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海洋汚染情報 −海の事件簿−
海上で起きた重大な汚染事件・事故について、独自の視点から鋭くメスを入れ、分析・解説する”海の社会部デスク”、その名も”元海の男”、職業”(さすらい派)研究員”による海の事件簿。
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『★宮城県山元町座礁事故のその後★』[2007年04月26日(木)]
先週の火曜日(4月17日)早朝、福島県との県境付近、宮城県山元町の磯浜漁港近くの砂浜海岸に、セント・ビンセント船籍の貨物船“JANE(4,643総トン)”が座礁した事故の続報です。

この海難では、悪天候の中、海上保安庁の決死の救助活動により、ロシア人乗組員17人は、全員無事救助されました。

しかしながら、その後、座礁現場付近の海域に、同号から流出したと思しき油膜が漂い始めました。座礁した船体は、次の時化で一挙に破断に至るやも知れず、油汚染の拡大が大いに懸念されていました。

現場付近の海域は、目下、コウナゴ漁(イカナゴの通称名)の最盛期です。流出油の漁への影響を懸念した漁業者が、現場海域での漁を自粛したとも伝えられました。

手っ取り早い解決策は、同号に残存している燃料油等を、流出前にすべて回収することです。山元町に設置された、関係機関による対策本部も、油抜き取りのための準備を着々と進めてきたはずです。

“油の抜き取り”と言っても、海上での作業は自然が相手であるが故、そう簡単には事は運べません。無理をして抜き取ることにより、油汚染が一挙に拡大する危険性が極めて高いからです。

こうした中、昨日(4月24日)、第二管区海上保安本部は、座礁した“JANE”と陸岸との間に、ロープ2本を張る作業に成功しました。

たかがロープ二本と言えども、作業は簡単ではありません。海・気象が比較的穏やかな時を選び、回転翼機が座礁現場に出向き、潜水士(海猿)を降下させ作業に当たらせるという、大変な危険を伴う作戦です。

張られた二本のロープは、今後の油抜き取り作業のための言わば“命綱”で、先取りロープ、または、パイロットロープと呼ばれるものです。今後の作業、例えば機材の移動なども、当該ロープを利用して行なわれるわけです。

座礁船からの油の抜き取り作業、やっと、最初のステップに漕ぎ着けたわけで、まだまだ予断を許しません。作業が終わるまでの間、船体破断に至らぬよう、神頼みあるのみなのです。

ところで、事故現場となった山元町では、今年3月8日、仙台湾南部で捕れたホッキ貝から、国の規制値を上回る麻痺性貝毒(毒素を有する植物性プランクトンを貝が食し、さらに、貝を食した人間にも連鎖する中毒)が検出されたことから、漁期を20日あまり残し、ホッキ貝漁が終了に追い込まれるという事態に見舞われました。

そして、今回の座礁事故に伴うコウナゴ漁の自粛と、地元の漁業者は、続けざまに二度の不運に見舞われています。せめて、これ以上の不運、すなわち、油の本格的流出といった最悪の事態に発展しないよう、心から祈る次第です。



     植物性プランクトン

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コメント
元 海の男さま

早速ていねいなご教示を
ありがとうございました。

オイルスキミングネットというものは
対処療法だが、オイルフェンスよりは
油吸着材が付いている分、少し進んで
いるということなのですね。

根治療法として、早く船体が
撤去されることを祈ります。
Posted by:みずなぎどり  at 2007年05月09日(水) 16:34

みずなぎどり様

ご指摘のとおり、オイルスキミングネットによる囲い込みや封鎖は、私のブログで言うところの”対処療法”であって、”根治療法”にはなり得ない手段です。

ただし、単にオイルフェンスで囲い込む(あるいは、その内部に吸着マットを捲く)よりも、はるかに現実的な対処療法と言えます。

「痛くなりそうな場所に、あらかじめ包帯を撒いておく」のがオイルフェンスであるならば、「包帯には痛み止めを染み込ませておく」のが今回の手法です。

何度も言うように、「痛くなる可能性がある患部の徹底治療」が、本来、望まれている最適治療法であるのです。

なお、今回と同様の手法は、数年前、鹿児島県の志布志湾で、貨物船コープベンチャーが座礁した際に採用され、それなりの効果を得ました。

しかし、気を付けなくてはいけないのは、比較的静穏な海域であるならば、この手法が有効な対処療法となり得るのですが、時化の状態では吸着の効果が十分発揮できない点です。

少量の流出状態が、今後も安定して続くようならば、この対処療法でも良いのでしょうが、最悪の事態に際しては、これ以外の最適な対処療法はいわば未知数の領域です。



Posted by:みずなぎどり
Posted by:元 海の男  at 2007年05月01日(火) 16:51

元海の男さま

いつもお世話になっている自然保護団体の者です。

今回は今のところ海鳥への被害が出ていないようで
ほっとしているのですが、4月28日付けの
福島民友新聞に以下のような記事が出ていて、
首をひねっています。
>  宮城県山元町沖でカリブ海のセントビンセント・グレナ
> ディーン船籍の貨物船が座礁した事故で、座礁船の
> 保険会社の委託を受けた業者は二十八日、座礁船
> 周辺を「オイルスキミングネット」と呼ばれる、油吸着材
> が付いたネットを設置した。この措置で船体に残された
> 重油が流出する最悪のケースの可能性はかなり
> 少なくなった。
>  一方、座礁船のネット設置で一応の安全対策が
> 図られたとして、相双漁協などは同日、松川浦
> 入り口を封鎖していたオイルフェンスを一部
> 解除した。フェンスを半分折り曲げた状態で、
> 今後厳しい監視体制のもと、状況をみながら、
> いつでも再封鎖できるようにしているという。

「オイルスキミングネット」の設置は油流出時の対策
であって、
> 船体に残された
> 重油が流出する最悪のケース
> の可能性
を抑える措置ではないように思うのですが、
いかがでしょうか。
Posted by:みずなぎどり  at 2007年04月30日(月) 01:41

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