことをお伝えしました。また、漂着油は、直径5〜10cm程度のパティー状(粘度の高い油を岩場に叩きつけたようなイメージ)、または、親指大程度の油塊が点在している状況だとお伝えしました。

昨日、現場では、油防除のプロ集団の手により、パティーを引き剥がし、また、油塊を丁寧に拾い集める作業が行われているようです。引き続き、本日も同様の作業が行われているものと思われます。

回収量は1本のドラム缶に収まる程度と聞いています。

昨日も申し上げたとおり、現場はかなり足場の悪い磯場です。ボランティア活動等を希望する一般市民の方々は、関係機関から呼びかけ等が行われた場合を除き、しばらく、様子を見てください。

現場は海藻等の採取が盛んなところでもあります。専門家の手によって、水産資源や自然環境に対し、もっともやさしい手法が選択されているはずです。

一方、気になるのは、沈没船からの油漏洩が、断続的かつ少量とは言いながら、現在も続いている状況です。一度は安定期に入ったのでは、とも思われましたが、意外と執拗な漏洩です。こればかりは、早く止まることを祈るしかない状況です。

もっとも、約400mの海底からの油の抜き取り、漏洩箇所の封鎖ともなると、有人潜水作業は不可能となり、深海用ROV(遠隔操縦の無人ロボット)を使い、“シャトルバッグ”という特殊な機械を沈没船に取り付けるなど、かつて日本が経験したことの無い事態へと発展します。それだけは、是が非でも回避したいところです。
油漂着、濃霧の東京湾口で貨物船沈没(第五報)[2006年04月18日(火)]
4月13日早朝、東京湾口で沈没した「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)からの油流出事故、第五報をお伝えします。

かなりの安定状態に入ったと思いきや、昨日、地元自治体等の調査によって、洲崎の岩場海岸の一部約500mにわたって、油が漂着しているのが確認されました。

漂着油は、直径5〜10cm程度のパティー状(粘度の高い油を岩場に叩きつけたようなイメージ)、または、親指大程度の油塊が点在している状況と聞いています。

現在、現場海岸は満潮のため、干潮を待って専門機関が対策を協議、対応にあたるものと思われます。この一帯は、海藻類等の宝庫でもあり、被害の局限化を心から祈る次第です。

事故当初は北東風、アゲインストの風だったのですが、日曜日の夜半から南風、フォローに変わり、気にはなっていました。おそらく、日曜日から月曜日にかけての夜間、沈没船から断続的に湧き出した分が、洋上処理しきれず、不幸にも海岸に漂着したものと思われます。

現場は、かなり足場の悪い磯場と聞いています。地元自治体等がボランティア等の一般市民の力を借りる場合も、やはり、普段から磯場での作業等に慣れた、地元の方々が中心になるかと思われます。それ以外の一般市民の方々は、関係機関から呼びかけ等が行われた場合を除き、しばらく、様子を見て頂くのが賢明です。

いずれにせよ、パティー状の油塊ですから、ナホトカ号重油流出事故の現場とは、まったく様子が異なります。ボランティア等の皆様は、くれぐれも冷静になって、情報をお待ちください。

濃霧の東京湾口で貨物船沈没(第四報)[2006年04月17日(月)]
4月13日早朝、東京湾口で沈没し、その後沈没地点からの油流出が続き、関係機関が対応にあたっていた「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)事故の件につき、第四報をお伝えします。

沈没後、同号からは、少量かつ断続的に油が流出していました(エア抜きからの漏洩と推測)。結果、油膜が付近一帯広範囲に広がり、関係機関は油処理剤による分散処理や、船艇による攪拌作業(油膜の上を航走し、油膜を攪拌する)などを行い、沿岸部への漂着を阻止する対策を必死に講じていました。

本日朝までの情報によると、沈没船からの断続的な油流出はひとまず収まったとのことです。現在、引き続き、厳しい監視が行われているものと思われます。

つまり、タンク内の油の粘性が高まり、かつ、タンク内のエアと外部の海水との置換が終わり、油の漏洩は沈静化したという可能性が期待されます。一般的に言えば、かなりの安定状態に入った可能性があります。

