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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★へりおす海難とパネル展示会★』[2008年05月29日(木)]
まだ、五月だと言うのに東京は雨模様、ひとあし早く“梅雨”の訪れを迎えたかのような、鬱陶しい空気が漂っています。毎年この時期になると、私は決まってあの海難を思い出します。

太平洋の波浪が荒々しく押し寄せる断崖の岬、福島県・鵜ノ尾埼の片隅に、石造りの慰霊碑が建立されています。海洋調査船“へりおす(50総トン)”の乗組員を偲ぶ碑です。

“へりおす”は当時新鋭の海洋調査船として建造されました。船長をはじめとする9人の乗員は、海洋調査に対する使命感に満ち溢れ、いずれも未来を夢見た20〜30代の若者たちでした。彼らはへりおすの沈没によって、全員が殉職したのです。

1986年(昭和61年)6月16日、海洋調査船へりおすは、母港である静岡県・清水港から北海道・羽幌港に向かう途上、福島県沖合の海域に達しました。北海道での魚礁調査および一般公開を行うためで、建造されたばかりの“へりおす”にとって、これが事実上の初仕事でした。

当時、現場海域は天候悪化の傾向があったのですが、“へりおす”はそのまま北上を続けました。途中、自社の運航管理者に対し、「これ以上天候が悪くなれば最寄りの港へ避難するつもりである。」旨の臨時連絡を行っています。

運航管理者は、「前線が近づいているのでなるべく避難するように。」と助言したそうです。“へりおす”は同日午前5時38分ごろ、福島県・相馬市・鵜ノ尾埼の沖合海域において、遭難信号すら発信しないまま消息を絶ったのでした。

翌日、付近を通りかかったフェリーボートが、無人で漂流している“へりおす”の救命イカダを発見しました。海上保安庁の巡視船などによる捜索が行われ、福島県・相馬市・鵜ノ尾埼の東方31海里(約57km)、水深約215メートルの海底に沈んでいるへりおすの船体が発見されました。乗員7名が死亡、2名が行方不明となりました。

“へりおす”の海難は生存者がなく、また、目撃情報もないため、原因追求は困難を極めました。海難審判では、海底から引き揚げられた船体の検証結果などから、甲板上の開放部から海水が機関室内に流れ込み、電源が絶たれて操舵が不能になり、さらに波浪に翻弄されて横転、ついに沈没に至ったものと裁決されました。
 
四面を海で囲まれた日本にとって、海運や漁業は国民生活の大切な命綱です。海洋基本法が制定され、海洋に対する国民の意識が高まるなか、海上輸送や漁業にはつきものの“海難”という悲しい現実を見つめ直し、海洋のもたらす様々な恩恵を再認識すべきではないでしょうか。

“海難”は単なる交通事故とは性格が異なります。発生当時の社会情勢や世相を映し出す“鏡”でもあるのです。悲惨な“海難”を直視し、その歴史を振り返れば、当時の社会情勢や世相が垣間見えてきます。

昨日、知人から得た情報によると、(社)日本海難防止協会は、創立50周年を迎えるにあたり、戦後日本の代表的な海難を振り返る、パネル展示会を以下のとおり開催するそうです。私も今から、とても楽しみにしています。

1.名称:
「戦後海難の歴史と再発防止への取り組み」
主催:社団法人 日本海難防止協会
共催:財団法人 日本海事科学振興財団
後援:海上保安庁、産経新聞社

2.場所:
船の科学館・羊蹄丸、「アドミラルホール」
※ ゆりかもめ、「船の科学館」駅下車(新橋駅から17分、豊洲駅から14分)

3.日時:
2008年8月1日(金曜日)〜8月31日(日曜日) AM10:00〜PM5:00

4.入場料
無料

5.お問い合わせ
 03(3502)2231 日本海難防止協会


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