『★イージス艦海難審判の盲点★』[2008年05月12日(月)]
今年2月19日、海上自衛隊のイージス艦“あたご”と、千葉県・新勝浦市漁協所属の漁船“清徳丸”が衝突、親子2人の漁船員が行方不明となった事故の続報です。
先週末の報道によると、横浜地方海難審判理事所の特別調査本部は、“あたご”の前航海長で、衝突前の当直士官(当直グループの責任者)であった三等海佐を、海難審判の指定海難関係人(刑事裁判の被告に相当)とする方針を固めたようです。
三等海佐は、「清徳丸を含む漁船団とは、衝突の恐れはない」と考え、不適切な引き継ぎを行ったとし、これが事故の原因の一端とする見方を強めたとのことです。
これまで理事所は、“あたご”の前艦長の一等海佐、衝突時の当直責任者であった前水雷長の三等海佐、“あたご”が所属する海上自衛隊・第三護衛隊群(京都府・舞鶴市)の三者を指定海難関係人にするとしていました。
今回の前直責任者を加えたことにより、指定海難関係人は全部で四者となる見通しです。なお、これらの関係者が日本の正規の海技免状を有していた場合、通常、指定海難関係人ではなく、受審人(やはり、刑事裁判の被告に相当)となります。
しかし、海上自衛隊の海技資格は、自衛隊の中だけで通用する“部内資格”です。すなわち、彼らはいわゆる日本の正規の海技免状を有していません。したがって、現行制度上、海難審判においては、受審人とはなり得ない仕組みとなっているのです。
日本の海難審判は、審判を通じ海難の原因を明らかにするとともに、日本の正規の海技免状を有する海難の当事者に対し、免許の執行停止などの行政処分を下す役目も担っています。
したがって、海難審判の受審人は、あくまでも、日本の正規の海技免状を有する海難当事者に限定されます。
しかし、海技免状を持たない者であっても、海難の原因に関係があり、かつ、これに対し勧告をする必要があると認めた場合、これを“指定海難関係人”として審判にかけることができるのです。
今回の事故では、少なくとも清徳丸の乗組員二人については、日本の正規の海技免状を有していたはずです。
しかし、二人とも行方不明のため、当然、受審人として海難審判に参加することはできません。一方、イージス艦側は、関係者が皆、日本の正規の海技免状を有していないのです。
したがって、今回の事故、海難審判に登場するのは、皆、日本の正規の海技免状を有しない、“指定海難関係人“だけということになります。受審人は一切登場しないのです。
何が問題なのか、おわかりでしょうか。実は海難審判が、一審だけで結審してしまう可能性が高いのです。
現在、海難審判法では、一審に対して不服があった場合、二審請求ができるのは、理事官(刑事裁判の検察に相当)又は受審人(刑事裁判の被告に相当)と定められています。
したがって、今回の事故のように、受審人が一人も存在しないような場合、理事官が二審請求しない限り、必然的に一審だけで結審してしまうのです。
世間を震撼させた“大事件”が、“高等裁判所”や“最高裁判所”に上げられず、“地方裁判所”で結審してしまうことと同様です。
指定海難関係人やその補佐人(刑事裁判の弁護士に相当)が、いくら裁決に不服があっても駄目なのです。法律で決められているからです。

先週末の報道によると、横浜地方海難審判理事所の特別調査本部は、“あたご”の前航海長で、衝突前の当直士官(当直グループの責任者)であった三等海佐を、海難審判の指定海難関係人(刑事裁判の被告に相当)とする方針を固めたようです。
三等海佐は、「清徳丸を含む漁船団とは、衝突の恐れはない」と考え、不適切な引き継ぎを行ったとし、これが事故の原因の一端とする見方を強めたとのことです。
これまで理事所は、“あたご”の前艦長の一等海佐、衝突時の当直責任者であった前水雷長の三等海佐、“あたご”が所属する海上自衛隊・第三護衛隊群(京都府・舞鶴市)の三者を指定海難関係人にするとしていました。
今回の前直責任者を加えたことにより、指定海難関係人は全部で四者となる見通しです。なお、これらの関係者が日本の正規の海技免状を有していた場合、通常、指定海難関係人ではなく、受審人(やはり、刑事裁判の被告に相当)となります。
しかし、海上自衛隊の海技資格は、自衛隊の中だけで通用する“部内資格”です。すなわち、彼らはいわゆる日本の正規の海技免状を有していません。したがって、現行制度上、海難審判においては、受審人とはなり得ない仕組みとなっているのです。
日本の海難審判は、審判を通じ海難の原因を明らかにするとともに、日本の正規の海技免状を有する海難の当事者に対し、免許の執行停止などの行政処分を下す役目も担っています。
したがって、海難審判の受審人は、あくまでも、日本の正規の海技免状を有する海難当事者に限定されます。
しかし、海技免状を持たない者であっても、海難の原因に関係があり、かつ、これに対し勧告をする必要があると認めた場合、これを“指定海難関係人”として審判にかけることができるのです。
今回の事故では、少なくとも清徳丸の乗組員二人については、日本の正規の海技免状を有していたはずです。
しかし、二人とも行方不明のため、当然、受審人として海難審判に参加することはできません。一方、イージス艦側は、関係者が皆、日本の正規の海技免状を有していないのです。
したがって、今回の事故、海難審判に登場するのは、皆、日本の正規の海技免状を有しない、“指定海難関係人“だけということになります。受審人は一切登場しないのです。
何が問題なのか、おわかりでしょうか。実は海難審判が、一審だけで結審してしまう可能性が高いのです。
現在、海難審判法では、一審に対して不服があった場合、二審請求ができるのは、理事官(刑事裁判の検察に相当)又は受審人(刑事裁判の被告に相当)と定められています。
したがって、今回の事故のように、受審人が一人も存在しないような場合、理事官が二審請求しない限り、必然的に一審だけで結審してしまうのです。
世間を震撼させた“大事件”が、“高等裁判所”や“最高裁判所”に上げられず、“地方裁判所”で結審してしまうことと同様です。
指定海難関係人やその補佐人(刑事裁判の弁護士に相当)が、いくら裁決に不服があっても駄目なのです。法律で決められているからです。