無論、まだまだ予断は許されないところですが、このまま引き続き長期的な安定状態に入ることを切に願う次第です。

なお、広がった油膜については、分散処理等が実にスムーズ、かつ、的確に行われ、幸いなことに沖合い海上で事態が収まり、海岸漂着は今までのところは無かったと聞いております。海保・海上災害防止センター・千葉県等、関係機関の皆様のご活躍に心から感謝申し上げます。

東京湾口沈没貨物船との類似点、知床海鳥漂着事件[2006年04月16日(日)]
知床海鳥漂着事件に関し、前回のレポートで私は次のように推測結果をまとめました。

「昨年の12月25日前後、サハリン中部東岸の「海豹島」の沖合い約30〜50km付近の海域で、C重油が流出した。当該流出は、極めて局所的なものであり、また、量的にも小規模なものであり、さらに瞬間的ものであった。
当該海域は、この冬最大級の大時化に見舞われていた。海鳥は、波に翻弄される油塊をあたかも魚の群れ、もしくは波間を漂う藻類であると誤認し、付近海域から多数の海鳥が集まり一斉に群がる捕食行為、すなわち“捕食パニック”に陥り次々と汚染されていった。」

なお、当該C重油の流出原因については、さらなる検証が必要なことなどを理由に明言を避けました。実は、今回の東京湾口での沈没貨物船からの油流出事故、知床の海鳥汚染の原因を探る実証事例でもあると思われるのです。

昨年の12月25日前後、サハリン中部東岸の「海豹島」の沖合い約30〜50km付近の海域は、すでに海氷が間近にまで差し迫り、C重油を積載した一般の外航商船等の航行は、一般常識から考えれば、皆無であったものと推測されます。

また、漁船についても、沖合漁業に関しては10月末から、沿岸漁業に関しても12月初旬から、それぞれ休漁状態に入っているはずです。仮に、密漁船等が出漁していたとしても、先般解説したとおり、大型船における一部の例外を除き、漁船の使用燃料はA重油なのです。

したがって、当該時期に当該海域を航行している船舶は、耐氷構造・砕氷構造を有した特殊船艇(国境警備隊・海軍・オーシャンタグ・海難救難船等)以外は考えられないのではないでしょうか。これらは、官公庁船又は準官公庁船です。しかも、使用燃料はA重油が圧倒的のはずです。こうしたことから、当該船らを本事件の排出源とするには、かなりの無理があると思われます。

無論、耐氷構造・砕氷構造を有した特殊な外航商船が、当該海域を通航し、何らかの事故を起こした可能性も否定はできません。しかし、仮にそうであるならば、極めてまれなケースであり、ロシア当局がとっくにターゲットにして該当船を調査しているはずです。したがって、それも無かったと考える方が、合理的であると思われます。

ここで、東京湾口の沈没貨物船からの油流出事故を振り返って見ましょう。貨物船は水深約400mの海底に沈みました。沈没後、洲崎一帯の広いエリアに油膜を生じさせたのは、当該沈没船のエア抜きからの油流出です。沈没船の乗組員が、燃料バルブやエア抜きの閉鎖を怠ったことが原因です。

簡単な例が、寒い地方の庭先にあるドーム状の灯油タンクです。タンクの下部には、小出し用のバルブ(又はコック)があるはずです。また、タンクの上部には、“J”字状に突き出したエア抜きがあるはずです。エア抜きが無かったら、外気の温度変化によって灯油の容積が変化した際、タンクが膨張したり凹んだりしていまいます。

船の燃料タンクも原理はまったく一緒です。したがって、退船時、これらをしっかり閉めておけば、原理的には油が出てこないはずなのです。これを怠ると、しばらくの間、エア抜きからタンク内の油が出てきてしまうのです。

東京湾口の沈没貨物船、沈没地点の海底からは、断続的に(1分間に数回)黒い油塊が浮上していたそうです(金曜日夕刻の時点)。無論、浮上現場では当該油塊に対し、専門家集団が直接的な対応を施していたはずです。結果、油塊は薄い油膜状態となり周囲に広がり、油処理剤の使用等が容易なまでの状態となったわけです。

