『★スパンカーの有効活用?★』[2008年08月19日(火)]
昨日もお伝えしたとおり、漁船の燃料費は原油価格高騰の影響を受け、5年前の3倍近くにまで上昇し、漁業経営の根幹を圧迫し続けています。
先月15日には、国内の漁船約20万隻のほぼ全船が参加する一斉休漁が実施され、漁業の窮状が訴えられました。
こうしたこともあり、政府は先月28日、漁船の燃料費の値上がり分の大半を事実上、直接補填する方針を決めました。
具体的には、燃料の消費量を通常より1割以上削減する省エネ努力を行なった漁業者グループに対し、燃料費の値上がり分の9割に相当する金額を負担することとしています。
今後、漁船は過速力や過積載の防止、機器類の運転効率の向上や保守・点検の励行、バイオ燃料・太陽エネルギー利用などの新技術の導入、省エネ機器の設置、エネルギー効率性の高い操業計画の策定など、様々な省エネ対策を推進することとなるでしょう。
もちろん、こうした対策のすべてが無償で実施できるわけではありません。特に省エネ機器の設置などは、漁業者に新たな経済的負担を強いることにつながります。
設置にあたり、公的資金による補助が得られたとしても、まるっきり“ただ”になるわけではないでしょう。結局、メーカーだけが儲かり、漁業者の借金は増え、漁業経営の根幹をますます圧迫するという事態にもなりかねません。
しかし、すでに漁船に備えられている設備が、省エネ対策の一部を担うとすればとても有益であることに間違いありません。私もいろいろと考えてみました。
たとえば、スパンカーを有効活用することはできないのでしょうか。通常、日本の小型漁船の船尾には、ほとんどの場合、スパンカーと呼ばれる小型のセールが装備されています。
本来、スパンカーとは、帆船の船尾に装備されている縦帆のことを意味します。帆船のスパンカーは、推進力もさることながら、主に回頭性能を向上させる効果を期待して設置されているものです。
日本の小型漁船のスパンカーはそれを改良したものです。使用目的は、操業時に船首を風上に向かせ、また、風波による漂流を最小限に抑えるためのもので、帆船のスパンカーとは用途が異なります。
そもそも、現在の日本の小型漁船のスパンカーは、昭和のはじめ、千葉県のとある漁師さんが、試行錯誤の末、開発したものと言われています。
効率的な操業を目指していた彼は、操業時、何とか自船の船首を風上に向かせ、また、風波による漂流を最小限に抑えることはできないのかと思い悩んだそうです。
そこで注目したのが、内航船に備えられていた縦帆でした。当時の内航船の多くは機帆船と呼ばれ、エンジンと帆とを兼ね備えたタイプのものが主流でした。
私の現役時代、甲板長クラスの古い船乗りたちの中には、内航船のことを機帆船と称する者がいました。内航船の多くがエンジンと帆とを兼ね備えていた当時の名残なのですが、私自身は内航船を蔑視したようなニュアンスに聞こえ、あまり好きな言葉ではありませんでした。
彼は機帆船の縦帆を原型とし、改良に改良を重ね、小型漁船用のスパンカーとして完成させたのでした。今やスパンカーは、小型漁船にとって必要不可欠な装備となり、全国に広まっています。
彼の開発したスパンカーは、空力学的にも理にかなった、極めて優れたものであることが、最近の研究によって明らかになりました。昭和のはじめの漁師さんの経験と勘が、現代の科学力に匹敵する装備を開発したのでした。
さて、一般にスパンカーは操業中のみに利用され、行き帰りの航海ではほとんどの場合格納されています。
航行中にばたつき、逆に抵抗となり推進力を減じること、保針性を損なうおそれがあること、後方視界を妨げるおそれがあることなどが主な理由と思われます。
しかし、スパンカーは帆の一種である以上、使うタイミングと使い方次第では、推進力の一部を補うことは理論的には可能なはずです。
先日、帆船の空力学が専門の先生と意見交換を行ないました。やはり、可能性はあるという結論に達しました。
