2018年08月29日(水)
「SDGsシンポジウム&トチギ環境未来基地若者報告会」取材報告
先月28日(土)、登録団体
トチギ環境未来基地主催、栃木県後援、
『SDGsシンポジウム〜基礎知識と栃木の実践例を知る〜』と『3ヶ月間環境保全に取り組んだ若者の報告会』がとちぎボランティアNPOセンターぽ・ぽ・らを会場に行われました。
SDGsシンポジウム 全体の様子
今回行われたシンポジウムでは、SDGsの周知啓発活動にも力を入れている「
一般社団法人環境パートナーシップ会議(EPC)コーディネーター」橋朝美氏による概要説明、栃木県内で活躍されている「
NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク代表理事」岩井俊宗氏、主催団体である「
NPO法人トチギ環境未来基地理事長」塚本竜也氏による団体の事例紹介、他、パネルディスカッション、参加者同士の意見交換などが行われました
SDGs (持続可能な開発目標)は2015年9月の国連サミットで採択され、2016年〜2030年で達成するために掲げられた目標です。 営利企業やNPO、NGO、行政、教育機関などのさまざまなファクターが、協力しながら取り組むことが重要になっていきます。
高橋 朝美氏による概要説明
まず初めに
「環境ボランティアなび」の発行を行う
関東環境パートナーシップオフィス関東EPO担当コーディネーターである高橋朝美氏によるSDGs概要説明が行われました。
@貧困をなくそう、A飢餓をゼロに、Bすべての人に健康と福祉を、C質の高い教育をみんなに、Dジェンダー平和を実現しよう、E安全な水とトイレを世界中に、Fエネルギーをみんなにそしてクリーンに、G働きがいも経済成長も、H産業と技術革新の基盤をつくろう、I人や国の不平等をなくそう、J住み続けられるまちづくりを、Kつくる責任つかう責任、L気候変動に具体的な対策を、M海の豊かさを守ろう、N陸の豊かさも守ろう、O平和と公正をすべての人に、Pパートナーシップで目標を達成しよう、持続可能な世界を実現するための
17のゴール・169のターゲットから構成されています。
現在第一セクターでは政策会議として
SDGs推進本部の設置、第二セクターでは
「SDGコンパス」発行、経団連による
企業行動憲章の改訂、
中小企業向け活用ガイド発行、第三セクターとして
SDGs市民社会ネットワークの設立などが行われています。
SDGsがあってもなくても、地域の課題(環境・経済・社会等)は複雑に絡まっており、セクターだけではなく、1人ひとりが、それぞれの地域・分野で、課題と課題のつながりを意識し、行動していくことが必要であり、また、あらゆるセクターとの協働(パートナーシップ)で取り組むことで目標を達成できるとお話していただきました。
岩井 俊宗市氏による団体の事例紹介
“若者の力を活かして、地域活性化/課題解決を加速する”をミッションに活動している『
NPO法人とちぎユースサポーターズネットワーク』。
若者のアイデアプランコンテスト「iDEA→NEXT」や
実践型インターンシップ「GENBA CHALLENGE」など様々なプログラムを行っています。
取り組んでいる「iDEA→NEXT」ではこれまで学習障害(LD)を持つ児童の学習支援を行う「
Crew Kids (C質の高い教育をみんなに/I人や国の不平等をなくそう)」やフェアトレード専門店「フェアトレードショップコブル(O平和と公正をすべての人に/G働きがいも経済成長も)」、世代間交流事業、生活支援事業を行う「
一般社団法人えんがお (Bすべての人に健康と福祉を)」、循環社会をつくるためオーガニック野菜の直売所まんまとちぎ、そして店舗内には住民の才能を地域に還元するための地域フリーマーケットを行う「NPO法人ポン・テ」(J住み続けられるまちづくりを/Kつくる責任つかう責任)」、糀の離乳食甘味料商品開発、ママさんの商品開発支援等を行う「
株式会社アグクル (N陸の豊かさも守ろう/G働きがいも経済成長も)」がプログラム活動後活躍しています。
SDGs(ターゲットが社会的構造・スケールが大きい)と若者の地域づくり活動(現場体験や目の前の問題への活動)は乖離があるが、隙間を繋げていく事がとちぎユースサポーターズネットワークの支援領域であり、また、上記であげたように現場の課題は複合的で分野をまたぐテーマとなっているとお話していただきました。
塚本 竜也氏による団体の事例紹介
荒れた里山、雑木林、放置竹林の整備などをボランティアの力で整備し、子どもが安全な自然体験、福祉施設利用者の自然散策、生物多様性保護などの取組みをしている『
NPO法人トチギ環境未来基地』。若者達のチームによる
長期間(3ヶ月)滞在型の環境活動「Conservation Corps プログラム」などのプログラムを行っています。
里山整備では「障がい者施設×里山」「健康長寿社会×里山」「子どもの自然体験×里山」「子どもの貧困×里山」「ひきこもり状態の若者×里山(森の居場所)」「若年無業者×里山(みどりの中間的就労訓練)」「歴史文化×里山(歴史遺産と里山をセットで再生)」など様々な場所で活動をしており、参加の機会への工夫をする&多様な切り口で取り組んでいます。 SDGsの共通課題はやる上でパートナーシップが大切とお話していただきました。
パネルディスカッション 活動の発展やパートナーシップについて
≪SDGsに対し≫