エア抜きからの漏洩が一旦止まれば、しめたものです。400mの海底は溶存酸素も極端に少なく、船体腐食の進行は極めて緩やかです。何よりも、海・潮流や海・気象の影響をまったくと言っていいほど受けず、船体が動く可能性も海底地震ぐらいの際でしょうか。一般的に言えば、かなりの安定状態に入るのです(100%の保障はできませんが)。

一方、「海豹島」の沖合い約30〜50km付近の海域はどうでしょうか。海図を紐解くと、水深は約50mです。もし、ここに沈没船が存在したとします。この程度の水深の場合、溶存酸素は海面付近とさほど変わりありません。したがって、徐々にですが、確実に船体腐食は進んできます。また、潮汐流の影響は無いとしても、海流については十分影響範囲内です。また、何よりも海上が大時化の際、この程度の水深では、その影響(大波など)が船体にぎりぎり伝わってしまいます。沈没船にとっては、ある意味、非常に不安定な水深でもあるわけです。

むしろ、もっともっと水深が浅ければ、船体はとっくに崩壊してしまうはずです。水面上に露出した沈没船が良い例です。

こうしたことから、知床海鳥漂着事件に関しては、目撃者も無く、また、原因が誰もが把握できない現状下にあっては、やむを得ず、こうした幽霊に登場してもらうことも重要です。すなわち、当該海域にC重油の流出源となるような沈没船が存在しないか否か、日露両国が協力し、一刻も早く調査し油流出の蓋然性を検討することが必要かと思います。

戦時下及び戦後昭和30年代半ばまでの沈没船については、当時の燃料事情等に鑑み、可能性はかなり低下するものと考えられます。先に調査すべきは、昭和30年代半ば以降の沈没船でしょう。特に、旧ソ連邦時代の沈没船については、実態把握に相当てこずることが容易に予想されます。

実際、西サハリンでは、昭和54年に沈没した日本船社運航の「TAKEO MARU(外国籍船)」から、20年以上たった後、断続的にC重油が流出しだし、周囲の自然環境にたびたびダメージを与える事故が発生しました。平成13年、ロシア当局は、「TAKEO MARU」からの油流出を完全にシャッタアウトするため、油の抜き取りに踏み切ったと聞いています。この時の水深も、確か40m程度だと記憶しています。

今回の事件を二度と繰り返さないためにも、可能性の目を一つ一つつぶしていくことが肝要だと思われます。
濃霧の東京湾口で貨物船沈没(第三報) [2006年04月14日(金)]
昨日、東京湾口で沈没した「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)事故の件、油流出の状況を中心に、第三報をお伝えします。

先ほど某在京テレビ局のインタビューを受け、現場の状況のモニター画像を見せてもらいました。

この画像を見る限り、油はごく薄い油膜状で洲崎の沖の海上を漂っています。油膜の大きさは、概略、縦6km幅1.5km位でしょうか。面積にすると9平方キロ位と推測されます。

油膜の面積を聞いて驚き、すわ、大量流出だと思う人もいるでしょう。しかし、漂流している油は油塊ではなく油膜です。しかも、色合いからはごく薄く、1ミリにはとても満たない程度、およそ1.5μ(ミクロン)程度に見えます。

すると流出量は、多くとも合わせて5〜10トン程度といったところでしょうか。油膜の状況や色から推定するに、これは燃料油タンク自体に亀裂が入り流出しているのではなく、タンクのエア抜きから“ポコポコ”、少量かつ断続的に出ている程度のものと考えられます。

どうやらE号の乗組員、船員の基本を忘れたのか、それとも時間が無かったのか、退船時に燃料バルブやエア抜きの閉鎖を怠ったようです。

ですが、幸いにも風は現在北東の風約10m、アゲインストです。海流も北東方向に向かっています。したがって、引き続き油処理剤による分散処理や、船艇による攪拌作業(油膜の上を航走し、油膜を攪拌する)などを行い、沿岸部への漂着を阻止するのが最善の手段と思われます。

