『★漁業実習船沈没海難、事故の真相に迫る!★』[2008年10月11日(土)]
10月8日夕刻、鳥取県・境港市の境港の入口付近で、島根県の漁業実習船“わかしまね(196総トン)が巻網漁船”第22事代(ことしろ)丸“と衝突し沈没した海難の続報です。幸いなことに、生徒さんら25人は全員無事救助されました。
昨日(10月9日)もこの海難に関し、Y新聞の取材を受けました。記者の興味は、「両船とも、緊張感溢れるはずの入出港の最中、なぜ、見張りを十分行っていなかったのか?」という点でした。
船長をはじめ、乗組員の飲酒の事実が判明した“第22事代(ことしろ)丸”については、いまさら解説するまでもありません。
一方、「(”第22事代(ことしろ)丸“の)灯火に気付いていたが、接近するまで見張りを怠っていた。慌ててかじを切った。」と船長が話したと伝えられる、“わかしまね”については、私は妙に胸につかえるものがありました。
当時、“わかしまね”には、親御さんから預かった大切な生徒さんが、13人も乗っていたのです。しかも、彼らは船乗りとしての技能が十分ではありません。万が一の際には、サバイバル技術などの面で、プロの船員の足元にも及ばないほど“脆弱”な存在なのです。
今まで数々の経験を積んできた船長をはじめ実習のプロ達が、入港時、特に神経が研ぎ澄まされ緊張感が高まる中、「“ぼー”としていた。見張りが疎かだった。」などの状況は、通常あり得ない話です。
しかも、今後、海上保安庁による取り調べや、運輸安全委員会の事故原因調査が進捗する中、こうも早い段階で、見張り不十分の事実を認めたことも気にかかりました。
記者の取材が進む中、私はついにあることに気付きました。そして、こうした疑問も一気に氷解したのでした。私の推測は以下のとおりです。
事故の際、13人の生徒さん達は、入港作業の実習のため、全員甲板上に出ていた模様です。当時、甲板上では入港スタンバイのため、ウインドラス(揚錨機)やウインチ(係船機)などの回転機も準備され、作動テストなども行われていたものと思われます。
こうしたプロの乗組員の作業を現場で見学し、体感することは、将来、船乗りになるために必要かつ重要な実習です。私にも経験があります。
社会科の工場見学ならば、あらかじめ、安全なコースなど設定され、生徒は何ら危険もなく、作業を見学することができます。
しかし、今回の場合はプロの船員になるための実習です。おそらく、引率の先生の指揮のもと、プロの乗組員が行う作業現場の至近で実習を行っていたのでしょう。
船員経験をお持ちの方はご存じのとおり、ウインドラス(揚錨機)やウインチ(係船機)などの回転機の使用に際しては、巻き込まれる、あるいは、ロープにはねられるなど、重大な危険が常に付きまとっています。
プロの船員ならば、これらの機械の運転状況や、機械が巻くロープの張り具合などの状況に応じ、どのエリアが危険で近づいてはいけないのか、どのエリアが安全なのか、刻々と変化する危険の状態を経験上、十分に把握しているのです。
それにもかかわらず、過去、幾多のプロの船員が不覚にも回転機の事故に遭遇し、時に命を失い、時に取り返しのつかない大けがを負ってきました。それほど、危険を伴う作業なのです。
そうした状況の中、実習のため、13人の生徒さんがやってきたのです。プロになるための実習です。遠巻きにして作業を見学するのでは意味をなしません。当然のことです。
事故の発生時刻は午後6時45分ごろ、あたりはすっかり暗くなり、甲板上作業の安全確保のための最低限の作業灯が点灯していたのでしょう。
本来ならば、船長をはじめ“わかしまね”の船橋当直者は、入港時、緊張感が高まる中、安全な操船及び周囲の状況把握のための見張りなどに加え、甲板上の生徒さんの安全確保を同時にこなしていかなければなりません。
しかしながら、今回の場合、生徒さんの安全確保のための甲板上の監視に集中しすぎたのではないでしょうか。
甲板を注視するあまり、場合によっては、作業灯の光によって幻惑され、眼の暗順応が妨げられ、”第22事代(ことしろ)丸“の航海灯の発見が極端に遅れた可能性も想像できます。
“わかしまね”の船長が語ったとされる、「接近するまで見張りを怠っていた。」は、こうした状況であるならば、つじつまが合います。
しかし、すべてを正直にさらけ出した場合、状況次第では、今後の実習の“在り方”にまで話は発展し、今まで培ってきた手法が見直されるなど、その影響は教育委員会や他県など多方面に及びます。
船長はそのあたりを踏まえ、「見張りが疎かだった。」とあっさりと語り、すべての原因が自身のヒューマン・エラーにあるとし、自身の責任の範疇で事を収めようと考えているのではないでしょうか。
