『★第58寿和丸転覆海難、海難原因を大胆推測(その3)!★』[2008年07月09日(水)]
6月23日午後、千葉県・犬吠崎の沖合の太平洋上で、福島県・いわき市の巻き網網漁船“第58寿和(すわ)丸(135トン)”が転覆し後に沈没、死者・行方不明者が出ている海難の続報です。
この事故では3人の方が救助されたものの、4人の方が死亡、残り13人の方はいまだ行方不明のままです。
海上保安庁による捜索は打ち切られ、継続されていた遼船2隻による専従捜索も、先週末(7月5日)をもって終了しました。
専従捜索を行なっていた2隻は、その後、操業をしながらの捜索に切り替えています。現場海域での操業を終えた後、明日(7月10日)までには母港の小名浜港に帰港する予定と聞いています。
事実上、本海難に関する捜索活動はすべて打ち切られたことになります。13人の方々の帰りを待ち侘びるご家族の心情を察するに、誠に残念でなりません。無論、私以上に、最後まで捜索活動に従事した遼船をはじめ、漁業関係者の悔しさも筆舌に尽くしがたいかと思います。
さて、本海難の原因ですが、本ブログの愛読者の皆さんは既にご承知のとおり、私ははじめから三角波やフリーク波ありきではなく、シーアンカー(別名パラアンカー)の離脱や漁具の移動など、あらゆる可能性を考えることが肝要と伝えてきました。
特に、シーアンカーが正常に機能していたのか否かが、私は本海難の原因究明の最大のポイントだと思い、事故当初から指摘してきました。
第58寿和丸は横方向から大波を2回受けて転覆・沈没しました。シーアンカーとは、船首部分から延ばしたロープの先端に落下傘状の抵抗となる物体が装着されたものです。海中で水平方向に展開した落下傘をイメージしてください。
これを投入することにより、船首は風上の方向を常に向き続け、船体は風に対して平行な姿勢を保つことができます。また、風による圧流もある程度抑制することができます。
第58寿和丸はシーアンカーを使用していながら、あろうことか横方向から波を受けたのです。無論、予期せぬ方向からの大波が突如現れた可能性も否定できません。
しかし、むしろ、まずはシーアンカーが正常に機能していたかどうかを検証すべきです。私は察するに、転覆前、今まで正常に正面から波を受けていたのに、転覆時にあっては、自船の腹を波に曝す状態となっていた、すなわち、シーアンカーが正常に働いていなかった可能性を疑っています。
その原因こそ、今回の事故の原因を解く鍵で、私はシーアンカーの離脱又は破損が原因と見ています。
第58寿和丸は完全にエンジンを停止させ、シーアンカーに態勢を委ねていたとされています。おそらく、第58寿和丸の操舵室内には当直員もいなかったのでしょうか。
この状況で、何かの理由でシーアンカーのロープが外れ、あるいはシーアンカーが破損したとしたら、安定していた船体の姿勢はただちに崩れ、波風を真横から受ける最悪の態勢へと陥ります。しかしながら、当直員不在では気付くのが遅れ、エンジン停止ではただちに船体を立て直すことも困難です。
シーアンカーを用いた漁船などの小型船の荒天避泊は、教科書などにも記載されている一般的な手法で、けっして誤ったやり方ではありません。法律でも、一定の漁船に対しては、シーアンカーの装備を義務付けています。
ただし、ただ単にシーアンカー投下し、船体を波に委ね、乗組員は休んでいても良いという訳ではありません。操舵室に当直員を立て、エンジンをアイドリング状態とし、いついかなる不測の事態に対しても、エンジン及び舵を使用して船体を立て直せる状況としておくことが基本のはずです。
私の知る限り、シーアンカーを用いた荒天避泊中の転覆事故は、過去にもありました。ただし、プレジャーボートによる事故でした。しかも、使用していたシーアンカーは、荒天避泊用のものというよりは、むしろ、遊漁中に船体を波風に立て、移動を最小限に抑えることを主目的とした簡易なものでした。
今回の事故のように、大型漁船による本格的なシーアンカーを用いた荒天避泊中の転覆事故は、極めて稀なケースと言えます。
報道によると、一部の専門家からは、「シーアンカーが船首の動きを制限し、傾いた船体の復元力を妨げたのではないか。」との指摘があるそうです。たしかに、船を安定させるためのシーアンカーが、突然の横波に対し、逆に船の運動を抑制する可能性はあるでしょう。
しかし、この推測はあくまでもシーアンカーが正常に機能していたことを前提にしたものです。繰り返しになりますが、むしろ、まずはシーアンカーが正常に機能していたかどうかを検証すべきです。