高橋氏:NPO等がやってきた事の整理や「環境ボランティアなび」に記載されているターゲットを参考にすること・見つめ直しどう行動していくか考えることが必要。 岩井氏:自身の企業やNPOなどがしっかり価値観と合っているのか、しっかりと意欲を持って取り組めるか、スタート地点が大切でスタッフの中で共有していく事が重要。 塚本氏:ターゲットを細かく見て、関わり方を考える事が必要とお話していただきました。
パネルディスカッション後は、近くに座っている人同士で共有、その後行われた質問ではQ:NPO法人と企業のパートナーシップで必要なことは。A:実績と組織体力やマネジメントなどしっかり考えていかないと継続できない。中小企業が自社のPRだけに使われないようにする。何かCSR(企業の社会貢献活動)したいだけに使われないよう、NPO側も企業に対してどう組み合わせていけるか、提案力が必要となる。 次の質問ではQ:外の組織との構築で気を付けていることは。A:個々の信頼関係と業務ではなく個人として何を大事にして関わっていくのか。課題の共有やどういう地域にしたいか共有する。など答えていただきました。
最近SDGsで問題になっている海のプラスチック(マイクロプラスチック)汚染、日本はプラスチック排出量の多い東南アジアからの海流が流れてくるため、流れてくる密度が多い。そこでプラスチックを使わないストローなどが考えられ始めています。 そういったことから企業やNPOだけではなく、一人ひとりが関心を持ち、日々にどう活かすか、考える機会になりました。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
3ヶ月間環境保全に取り組んだ若者の報告会の様子
次に同会場で行われたのはNPO法人トチギ環境未来基地主催
「3ヶ月間環境保全に取り組んだ若者の報告会“第18期Conservation Corps(2018年5月10日〜7月29日)報告会”」が行われました。 Conservation Corpsは環境保全活動の実践を通し、次世代のリーダーのためのスキルを身につける長期間合宿型環境保全ボランティアプログラムで日本を含む様々な国の方々が参加しています。
トチギ環境未来基地で3ヶ月間合宿生活をしながら、森林里山保全活動に日々取り組んだロシア(セルゲイさん)とフィリピン(ソロモンさん)出身の2人に活動しながら感じたことなど報告していただきました。
【参考URL】
トチギ環境未来基地ブログ 長期ボランティアの声 8箇所ある活動フィールドでそれぞれがどのようなことを行ったのか報告していただきました。 創造の森(宇都宮市、こども園の森)ではソロモンさんより草刈りを含め、遊具(トンネル作り)や森の入り口に門を新しく作ったこと、一般社団法人栃木県若年者支援機構(しごとや)と一緒に活動しました。
又他のフィールドではやっほうの森(茂木町、森のようちえんの森)では階段作り、希望の丘(市貝町、地域の子どもの森)で子どもが遊べるもの、ふじやま(市貝町、サシバの里の里山)では花だん作りを地域の方と一緒に行い、刈生田の森(市貝町、サシバの里の里山)では草刈りを行いベテランの凄さを感じた。等などお話していただきました。
2人からのスピーチ セルゲイさん
セルゲイさん:ロシアで植物園のボランティアや様々なボランティアに参加してきました。3ヶ月間では環境保全以外にも、色んな文化を知ることができ、また食べたことないものを食べて気に入りました。 環境保全では自分よりも年上の方が動けていて凄いなと感じました。 地域のために頑張っている姿を見て、ロシアに戻っても植物園のボランティアに様々な年代の方に来てもらえるようにしたいと思いました。
ソロモンさん:普段はNGOで環境保全をして働いています。トチギ環境未来基地と働いている所とはつながりがあり、招待されきました。 3ヶ月間の合宿生活では箸(フィリピンではスプーンと手)を使うのが大変でした。
環境保全ではリーダーシップの部分が勉強になりました。3ヶ月間で色んな年代、所属の方と関わり刺激になりました。 戻ったらリーダーシップで培った経験を伝え活動していきたいと思いました。
活動証明書などの授与 ソロモンさん
スピーチ後には2人に対しての質問が行われました。 Q:自分の国との違いや衝撃的だったことは。A:沢山の方達が先輩(年上)の活動を尊敬し、色んな年代が関わっていてびっくりしました(セルゲイさん)。 男女差別がある国で女性はできない事が多い、トチギ環境未来基地では女性が活躍しているNPOだと言われていたました(ソロモンさん)。
Q:活動中に2人でアイデアを出し合ったようですがどのような内容ですか。 植物の名前や草の名前などメンバー内で知らない人が多い、特徴を知ることで保全活動がもっと良くなると感じた。 また、宿では日本語を学べるように紙に書いてあると良いと感じました(セルゲイさん・ソロモンさん)。と質問に答えていました。
最後に、2人に対して活動証明書などの授与が行われました。 自国の森と日本の森の違いや自国の料理:パンセット(フィリピンやきそば)や飲み物:キセル(ロシアの伝統的な飲み物)などを振舞っていただきました。
いただいた活動報告書には日本の現状(若い人が都会に出る人が多いこと、過疎化が進んでいること、自然と生きている人は生活の一部になっていること)や自然環境の状態も学び、トチギ環境未来基地では「自然を守る重要性」を伝え、多くの人を巻き込んで活動していること。 また、地震でダメージを受けた海岸林の再生活動にも関わり、自然環境を守る活動で新しい刺激を沢山もらいました。とまとめていました。
(記事投稿:小松)