すでに多くの小型漁船が装備しているスパンカー、漁船の省エネ運航手段の一つとして、有効活用できないものでしょうか。

先月15日には、国内の漁船約20万隻のほぼ全船が参加する一斉休漁が実施され、漁業の窮状が訴えられました。
こうしたこともあり、政府は先月28日、漁船の燃料費の値上がり分の大半を事実上、直接補填する方針を決めました。
具体的には、燃料の消費量を通常より1割以上削減する省エネ努力を行なった漁業者グループに対し、燃料費の値上がり分の9割に相当する金額を負担することとしています。
今後、漁船は過速力や過積載の防止、機器類の運転効率の向上や保守・点検の励行、バイオ燃料・太陽エネルギー利用などの新技術の導入、省エネ機器の設置、エネルギー効率性の高い操業計画の策定など、様々な省エネ対策を推進することとなるでしょう。
もちろん、こうした対策のすべてが無償で実施できるわけではありません。特に省エネ機器の設置などは、漁業者に新たな経済的負担を強いることにつながります。
設置にあたり、公的資金による補助が得られたとしても、まるっきり“ただ”になるわけではないでしょう。結局、メーカーだけが儲かり、漁業者の借金は増え、漁業経営の根幹をますます圧迫するという事態にもなりかねません。
しかし、すでに漁船に備えられている設備が、省エネ対策の一部を担うとすればとても有益であることに間違いありません。私もいろいろと考えてみました。
たとえば、スパンカーを有効活用することはできないのでしょうか。通常、日本の小型漁船の船尾には、ほとんどの場合、スパンカーと呼ばれる小型のセールが装備されています。
本来、スパンカーとは、帆船の船尾に装備されている縦帆のことを意味します。帆船のスパンカーは、推進力もさることながら、主に回頭性能を向上させる効果を期待して設置されているものです。
日本の小型漁船のスパンカーはそれを改良したものです。使用目的は、操業時に船首を風上に向かせ、また、風波による漂流を最小限に抑えるためのもので、帆船のスパンカーとは用途が異なります。
そもそも、現在の日本の小型漁船のスパンカーは、昭和のはじめ、千葉県のとある漁師さんが、試行錯誤の末、開発したものと言われています。
効率的な操業を目指していた彼は、操業時、何とか自船の船首を風上に向かせ、また、風波による漂流を最小限に抑えることはできないのかと思い悩んだそうです。
そこで注目したのが、内航船に備えられていた縦帆でした。当時の内航船の多くは機帆船と呼ばれ、エンジンと帆とを兼ね備えたタイプのものが主流でした。
私の現役時代、甲板長クラスの古い船乗りたちの中には、内航船のことを機帆船と称する者がいました。内航船の多くがエンジンと帆とを兼ね備えていた当時の名残なのですが、私自身は内航船を蔑視したようなニュアンスに聞こえ、あまり好きな言葉ではありませんでした。
彼は機帆船の縦帆を原型とし、改良に改良を重ね、小型漁船用のスパンカーとして完成させたのでした。今やスパンカーは、小型漁船にとって必要不可欠な装備となり、全国に広まっています。
彼の開発したスパンカーは、空力学的にも理にかなった、極めて優れたものであることが、最近の研究によって明らかになりました。昭和のはじめの漁師さんの経験と勘が、現代の科学力に匹敵する装備を開発したのでした。
さて、一般にスパンカーは操業中のみに利用され、行き帰りの航海ではほとんどの場合格納されています。
航行中にばたつき、逆に抵抗となり推進力を減じること、保針性を損なうおそれがあること、後方視界を妨げるおそれがあることなどが主な理由と思われます。
しかし、スパンカーは帆の一種である以上、使うタイミングと使い方次第では、推進力の一部を補うことは理論的には可能なはずです。
先日、帆船の空力学が専門の先生と意見交換を行ないました。やはり、可能性はあるという結論に達しました。
すでに多くの小型漁船が装備しているスパンカー、漁船の省エネ運航手段の一つとして、有効活用できないものでしょうか。