また、第58寿和丸が、操舵室に当直員を立て、エンジンをアイドリング状態とし、いついかなる不測の事態に対しても、エンジン及び舵を使用して船体を立て直せる状況としておくという、基本運用を行なっていたか否かも検証すべきです。

この事故では3人の方が救助されたものの、4人の方が死亡、残り13人の方はいまだ行方不明のままです。
海上保安庁による捜索は打ち切られ、継続されていた遼船2隻による専従捜索も、先週末(7月5日)をもって終了しました。
専従捜索を行なっていた2隻は、その後、操業をしながらの捜索に切り替えています。現場海域での操業を終えた後、明日(7月10日)までには母港の小名浜港に帰港する予定と聞いています。
事実上、本海難に関する捜索活動はすべて打ち切られたことになります。13人の方々の帰りを待ち侘びるご家族の心情を察するに、誠に残念でなりません。無論、私以上に、最後まで捜索活動に従事した遼船をはじめ、漁業関係者の悔しさも筆舌に尽くしがたいかと思います。
さて、本海難の原因ですが、本ブログの愛読者の皆さんは既にご承知のとおり、私ははじめから三角波やフリーク波ありきではなく、シーアンカー(別名パラアンカー)の離脱や漁具の移動など、あらゆる可能性を考えることが肝要と伝えてきました。
特に、シーアンカーが正常に機能していたのか否かが、私は本海難の原因究明の最大のポイントだと思い、事故当初から指摘してきました。
第58寿和丸は横方向から大波を2回受けて転覆・沈没しました。シーアンカーとは、船首部分から延ばしたロープの先端に落下傘状の抵抗となる物体が装着されたものです。海中で水平方向に展開した落下傘をイメージしてください。
これを投入することにより、船首は風上の方向を常に向き続け、船体は風に対して平行な姿勢を保つことができます。また、風による圧流もある程度抑制することができます。
第58寿和丸はシーアンカーを使用していながら、あろうことか横方向から波を受けたのです。無論、予期せぬ方向からの大波が突如現れた可能性も否定できません。
しかし、むしろ、まずはシーアンカーが正常に機能していたかどうかを検証すべきです。私は察するに、転覆前、今まで正常に正面から波を受けていたのに、転覆時にあっては、自船の腹を波に曝す状態となっていた、すなわち、シーアンカーが正常に働いていなかった可能性を疑っています。
その原因こそ、今回の事故の原因を解く鍵で、私はシーアンカーの離脱又は破損が原因と見ています。
第58寿和丸は完全にエンジンを停止させ、シーアンカーに態勢を委ねていたとされています。おそらく、第58寿和丸の操舵室内には当直員もいなかったのでしょうか。
この状況で、何かの理由でシーアンカーのロープが外れ、あるいはシーアンカーが破損したとしたら、安定していた船体の姿勢はただちに崩れ、波風を真横から受ける最悪の態勢へと陥ります。しかしながら、当直員不在では気付くのが遅れ、エンジン停止ではただちに船体を立て直すことも困難です。
シーアンカーを用いた漁船などの小型船の荒天避泊は、教科書などにも記載されている一般的な手法で、けっして誤ったやり方ではありません。法律でも、一定の漁船に対しては、シーアンカーの装備を義務付けています。
ただし、ただ単にシーアンカー投下し、船体を波に委ね、乗組員は休んでいても良いという訳ではありません。操舵室に当直員を立て、エンジンをアイドリング状態とし、いついかなる不測の事態に対しても、エンジン及び舵を使用して船体を立て直せる状況としておくことが基本のはずです。
私の知る限り、シーアンカーを用いた荒天避泊中の転覆事故は、過去にもありました。ただし、プレジャーボートによる事故でした。しかも、使用していたシーアンカーは、荒天避泊用のものというよりは、むしろ、遊漁中に船体を波風に立て、移動を最小限に抑えることを主目的とした簡易なものでした。
今回の事故のように、大型漁船による本格的なシーアンカーを用いた荒天避泊中の転覆事故は、極めて稀なケースと言えます。
報道によると、一部の専門家からは、「シーアンカーが船首の動きを制限し、傾いた船体の復元力を妨げたのではないか。」との指摘があるそうです。たしかに、船を安定させるためのシーアンカーが、突然の横波に対し、逆に船の運動を抑制する可能性はあるでしょう。
しかし、この推測はあくまでもシーアンカーが正常に機能していたことを前提にしたものです。繰り返しになりますが、むしろ、まずはシーアンカーが正常に機能していたかどうかを検証すべきです。
また、第58寿和丸が、操舵室に当直員を立て、エンジンをアイドリング状態とし、いついかなる不測の事態に対しても、エンジン及び舵を使用して船体を立て直せる状況としておくという、基本運用を行なっていたか否かも検証すべきです。













