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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★第58寿和丸転覆海難、可能性を整理する!(その6)★』[2009年01月04日(日)]
昨日(1月3日)、私のブログのアクセス数が、開設以来、とうとう30万件に達しました。その間、掲載した記事は735本ですから、一記事あたり408件のヒットがあった計算になります。

思い起こせば3年前のことです。それまでは、こうした海の事件・事故に関し、私なりにデータを集め見解をまとめ、ごく内輪の方々に対してのみ、メールにて発信していました。皆さんに勧められるまま、ブログに切り替え、今に至ったわけです。

30万件のアクセスは一つの通過点としてとらえ、今後もさまざまな難題に取り組んでゆきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

さて、昨年6月23日午後1時半頃、千葉県・犬吠崎の沖合の太平洋上で、福島県・いわき市の巻き網網漁船“第58寿和丸”が転覆し後に沈没、死者4人、行方不明者13人(後に死亡認定)が出た海難の続報です。

昨日のブログでは、“第58寿和丸”の事故原因に関し、転覆時の油の流出状況を根拠に、二重底燃料タンクを含む広範囲の区画が損傷を受け浸水したことを示唆しました。

こうした判断材料を積み上げ、かつ、“三角波”や“フリーク波”の可能性、他船との衝突の可能性、漁具の移動による大傾斜の可能性、甲板上に海水が大量に押し寄せ開口部から船内に侵入した可能性、船尾居住区・機関室・船首居住区が損傷した可能性、二重底タンクが単独損傷した可能性など、考えられるすべての可能性を否定した場合、選択肢は自ずと絞られてくるのです。

船体のもっとも前方、船首楼甲板の水面下には、No.1燃料タンク(二重底タンク)、船首倉庫、電気部品庫、バウスラスタールーム、フォアーピークタンクなどが所在します。

私は当該区画が外部からの損傷を受け浸水したのが、“第58寿和丸”が傾斜・沈下・転覆・沈没に至った原因と見ています。

当該損傷を受けた理由ですが、繰り返し述べてきたとおり、パラシュートアンカー(パラシュート状の抵抗体使用したシーアンカー)が、船首部の運動を阻害している状況下、通常ならば、たいしたダメージとはなり得ない船体下部からの波の衝撃が、予想に反し船体損傷をもたらしたと見ています。

すなわち、船首部の運動が阻害されていた状況下、船首楼の後縁直下、右舷側の船底部分を下から襲った波が、船体損傷を伴う重篤なパンチング(船首・尾部が波によって下から衝撃を受ける現象)を引き起こしたと思っています。

詳しくは12月18日の記事、『★第58寿和丸転覆海難、シーアンカーの“落とし穴”とは?★』などを読み返していただければ幸いです。

さて、何度もお伝えしたとおり、シーアンカーに関する本格的研究は、昭和40年代前半に行われ、その成果は使用にあたっての指針として現在に受け継がれています。ただし、当時の数値シミュレーション等の解析技術では、シーアンカー使用時の船体運動に関する解析が十分できませんでした。

今回発生してしまった“第58寿和丸”の悲劇は、海象や船体構造等に関する偶然が重なった結果、当時の解析技術では解明し切れなかった、何かが起こった結果ではないかと私は疑っています。

ところで、昭和40年代当時の研究報告書ですが、私の知る限り、電子データとして一般公開されていません。

唯一、印刷物として残されています。ですが、「原本」と朱印が押され、黄色く変色したこの印刷物は、昨年の事故発生直後に私が所有機関から借り受け、長きにわたり私の机の上に置かれたままです。

私は何度も読み返し、付箋だらけです。途中、他の誰かから貸し出し依頼やコピー依頼があったなどの話は一切聞いていません。

と言うことは、“第58寿和丸”の事故原因に関し、シーアンカーに着目している機関や研究者は、私以外にいないということなのでしょうか。では、いったい彼らは何に着目しているのか、逆に問いたいところなのですが。

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