『★クレーン船が原因の首都圏大停電、高等海難審判の裁決!★』[2008年09月26日(金)]
2006年8月14日、クレーン台船がブームを立てた状態で旧江戸川を航行し、高圧送電線を損傷するという事故が発生しました。ご承知のとおり、首都圏が大規模停電のパニックに陥りました。あれから早くも二年以上の歳月が経過しました。
事故を起こしたM建設は、横浜地方海難審判庁の裁決を不服として、高等海難審判庁に提訴しました。本日(9月26日)午後、高等海難審判庁による裁決が言い渡される予定です。
本事故の発生当初から、私は大変興味を抱き、本ブログでも集中的に取り上げてきました。記事記載回数は、実に30回にも及びました。
そもそも私は、本事故の再発防止を目的に業界団体が設置した、「安全確保対策特別委員会」に外部委員として招かれ、対策指針を策定するお手伝いをさせて頂きました。
その後、横浜海難審判庁で行なわれた海難審判では、M建設側の証人として出廷し、事故後、直ちに講じられた同社の再発防止策について、その有効性を第三者機関の立場で検証した結果を証言しました。
本事故を深く反省したM建設は、私の知る限り、業界全体でもっとも厳しい再発防止策を打ち出し実行していました。
その再発防止策は二年が経過した今でも、改善すべき点が随時修正され続け、さらに優れた策として、ますます成長し続けています。私は今でもM建設に請われ、彼らの再発防止策に不備がないか、現場で確実に実行されているか、第三者機関の立場で検証を続けています。
また、本事件の教訓は、事故を起こしたM建設は無論のこと、関係行政機関やいわば被害者である電力会社、さらには、M建設以外の他のクレーン船運航会社などにも波及し、関係者が一丸となって、ともに再発防止に向けた対策に取り組んできました。
加害者はおろか被害者に至るまでの総括的な取り組みは、かつての海難事例では見られない、実に理想的な状況だと私は思います。
こうしたことから、一審の横浜海海難審判庁での結審にあたり、理事官(刑事裁判の検察側に相当)は、“理事官意見(刑事裁判の論告求刑に相当)”の中で、「(M建設は)同種事故の再発防止措置を講じた旨を認める。今後、継続的にこれが行なわれるよう、第三者による検証及び評価を受けることをM社に勧告すべきだ。」と言及しました。
理事官がM建設の再発防止策を評価したのでした。しかし、裁決はまったく予想外のものとなりました。単に「再発防止策を講じなさい。」と勧告したのです。
弁護人が「M建設は再発防止策に十分取り組んでいます。」と主張し、検察側も「再発防止措置を講じた旨を認める。」と言及しているのです。それに対し、裁判官が「再発防止策を講じなさい。」ではあまりにも話が噛み合いません。
たとえば、2006年11月21日、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の練習潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故がありました。
門司地方海難審判庁の裁決では、「(防衛省が事故後に、)潜水艦の浮上中にソナーで船を探知した際は浮上を中止するなどの訓練指導要領を制定し、すでに実施されている。」などとし、“勧告”しない旨の裁決を言い渡しました。
理事官(刑事裁判の検察に相当)は、理事官意見(刑事裁判の論告求刑に相当)の中で、“勧告”するよう求めていたにもかかわらず、防衛省の再発防止策を評価した裁決を言い渡したのでした。
今日の高等海難審判庁での裁決は、M建設による再発防止策に対し、どこまで評価するかが大きなポイントなのです。「再発防止策を講じなさい。」だけでは不十分なのです。
仮に現在のM建設による再発防止策に不足があるとすれば、それは何なのか、具体的に指摘してこそ、海難審判のあるべき姿なのです。

事故現場を航行するクレーン台船
事故を起こしたM建設は、横浜地方海難審判庁の裁決を不服として、高等海難審判庁に提訴しました。本日(9月26日)午後、高等海難審判庁による裁決が言い渡される予定です。
本事故の発生当初から、私は大変興味を抱き、本ブログでも集中的に取り上げてきました。記事記載回数は、実に30回にも及びました。
そもそも私は、本事故の再発防止を目的に業界団体が設置した、「安全確保対策特別委員会」に外部委員として招かれ、対策指針を策定するお手伝いをさせて頂きました。
その後、横浜海難審判庁で行なわれた海難審判では、M建設側の証人として出廷し、事故後、直ちに講じられた同社の再発防止策について、その有効性を第三者機関の立場で検証した結果を証言しました。
本事故を深く反省したM建設は、私の知る限り、業界全体でもっとも厳しい再発防止策を打ち出し実行していました。
その再発防止策は二年が経過した今でも、改善すべき点が随時修正され続け、さらに優れた策として、ますます成長し続けています。私は今でもM建設に請われ、彼らの再発防止策に不備がないか、現場で確実に実行されているか、第三者機関の立場で検証を続けています。
また、本事件の教訓は、事故を起こしたM建設は無論のこと、関係行政機関やいわば被害者である電力会社、さらには、M建設以外の他のクレーン船運航会社などにも波及し、関係者が一丸となって、ともに再発防止に向けた対策に取り組んできました。
加害者はおろか被害者に至るまでの総括的な取り組みは、かつての海難事例では見られない、実に理想的な状況だと私は思います。
こうしたことから、一審の横浜海海難審判庁での結審にあたり、理事官(刑事裁判の検察側に相当)は、“理事官意見(刑事裁判の論告求刑に相当)”の中で、「(M建設は)同種事故の再発防止措置を講じた旨を認める。今後、継続的にこれが行なわれるよう、第三者による検証及び評価を受けることをM社に勧告すべきだ。」と言及しました。
理事官がM建設の再発防止策を評価したのでした。しかし、裁決はまったく予想外のものとなりました。単に「再発防止策を講じなさい。」と勧告したのです。
弁護人が「M建設は再発防止策に十分取り組んでいます。」と主張し、検察側も「再発防止措置を講じた旨を認める。」と言及しているのです。それに対し、裁判官が「再発防止策を講じなさい。」ではあまりにも話が噛み合いません。
たとえば、2006年11月21日、宮崎県沖の日向灘で、海上自衛隊の練習潜水艦“あさしお” が、パナマ船籍のケミカルタンカー“スプリング・オースター号”と接触した事故がありました。
門司地方海難審判庁の裁決では、「(防衛省が事故後に、)潜水艦の浮上中にソナーで船を探知した際は浮上を中止するなどの訓練指導要領を制定し、すでに実施されている。」などとし、“勧告”しない旨の裁決を言い渡しました。
理事官(刑事裁判の検察に相当)は、理事官意見(刑事裁判の論告求刑に相当)の中で、“勧告”するよう求めていたにもかかわらず、防衛省の再発防止策を評価した裁決を言い渡したのでした。
今日の高等海難審判庁での裁決は、M建設による再発防止策に対し、どこまで評価するかが大きなポイントなのです。「再発防止策を講じなさい。」だけでは不十分なのです。
仮に現在のM建設による再発防止策に不足があるとすれば、それは何なのか、具体的に指摘してこそ、海難審判のあるべき姿なのです。

事故現場を航行するクレーン台船