以上が私の推測です。

昨日(10月9日)もこの海難に関し、Y新聞の取材を受けました。記者の興味は、「両船とも、緊張感溢れるはずの入出港の最中、なぜ、見張りを十分行っていなかったのか?」という点でした。
船長をはじめ、乗組員の飲酒の事実が判明した“第22事代(ことしろ)丸”については、いまさら解説するまでもありません。
一方、「(”第22事代(ことしろ)丸“の)灯火に気付いていたが、接近するまで見張りを怠っていた。慌ててかじを切った。」と船長が話したと伝えられる、“わかしまね”については、私は妙に胸につかえるものがありました。
当時、“わかしまね”には、親御さんから預かった大切な生徒さんが、13人も乗っていたのです。しかも、彼らは船乗りとしての技能が十分ではありません。万が一の際には、サバイバル技術などの面で、プロの船員の足元にも及ばないほど“脆弱”な存在なのです。
今まで数々の経験を積んできた船長をはじめ実習のプロ達が、入港時、特に神経が研ぎ澄まされ緊張感が高まる中、「“ぼー”としていた。見張りが疎かだった。」などの状況は、通常あり得ない話です。
しかも、今後、海上保安庁による取り調べや、運輸安全委員会の事故原因調査が進捗する中、こうも早い段階で、見張り不十分の事実を認めたことも気にかかりました。
記者の取材が進む中、私はついにあることに気付きました。そして、こうした疑問も一気に氷解したのでした。私の推測は以下のとおりです。
事故の際、13人の生徒さん達は、入港作業の実習のため、全員甲板上に出ていた模様です。当時、甲板上では入港スタンバイのため、ウインドラス(揚錨機)やウインチ(係船機)などの回転機も準備され、作動テストなども行われていたものと思われます。
こうしたプロの乗組員の作業を現場で見学し、体感することは、将来、船乗りになるために必要かつ重要な実習です。私にも経験があります。
社会科の工場見学ならば、あらかじめ、安全なコースなど設定され、生徒は何ら危険もなく、作業を見学することができます。
しかし、今回の場合はプロの船員になるための実習です。おそらく、引率の先生の指揮のもと、プロの乗組員が行う作業現場の至近で実習を行っていたのでしょう。
船員経験をお持ちの方はご存じのとおり、ウインドラス(揚錨機)やウインチ(係船機)などの回転機の使用に際しては、巻き込まれる、あるいは、ロープにはねられるなど、重大な危険が常に付きまとっています。
プロの船員ならば、これらの機械の運転状況や、機械が巻くロープの張り具合などの状況に応じ、どのエリアが危険で近づいてはいけないのか、どのエリアが安全なのか、刻々と変化する危険の状態を経験上、十分に把握しているのです。
それにもかかわらず、過去、幾多のプロの船員が不覚にも回転機の事故に遭遇し、時に命を失い、時に取り返しのつかない大けがを負ってきました。それほど、危険を伴う作業なのです。
そうした状況の中、実習のため、13人の生徒さんがやってきたのです。プロになるための実習です。遠巻きにして作業を見学するのでは意味をなしません。当然のことです。
事故の発生時刻は午後6時45分ごろ、あたりはすっかり暗くなり、甲板上作業の安全確保のための最低限の作業灯が点灯していたのでしょう。
本来ならば、船長をはじめ“わかしまね”の船橋当直者は、入港時、緊張感が高まる中、安全な操船及び周囲の状況把握のための見張りなどに加え、甲板上の生徒さんの安全確保を同時にこなしていかなければなりません。
しかしながら、今回の場合、生徒さんの安全確保のための甲板上の監視に集中しすぎたのではないでしょうか。
甲板を注視するあまり、場合によっては、作業灯の光によって幻惑され、眼の暗順応が妨げられ、”第22事代(ことしろ)丸“の航海灯の発見が極端に遅れた可能性も想像できます。
“わかしまね”の船長が語ったとされる、「接近するまで見張りを怠っていた。」は、こうした状況であるならば、つじつまが合います。
しかし、すべてを正直にさらけ出した場合、状況次第では、今後の実習の“在り方”にまで話は発展し、今まで培ってきた手法が見直されるなど、その影響は教育委員会や他県など多方面に及びます。
船長はそのあたりを踏まえ、「見張りが疎かだった。」とあっさりと語り、すべての原因が自身のヒューマン・エラーにあるとし、自身の責任の範疇で事を収めようと考えているのではないでしょうか。
以上が私の推測です。





船は”乗り物”以前に、船長を頂点とし、海上において独立した、一つの小社会だと言えます。
したがって、海難の原因究明も、単なる操舵室内での航法的な要因のみならず、社会不安を招いた固有の背後要因などを究明してこそ、はじめて核心に迫れるものと思っています。