原因と思われる流出源、すなわち、沈没船のエア抜きからの油流出が、油の粘性が高まることによって早く止まることを切に願う次第です。

なお、すでに操業の中止等、漁業者への社会・経済的被害が生じているはずです。しかし、海の中の魚はまったく大丈夫です。油や処理剤は沈んだり水に融けることは絶対にありません。風評被害等に発展させない、市民の正しい共通認識が求められるところです。
濃霧の東京湾口で貨物船沈没(第二報) [2006年04月14日(金)]
昨日、東京湾口で沈没した「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン)事故の続報をお伝えします。

衝撃的な沈没シーンをテレビでご覧になった皆様はお気づきの通り、若干の薄い油膜が海上に見られました。E号が保有していた燃料油、当初の私の予想よりかなり少なく、A重油・C重油併せて100トン弱と聞いています。

流出油の形態が薄い油膜レベルの状態ですので、おそらく、油処理剤がもっとも効きやすい状況でしょう。今後引き続き、海上では、油処理剤による分散処理や、船艇による攪拌作業(油膜の上を航走し、油膜を攪拌する)などが行われ、沿岸部への漂着を防止する措置がとられるものと思われます。

油処理剤に拒否反応をお持ちの方がいらっしゃるかと思いますので、簡単に説明しておきます。日本の処理剤の基準は世界一厳しいことで有名です。特に、毒性に関しては、台所用の洗剤と比較して約1/70〜1/500以下です。

油処理剤とは油を極めて細かい粒子状にして、水中に分散させ、微生物や光の分解によって、最終的には水と酸素に分解する作用を促進するための薬剤のことをいいます。台所用洗剤は、油処理剤のように油を極微粒子化することはまずあり得ません。

台所用洗剤のテレビコマーシャルのシーンを思い浮かべてください。油に汚れた皿に洗剤が撒かれると、油は皿の周辺に向かって、王冠状に見事に広がっていきます。そうです。台所用洗剤は油を極微粒子化はせず、単に拡散させるだけなのです。

油処理剤は、その使い方や、使う量、使うタイミング、使う環境などの諸条件さえ守れば、海上での油の処理にもっとも効果的な手法ともなり得るわけで、結果、沿岸部への海岸への漂着を防ぎ、社会・経済的なダメージを局限化する手段ともなります。

現在、本件に対応しているのは、油防除のプロ中のプロ集団です。その活躍に期待しましょう。

濃霧の東京湾口で貨物船沈没[2006年04月13日(木)]
本日13日午前5時20分ごろ、千葉県館山市の洲崎灯台から北西約9キロ沖の東京湾の入口で、フィリピン船籍の貨物船「イースタン・チャレンジャー(E号)」(6,182総トン、フィリピン人25人乗船)と、日本船籍の貨物船「津軽丸」(498トン、日本人5人乗り組み)が衝突しました。

E号は破損部分から浸水し半没状態となり、正午過ぎには沈没した模様です。フィリピン人の乗組員全員は、第三管区海上保安本部の巡視船等に救助され、無事でした。現場は当時、濃霧のため視程が200メートル以下と、狭視界状態でした。衝突の原因は調査中とのことです。燃料重油の海上流出があるとの情報もあり、今後の動向が気になるところです。

なお、E号の大きさですと、少なくとも100〜200トン、最大約350〜450トン程度の燃料重油を積載している可能性があります。また、海図を見る限り、E号は水深約500mの海底に沈んだものと思われます。有人潜水作業は60mが限界、無人ロボットを利用しても100mまででしょうか。本当に500mだとしたら、抜き取り作業は大変困難です。何とか油の流出がおさまってほしいものです。

東京湾は、商船をはじめ、一日平均約600隻程度の船の出入りがある過密水域です。湾内の港間の交通を含めると、さらに過密になるわけです。そのため、衝突事故は年間10〜20件程度あります。しかし、このように沈没にまで至る重大海難は比較的珍しく、年間1〜2隻と記憶しています。

プロフィール


リンク集
http://blog.canpan.info/maikohinako/index1_0.rdf