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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★中国で見た名芝居?(その3)★』[2008年08月13日(水)]
(今までのあらすじ)
約30年前の中国の港町で、名所・旧跡めぐりのバスツアーに参加した私たち乗組員、実はこのツアーはあらかじめ巧妙に作られた“芝居”だったのでした。

二日連続してこのツアーに参加した私、偶然性を装いながらも、実は同じ登場人物による、同じせりふ、寸分違わぬパフォーマンスを見てしまったのでした。

それから一週間後、私たちの船は久しぶりに日本の港に戻ってきました。そこで、私は再び、同じ“芝居”を二回連続して見る羽目に陥ったのでした。

私は独身者ということもあり、船にそのまま居残り、当番をする羽目となってしまいました。船長代理としての在船当番でした。

そこにやってきたのが、K警察の二人組みの刑事さん、私たちの船が中国のT港に入港していた事実を知り、軍事施設などについての情報収集が目的だったのでした。

現在のように、衛星画像が活用できなかった当時、公安の刑事さんたちが船を訪問し、自らの足で情報を集めていたのでした。

T港では、軍事を撮影することは堅く禁じられ、また、本船のレーダーも出港するまでの間、封印され作動できませんでした。

成果を得られず、意気消沈し、事務室の右側のドアから退室した二人、ドアが閉まったとほぼ同時に、今度は左側のドアが突然開いたのでした。

(昨日のつづき)
左側のドアから現れたのも、二人組みの男たちでした。しかも、右側のドアから出ていった二人組みと人相・風体が瓜二つでした。

左側のドアから入出してきた二人の男、先客と同様、先頭に立った小柄な中年男が、笑みを浮かべながら話しかけてきました。

「船長あるいは代理の方はいらっしゃいますか。」

「船長はあいにく不在です。私、三等航海士が船長の代理ですが、何か・・・。」

「ああ、三等航海士さんですね。こんにちは。はじめまして。お忙しいところ恐縮です。A警察から来ましたCです。こちらは同じくDです。」

先客が退室したのと、ほぼ同時に新たな客です。しかも、またもや警察官と名乗っています。偶然にしてはできすぎです。少々のことでは動じない私も、さすがに唖然としました。まさか、今度は偽警官でも現れたのでしょうか。

しかし、先客と同様、頑丈そうな編み紐につながれた黒い手帳を取り出し、お辞儀に応える私の目の前にそれを突き出したのですから、“偽者”ではないようです。

右の扉から二人組みが出た瞬間、左の扉から瓜二つの二人組みが現れる。しかも、両者ともに刑事さん。当時はやっていた、ドリフターズのドタバタ劇で使われてもおかしくない、ギャグシーンのようでした。

それが、今、私の目の前で現実に起こったのです。私は一瞬、これは“ドッキリカメラ”の撮影ではないかと思いました。しかし、本当の“喜劇”はこれから始まったのでした。

C氏の後ろのもう一人の男性D氏、先ほどのB氏より若干若く見えるものの、同様に長身で痩せ型、神経質そうな顔立ちで、お辞儀こそするものの一言も発せず、鷹のように鋭い視線を私に向けています。

私は、「(立った今、皆さんと入れ違いにK警察の方が帰ったのですが。)」とは言いませんでした。とりあえず、二人に席を勧めました。着席後、笑みを浮かべながら、C氏が一声を発しました。

「外航船はいいですね。いろいろな国をめぐれて。私もガキのころ、憧れましたよ。でも、船にはあまり強くないのですよ。夢は叶わず、警察官になってしまいましたが。」

なんと、先客A氏の第一声とほぼ同じ内容でした。私はわけがわからなくなり、混乱しました。同時に、頭がくらくらとしてきました。

「(その導入部分、先ほど入れ違いに帰ったK警察の方と一緒ですがが。)」とは、言えない雰囲気になってきました。

その後、C氏は先ほどのA氏と同様、たわいない船や海の話を仕向けてきました。その内容は、ほぼ100パーセント、先客のA氏の会話と同じでした。私は心の中で、「(落ち着け、落ち着け)」と唱えながら、平静を努めて先ほどと同じ受け答えをしました。頃合を見計らって、例の質問がやはり来ました。

「本船はいろいろな国の港に寄っているようですね。最近はどちらに行かれましたか。」

「(あー、また同じ質問か)」と思いつつ、私はここ半年間の本船の寄港地を順番に説明しました。

C氏:「中国のT港に寄ったばかりですか!はじめての入港ですか。」

私:「そうです。はじめてでした。」

C氏:「T港で何か変わった施設を見ましたか?」

以下、私とC氏の会話の内容を知りたい方は、昨日の私のブログを読み返してください。A警察の二人は、先客であるK警察の二人と同様、中国T港の軍事施設などについての情報収集が目的の公安警察だったのでした。

10分後、A警察の二人は先客であるK警察の二人と同様、何ら収穫なく、意気消沈し、事務室の右側のドアから退室していったのでした。

私たちの船が着岸していたのはN社のプライベートバース。N社の敷地はK市とお隣りのA市に跨っていました。

そのため、警察の情報収集活動も、K警察とA警察に跨ってしまったのが理由と思われます。しかも、K警察とA警察、県警が用意した同じマニュアルに従い、情報収集を仕掛けたものと推測されます。そのため、会話の中身がほぼ100パーセント、一緒の内容となってしまったわけです。

中国で同じ“芝居”を二回連続で見てきた私、なんのことはない、日本でも同じ“芝居”を二回連続で見る羽目に陥ったのでした。

日本と中国、国の制度は違えど、同じようなことは行なわれているのです。三回にわたってお伝えした私の昔話、このへんでお開きといたしましょう。お後がよろしいようで・・・。

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コメント
こちらも面白いお話でした。おそらく中国入港2回目以降の船に対するマニュアルもあったのでしょう。細部までマニュアル通りに対応する警察官は今もいますね。
世間話でアイスブレーキングと言う狙いは判りますが、終盤の質問で公安だということは判ってしまうのだから、猿芝居をするよりもはじめから「公安です。情報収集に協力願います」と名乗る方が、人によっては好感を持てると思います。質問者のレベルが低いと、どちらの方法でも笑われるか嫌悪感を持たれてしまいそうですが。
公安にはそれがわからない人が多いのかもしれません。
Posted by:キノコハンター  at 2008年08月14日(木) 12:00

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