『★第58寿和丸転覆海難、異常多発のフリーク波か?★』[2008年06月30日(月)]
6月23日午後、千葉県・犬吠崎の沖合の太平洋上で、福島県・いわき市の巻き網網漁船“第58寿和(すわ)丸(135トン)”が転覆し後に沈没、死者・行方不明者が出ている海難の続報です。
残り13人の方はいまだ行方不明のままです。現場海域での捜索は、たびたび荒天に阻まれるものの、いまだ懸命に行われています。ただし、遼船による捜索活動は、事故から一週間が経過したことから、本業のことも考え、態勢縮小の苦渋の選択を迫られている状況のようです。
こうした中、昨日(6月29日)、現場海域での捜索に参加していた遼船が、捜索の際に回収した、第58寿和丸のものと思しき遺留品約100点を携え、福島県・いわき市の小名浜港に入港しました。
これらの遺留品は、福島海上保安部の職員によって確認や写真撮影などが行われた後、本日(6月30日)より当分の間、所属する船会社が手配した倉庫内に保管され、乗組員の家族らに公開されるとのことです。
さて、今回の事故の原因については、発生当初から多くの報道や海事関係者が、“三角波(複数の異なる方向からの波どうしがぶつかり、鋸の歯のような形状の、垂直方向に破壊力の大きな波ができる現象)”犯人説を取り上げてきました。
一方私は、はじめから三角波ありきではなく、シーアンカー(パラシュートアンカー)の離脱や漁具の移動など、あらゆる可能性を考えることが肝要と伝えてきました。
今日のS新聞朝刊は、波が犯人とするも、“三角波”ではなく、むしろ“フリーク波”の可能性が高いことを示唆する記事を掲載しています。
フリーク波とは外洋で突発的に現われる一種の異常波浪のことを指します。フリークとは文字通り“気まぐれ”、あるいは“風変り”な波のことを言います。一般には、“一発大波”のほうが馴染みがあるのではないでしょうか。
つまり、外洋の波は通常、比較的一定の周期で一定の高さで安定しているはずなのですが、突然、巨大な波が出現する現象です。
一般に外洋では、100回の波のうち1回に有義波高の1.5倍、1,000回の波のうち1回に2倍近い大波が出現すると言われています。2倍どころか、それ以上の大波も否定できません。
たしか、ハリウッド映画の“ポセイドン・アドベンチャー号”を襲い、転覆させたのも、超巨大なフリーク波という設定になっていたと思います。
さて、第58寿和丸の転覆時の状況ですが、船首右方向から襲ってきた横波を受けて船体が左舷に傾斜、右舷側に“揺り戻された”ところを、今度は再び同じ方向から襲ってきた二回目の横波でさらに大傾斜し転覆に至ったとされています。
フリーク波が二度も連続して襲ったとしたら、よほどの偶然が重なったと言わざるを得ません。100万回に1回の確率です。
なお、報道によると、第58寿和丸が転覆する約1時間半前の6月23日正午ごろ、事故現場の北約10キロの地点にいた遼船の乗組員が、「前方から大きな波を2回受け、衝撃を感じた」と話しているそうです。
局所的かつ一時的な三角波なのか、従来の確率を超え異常に多発したフリーク波なのか、それとも他に原因があるのか、二度と悲劇を繰り返さないためにも、慎重に考察する必要があります。





ご承知のとおり、ヨットは航行そのものを目的とした船舶であり、これといった重量物は積載せず、喫水の変化もあまりありません。
したがって、スピードや操縦性を重視し、シャープな船体形状とし、大きく底に広がったキールを配し錘をつけ、復元性の向上を図っています。
一方、外洋型の漁船は漁後にあっては、漁獲物や水分を含んだ網等の重量物、また、大量の燃料・清水の消費のため船体のバランスは大きく変動します。
復元性を保持するためには、大きなキールや深い船底では難しく、全体的にずんぐりとした船型や重心変化を考慮した構造配置や予備浮力などに委ねられます。