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COMMENCEMENT [2008年03月30日(Sun)]


COMMENCEMENT とは、英語で「卒業式」のこと。

本日、3月30日の大阪開催をもって、去年7月から展開してきた
「全国キャラバン」が無事に卒業式を迎えた。

フィナーレにふさわしい、熱気あふれるシンポジウムだった。

主題は、「自死遺族支援 いま私たちにできること 
              〜全国12000人の思い、そして〜」。


「12000人」とは、これまで全国46都道府県で開催してきたシン
ポジウムに参加した人の総数。

「そして」には、これでキャラバンが終わっても、遺族支援が終
わるわけではない。むしろこれから、「そして」以降の物語をそ
れぞれが紡いでいくのだという意味を込めた。

「思い」を「思い」で終わらせるのではなく、「行動」につなげてい
くこと。「そして」以降の物語を、それぞれが確実に紡いでいくこと。

COMMENCEMENT(卒業式)。
これには、もうひとつの意味がある。「はじまり」である。

「全国キャラバン」を卒業し、さあ、私たち一人ひとりの遺族支援を、
いまここから始めていこう。

                         キャラバン実行委員長 
                                 清水康之

追伸。シンポの詳細は追ってご報告いたします。
全国キャラバン in 大分 [2008年03月28日(Fri)]

報告者:森山(NPO法人ライフリンク)


 3月9日(日)、大分県において、「自死遺族支援全国キャラバンin大分」が開催されました。

 ただ今回は、通常のキャラバンシンポジウムと大きく違った点がひとつありました。

 これまで都道府県主催で進められてきた「全国キャラバン」において、はじめて自治体主催ではない、「自死遺族支援全国キャラバン実行委員会」主催のシンポジウムとなったのです。

(ちなみに自治体主催ではないシンポジウムは、他4県だけです。)


◇◇




 会場は、大分駅から徒歩10分ほどで、大分県庁すぐ近くの大分文化会館。
 お城の跡地に建てられているため、お城の雰囲気を残しています。



◇◇


1.「全国キャラバン」趣旨説明

 はじめに、ライフリンクの清水代表から、「全国キャラバン」の趣旨説明が行われました。

 この「全国キャラバン」について、自殺対策基本法の理念を各地に根付かせていくことと、基本法の中でも立ち遅れている自死遺族支援を各地域で進めていくきっかけとしてもらいたい、ということが話されました。

 さらに、これまでの都道府県においては、各自治体が主催してきたけれども、大分では県が主催できないとのことで、残念ながら自主開催となってしまったことが話されました。

◇◇


2.分かち合いの場「自死遺族のつどい」について

 まず、「東京マラソン」の様子が撮影されたDVDが上映されました。

 日本において、1年間で自殺で亡くなる人数は、3万人以上。先日行われた「東京マラソン」に参加された人数と同じです。

 東京マラソンにおいても、ゼッケンを背負っているひとりひとり、それぞれの人生があります。

 映像の中では、道路にびっしり、3万人もの方々が走る姿が長い間、映されていました。

 一言でいえば、「3万人」。けれど、リアルな数として、その映像の中に映る人々の姿はとても強烈に目に焼きつました。



 その後、「自死遺族のつどい」の現場について、DVDが上映されました。

 大分県のお隣、同じ九州地方の「リメンバー福岡 分かち合いのつどい」に参加された方々のつどいの様子です。DVDでは、ご遺族の苦しい胸の内が語られました。

 映像が流された後、清水さんは、
 「皆さんは、5年後、10年後の自分を想像できるでしょうか。同じように、ご遺族の方々も、ほんの何年か前まで、自分がそのような状況になるとは思われていませんでした。皆さん、“まさか”という思いを抱えていらっしゃいます。
 私たちも、同じように、大切な人がいつ同じ状況に置かれるか分かりません。自分のこととしてとらえ、想像力を働かせて、ご遺族とのかかわりを考えてほしいと思います。」
と話されました。

◇◇


3.パネルディスカッション
「自死遺族支援〜いま、私たちにできること〜」



コーディネーター
 清水康之さん(NPO法人ライフリンク代表)

パネリスト
 影山隆之さん(大分県立看護科学大学教授)
 山口和浩さん(NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表)
 藤澤克己さん(NPO法人ライフリンク事務局長)

影山隆之さん(大分県立看護科学大学教授)

 まずはじめに、影山さんは、ご自身が運営にかかわる「自死遺族のつどい」(大分県精神保健福祉センターで開催)について報告されました。

 その中で、遺族同士が語り合う場の必要性と同時に、スタッフの心的なサポートの必要性などを課題に挙げられました。

 さらに、“ご遺族にとって自宅から近すぎる分かち合いのつどいには行きづらい”、との山口さんとの掛け合いの中で、ご遺族から各つどいにお問い合わせがあった際に、近隣のつどいをお互いに紹介し合えるよう、連携を進めていければ、とお話されました。



