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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★第58寿和丸転覆海難、海難原因を大胆推測(その16)!★』[2008年08月20日(水)]
6月23日午後、千葉県・犬吠崎の沖合の太平洋上で、福島県・いわき市の巻き網網漁船“第58寿和(すわ)丸(135トン)”が転覆し後に沈没、死者・行方不明者が出ている海難の続報です。

皆さんご記憶のとおり、事故から約一ヶ月が経過したころ、第58寿和丸の事故原因を潜水艦との衝突とする、あるいは、その可能性を匂わす説がにわかに浮上しました。

著名な軍事評論家が可能性があることをテレビ番組で発言し、また、雑誌に投稿したことが最初であったと記憶しています。

続いて、M新聞及びT新聞が、横浜地方海難審判理事所(刑事裁判の検察に相当)の関係者の話に基づく内容として、潜水艦説(あるいは、それを匂わす内容)を報道しました。一部のラジオ番組でも取り上げられていました。

特にT新聞は、「船の下からの強い衝撃のため右舷の船底を損傷し、沈没したとみられることが横浜地方海難審判理事所の調査で分かった。理事所は、乗組員の証言などから、損傷は潜水艦との衝突で生じた可能性もあるとみて調査している。」旨を掲載し、潜水艦との衝突の可能性を明言しました。

その後、海上自衛隊の幹部や政府高官が、相次いで会見し、潜水艦との衝突の可能性は把握していない旨発言しました。

一体、一連の報道のきっかけとなった、横浜地方海難審判理事所の関係者とは誰なのか、我々海事専門家の間でも未だに謎のままです。

さて、政府高官らによる会見で、正式に否定されたはずの潜水艦説も、逆に否定されればされるほど、怪しいと思うのが人の常です。未だに疑っている方もいるのではないでしょうか。

実は第58寿和丸の遭難発覚後、自衛隊はかなり早いタイミングで、現場海域に哨戒機を投入したと聞いています。

T新聞のスクープ直後、Y新聞は、海上幕僚長の話として、「(事故現場海域には)海上自衛隊の潜水艦も航行しているが、接触や修理するような不具合があったという報告は一切上がっていない」と伝えています。

おそらく、第58寿和丸の遭難当時、海自の潜水艦が付近海域にいたのでしょう。いても何ら不思議ではありません。

皆さんもご記憶のとおり、今年2月19日、千葉県南房総市の野島崎の南約40キロの海上で、海上自衛隊のイージス艦“あたご”と、千葉県・新勝浦市漁協所属の漁船“清徳丸”が衝突、親子2人の漁船員が行方不明(後に死亡認定)となった事故がありました。

こうしたことから、第58寿和丸の遭難を知った海自としては、あらゆる可能性を視野に入れ、念のため現場海域を哨戒させることとしたのではないでしょうか。結果は無論“シロ”と聞いています。

無論、哨戒機による哨戒によって100%、潜水艦を発見できるとは限りません。潜水艦の発生音の静粛性が増し、また、長時間にわたり浮上もしくはシュノーケル航行しなくても済むタイプが増えている中、哨戒機が有する赤外線暗視装置、逆合成開口レーダー、アクティブブイなどのハイテク装置をもってしても、発見できない可能性はあるでしょう。

しかし、135総トンの鋼船と衝突した場合、相手の潜水艦がまったく無傷であると考えるのは、あまりにも無謀です。仮に現場海域で浮上しなかったとしても、どこかで哨戒機の警戒網に引っかかる行動を取らざるを得なかったものと推測されます。

また、哨戒機以外にも、海上保安庁の航空機などが、現場海域には展開していました。潜水艦以外の他船についても、当然のことながら該当するものがあれば、マークされているはずです。大型漂流物についても然りです。

こうしたことから、第58寿和丸の遭難原因に関し、私は潜水艦との衝突説はおろか、他船や大型漂流物との衝突説についても疑問視しています。海自や海保の哨戒及び捜査能力は、皆さんがが想像する以上に優秀です。


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