2018 年2月25日(日)
宇都宮大学 地域デザイン科学部附属
第2回地域デザインセンターシンポジウム 取材報告
先日21日宇都宮大学陽東キャンパス アカデミアホールにて「第2回地域デザインセンターシンポジウム 地域×デザイン×大学〜地域をつなぐ 未来につながる〜」が行われました。会場には一般、大学生、NPO法人など約120名が参加しました。
地域デザインセンターシンポジウム 開会の挨拶
昨年行われた「第1回地域デザインセンターシンポジウム」では地域デザインセンターの紹介・活動報告、地域プロジェクト演習の紹介・進捗状況報告、地域連携プロジェクト成果報告、地方創生を推進する大学の取組事例、ディスカッションなどが行われていました。
第2回地域デザインシンポジウムでは平成30年度から開始される「地域プロジェクト演習」の準備状況報告、学部教職員を対象にした「地域連携プロジェクト」事業の事例報告、地域創生系学部の学生を招いた学生ディスカッションなどが行われました。
第1部:地域デザインセンター活動報告〜地域プロジェクト演習開始に向けて〜ではまず地域デザインセンターが行う取組みについて@調査研究地域プロジェクト演習(テーマ及びパートナー一覧)、A教育、B実践 (2017年度地域連携プロジェクト)の地域デザインセンターの3本柱について、地域プロジェクト演習準備について説明をしていただきました。
地域連携プロジェクトの成果報告の様子
第2部ではB実践で行われている地域連携プロジェクトの成果報告が行われました。1)地域メディアの開発と実践、2)子育てミシュランで地域の価値を高める、3)栃木市中心部の水辺景観に配慮したグリーンインフラによる治水および水循環改善効果の検討、について担当した教授より説明が行われました。
1) 地域メディアの開発と実践 コミュニティデザイン学科教授 大森玲子氏
宇都宮大学の学生視点から地域資源、地域の魅力を再発見し、ウェブやSNS等の媒体を通じて全国向けに発信する地域メディアの開発実践研究が行われています。 @地域で活動する人々に接する企画を学生に提供する、A学生の情報発信スキルを向上させる、B効果的な地域情報の発信方法を探索する、3つの狙いから「地域メディア演習開講」、紙媒体の毎日新聞栃木県版、デジタル毎日「とちぎキャンパる」等へ掲載、派生した取組みではコミュニティFMミヤラジで学生を交えたトーク番組の提供、また受講生を中心の任意サークル「とちぎキャンパる倶楽部」が結成され、記事コンテンツの製作や宇都宮大学生が「宇都宮愛」の詰まった動画コンテンツを企画、撮影し、拡散する宇都宮市シティープロモーション事業『宇都宮のことはそれほど』の動画コンテンツ作成などが行ったと報告していただきました。
2) 子育てミシュランで地域の価値を高める 建設都市デザイン学科助教授 糸魚川高穂氏
共働き世代の増加に伴う保育園を利用する家庭が増え、保育園でのベテラン保育士(子どもの安全に配慮する保育士)率の低下、などから保育の安全が今後ますます低下していく、その中で子育てミシュランではヒヤリハットの段階で、危険事例の改善案を作成し、保育者や他の保育施設と共有することで、地域の保育施設の安全が向上する保育の口コミサイト「子育てミシュラン」の試作版公開、子育てミシュラン評価についてなど報告していただきました。
3) 栃木市中心部の水辺景観に配慮したグリーンインフラによる治水および水循環改善効果の検討 社会基盤デザイン学科教授 池田 裕一氏
栃木市は蔵の街と知られ、江戸時代から例幣使街道や巴波川の舟運により栄えてきた、市内には歴史的な建造物が数多く残され、水辺を含めて大切な景観が数多くある。しかし平成27年度9月関東・東北豪雨の際に河川が氾濫し広範囲が浸水した。治水安全度が低く、今後も浸水被害が懸念されることもあり、今回、雨水タンク・雨水浸透マス(グリーンインフラ)を設置した際にどのようになるのか検討について報告していただきました。
学生たちによるパネルディスカッションの様子
第3部では学生たちによるパネルディスカッション「TEIDAN地方創生系3大学のリアル」として高知大学地域共同学部、宮崎大学地域資源創生学部、そして宇都宮大学地域デザイン科学部でどのような取組みを行っているのか、学生たちが普段の学校生活でどのようなことを行っているのか情報交換を行いました。
高知大学地域協働学部では1年生目標:地域理解力を身に付ける、2年生目標:企画立案力を身に付ける、3年生目標:協働実践力を身に付ける、4年生目標:地域協働マネジメント力の統合・深化と「地域理解実習」を目的別の実習を段階的に設置しております。
鼎談2つのカリキュラム実習地について@高知県長岡郡大豊町での取組み、大学発「おおとよブルーベリーの里化」プロジェクト:産学官民の協働による取組みで大豊町とブルーベリーを一体化したブランド戦略を展開し、大豊町の“ブルーベリーの里”化の実現を目指す計画事業です。 プロジェクトの運営・実施にあたり販売拠点組織として株式会社里人を立ち上げ販売チャンネルを増やし、学生ブルーベリー農園の設置、ワイン販売、カフェオープン、イベント開催(収穫祭)などを行ったと説明していただきました。
A吾川郡いの町是友地区での取組み、いの町是友地区の地域ビジョン「共助のまちづくり」:共助のまちづくりを実現するために地区への関心度向上「是友情報誌BOIL」=是友地区のイベントお知らせ・報告や住民へのインタビューなどを行い印刷・全戸訪問手渡し配布を行う。 次世代コミュニティ形成のきっかけづくり「是友案内図KORETOMAP」=案内図としての機能を果たさなくなった案内図を地区の人とリノベーション(案内図作成にあたり、大工さんチームや色塗り作業として地域の方参加)。などを行い更に、次世代メンバー獲得としてワークショップ(自分が地域で活動するということをイメージさせる)開催を行いましたと説明していただきました。
宮崎大学地域資源創生学部では将来の地域のリーダーを育てるプログラム(宮崎を舞台とする様々なフィールドワーク(地域理解実習など)、長期で少人数のインターンシップ、実践的なビジネス英語、異分野から学ぶプログラムなど)が組まれています。 授業の中で感じたこと、今後のことについてお話していただきました。
宇都宮大学地域デザイン科学部の学生さんからは、学部についての紹介や発表者本人が学校外で行っていること(夏期インターンや地域伝統行事への参加)についても触れそれぞれの大学と情報交換を行っていました。 宇都宮大学地域デザイン科学部は新年度から地域プロジェクト演習が始まります。 地域プロジェクト演習(テーマ及びパートナー一覧)も確定し、今後どのような取り組みになるか期待しています。 同じ地域創生系である3大学学部ではありますが、特徴やプログラムの違い、実践のお話を聞くことができ参考になりました。
(記事投稿:小松)