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2019年03月30日

「若者とまちづくりシンポジウム2019+高校生のためのワークショップ」開催報告

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2019年3月2日(土)、宇都宮大学陽東キャンパス11号館アクティブラーニング教室にて、「若者とまちづくりシンポジウム2019」を開催致しました。昨年度に引き続き、「高校と地域との連携」をテーマにした事例発表と高校生同士の交流と学びの場をワークショップという形で実現しました。県内10校から学生・教職員が参加し、一般を含め、74名が会場に集いました。
昨年は、県内の先行2事例を紹介しましたが、今回は実習を体験した高校生側と、コーディネートを行った大人側、双方の立場の発表を聞くことで、高校生は地域に対して何を感じたか地域の方々は高校生に何を期待しているのかを共有しました。

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学生側として発表したのは栃木県立栃木農業高等学校農学科2年生6名。「樽づくり・味噌づくりから地域を学ぶ〜グリーンライフ選択授業から」と題して、先輩たちが行った樽づくり実習と、その樽を引き継ぎ、行った味噌づくり実習について説明しました。
栃木市は昔、水運が栄えたことで、酒・味噌などの醸造業が盛んであること、それらを貯蔵するための樽を作る職人も栃木市内に居ることを知り、樽作り・味噌作りの実習に取り組むことにしたそうです。
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樽職人から指導を受け、実際に樽を作る工程1つ1つの手間と苦労を実感したとのこと。
多数の動画を用いた発表で、樽づくりの難しさ、職人技が伝わってきました。味噌づくり実習では、麹に直に触り、大豆をつぶす感覚を体験。仕込んだ味噌にはカビが発生してビックリしたそうですが、表面を取ると熟成した味噌が出来上がっており、発酵食品は生きているものと実感したそうです。
樽職人、就農者、杜氏など、樽と関わる生産者からの話を聞くことで、「たる」と「みそ」と「ダイズ」、バラバラなようで繋がっており、「産業」は最終的に地域と1つに結びついていること。樽の存在を知ることは、地域を知ることにもなる。「たる」の良さを、若い自分たちが多くの人に伝えることが、伝統を守ることにつながる、という気付きを得ました。

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次にパーラートチギの運営に関わっている栃木市地域おこし協力隊 島田 千晶氏より、パーラートチギの取り組みと高校との関わりについて、発表がありました。
栃木市の「街なか連携インキュベーション事業」の拠点となる、「パーラートチギ」の改修作業の手伝いを機に、2017年6月に栃木市地域おこし協力隊に着任。パーラートチギでは、味噌や漬物づくりを楽しむ暮らし方は、地域の木や竹、作物を使うことにも繋がり、風景や文化を育むと、農園や伝統工芸士と連携して味噌や漬物づくりのワークショップを開催しています。それらの活動が高校の先生の目に留まり、体験実習のコーディネートを行うことに繋がったそうです。
高校生には、地域の生業を知ることで、土地と人の手から生まれる素材や作物、製品を肌で感じながら、多くの人たちが加わっていることを学び、人々の暮らしと土地に結びついているのかを想像できる力、及び、地域に住む人たちと、共に学ぶ仲間たちと、手と手を合わせて、喜び合える価値をつくる力を身に付けて欲しいとの思いがありました。
地域おこし協力隊、パーラートチギの活動を通して、知らないだけで、”動いている”人はたくさんいることに気付いたと、島田さん。一度は進学・就職で東京に上京したものの、地元の良さに気付き、季節・風土を五感で楽しみながら人が「つくる」ものを身近に感じる生活がしたいと、地元に戻り様々なチャレンジをしてきました。地域での活動は、年齢も職業も出身地も関係なく学び合える関係であり、「やりたい!!」の一言に賛同してくれる人、協力してくれる人がいるので、「自分にできることを”できる範囲”でやる」ことの重要性を会場内に向けて伝えました。

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後半では、宇都宮大学地域デザイン科学部准教授の若園雄志郎氏をコーディネーターに、高校生49名が9テーブルに展開して「地域課題」を共有するワークショップを実施しました。参加学生に「地域課題」と聞いて想像できるものを挙げてもらい、その課題がなぜ存在しているのか原因について推測し、課題についてアプローチする方法を検討しました。
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高校生が「地域課題」として捉えている事項としては、過疎化、高齢化、公共交通網の不備、都会との格差、などでした。短い時間だったので、課題解決の手法まで辿り着いた班は少なかったのですが、中には「買い物難民解消として、回覧板を活用してネットショッピングの注文を取り、高校生が代行注文する」などといったユニークなアイデアも飛び出しました。

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他校の生徒と課題について語り合う場・交流する機会というのは珍しかったようで、特に普通科と農業系の高校の学習の違いは双方にとって興味深く映ったようでした。また、各テーブルには、地域課題の「経験者」として地域活動に関わる大人や地域デザインを専攻する学生がアドバイザーとして関わっており、ワークの中で実例を聞いたことも貴重な体験となったようです。

現在の教育では「主体的な学び」が重要視されています。新課程ではさらに「探求」が主軸に置かれることになっています。地域を知る・地域で学ぶということは、その地域のあり方をどう捉え、自分はどう関わるのか、どのように生きていくのか、考える機会でもあります。“暮らし”は今だけのものではなく、過去から未来に繋がっているもの。そして、暮らしは自分だけではなく、その地域に住まう人々で形成されるもの。学生が地域に出ていくことは、即ち、これからどんな“暮らし”をする場を創っていくか考えること。このシンポジウムが地域の未来を考える一助になればと思います。


(記事投稿:鈴木)


【参考URL】
まちぴあブログ:「若者とまちづくりシンポジウム2019+高校生のためのワークショップ」開催のお知らせ
まちぴあブログ:「地域連携を考える高校教員のための勉強会・交流会」 開催報告
まちぴあブログ:まちぴあ主催「若者とまちづくりシンポジウム」実施報告


この記事へのコメント
臼井先生、コメントを頂き誠にありがとうございます。
現役の先生からのお言葉は大変嬉しいです。
今後も県内の高校生がNPOや地元で活動する人々と繋がり、地域で活躍する機会を創出していけたらと思いますので、今後ともご協力よろしくお願い申し上げます。
Posted by まちぴあ at 2019年05月21日 17:58
開催報告をありがとうございました。あの日のことは、鮮明に覚えています。とてもすばらしいシンポジウムであり、すばらしいワークショップでした。若者の熱気に、とても感動しました。私も微力ながら、頑張るエネルギーをいただきました。このような機会を与えてくださったこと、心から感謝申しあげます。準備などに当たられた皆さま、本当にお世話になりました。本当にありがとうございました。
         栃木県立宇都宮北高等学校 教員 臼井紀子
Posted by 臼井紀子 at 2019年05月15日 18:27
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