山口和浩さん(NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表)

 山口さんは、遺族支援の重要性についてお話され、「社会は、ご遺族が特別な人であるというイメージを勝手に作ってしまい、ご遺族が思いを語れない環境も作っている。そのため、社会も勝手な遺族像を押し付けないでほしい。」と話されました。

 さらに、「私もそうでしたが、自分の体験を語る相手は、遺族だけでないです。体験のない人たちに受け入れてもらえた感覚が、生きる力にもなります。」とお話になりました。



藤澤克己さん(NPO法人ライフリンク事務局長)

 藤澤さんは、最後に、清水さんから投げかけられた「藤澤さんが行政との調整・交渉を担ってきたわけですが、大分県はなぜ自主開催となったのでしょうか?」との質問について、「今回のキャラバンについては、大分県とはタイミングがあいませんでした。」とお話しされました。

 「ただ、今回はタイミングが合わなかったとのことでしたが、せっかくのチャンスでもあったので、多少無理をしてでも開催をしてほしかったと思います。そのほうが県民のためになったはずです。」とお話になられました。

◇◇


 会場からはいくつか質問が出され、シンポジウム終了後も、しばらく残られる方々がいらっしゃいました。
 
 「遺族語る」のパネル展示においても、多くの方々がご覧になられていました。



なお、大分県のキャラバンメッセージは、『できることから一歩ずつ』となりました。


全国キャラバン in 茨城 [2008年03月26日(Wed)]

報告者:小池(NPO法人ライフリンク)


 2008年2月23日(土)13:30から、茨城県土浦市の県南生涯学習センターにて、自殺対策シンポジウムin茨城〜自死遺族の声を聞いて一緒に考える「気づきと見守り」〜が開催されました。




◆挨拶               

 まずはじめに、主催者あいさつとして、川俣勝慶さん(茨城県副知事)がご挨拶をされました。

◆趣旨説明 

 その後、藤澤克己さん(NPO法人ライフリンク事務局長)より「全国キャラバン」についての趣旨説明があり、酒井元康さん(保健福祉部障害福祉課長)より、「茨城県の自殺対策の現状」についてお話がありました。



◇◇


◆自死遺族からのメッセージ          



自死遺族 南部 節子さん

 南部さんは最初に、ご主人が「死」に追い詰められた状況・経緯を説明、会社での様子、家庭での様子を丁寧に思い出しながら、ご主人の自殺を受けとめるまでのご自身の心の動き、葛藤を訥々と語られました。

 自死遺族の集いに参加した際に、未遂者が語った「(自殺を思いつめているときは)なにか黒い塊のようなものが追いかけてくる感じ。ふっと気づき自殺を思いとどまった」という言葉から、本当に自殺をするしないは紙一重であると感じるとおっしゃいました。

 現在は、自身の経験を現在悩んでいる人に役立てられればと、自死遺族支援活動に取り組まれています。

◇◇


◆シンポジウム                     
テーマ 自死遺族の声を聞いて一緒に考える「気づきと見守り」



[コーディネーター]
 茨城県精神保健福祉センター長 荒木 均さん

[シンポジスト]
 阿久津 正晴さん(弁護士)
 秋元 元子さん(茨城いのちの電話 事務局長)
 太田 幸栄さん(生と死を考える会茨城支部 事務局)
 金子 久美子さん(福島自死遺族ケアを考える会 れんげの会代表)



弁護士  阿久津 正晴さん

 阿久津さんは、弁護士の立場から、多重債務に苦しむ方へ、茨城県の相談窓口を紹介されました。
 また、ご自身がご遺族と接してこられた経験をお話され、一人で抱え込むのではなく、一歩踏み出し、専門家に相談することの重要性を呼びかけられました。



茨城いのちの電話事務局長  秋元 元子さん

 秋元さんは、いのちの電話が発足するまでの経緯、かかってきた電話に対する取り組み方を実際のエピソードを交えて詳細に報告されました。
 相談員は2年以上の研修を経てから、電話対応にあたっていることや、24時間対応をしていることを紹介され、悩みを抱えているときはいのちの電話を思い出してほしいと聴衆に訴えかけられました。



生と死を考える会茨城支部事務局  太田 幸栄さん

 会発足の経緯(生と死を考える会は、1982年アルフォンス・デーケン氏のもと、東京で立ち上がる)や活動内容を紹介されました。
 誰もが自由な立場で生と死について考え、学び、行動できる場を作るという基本姿勢のもと、自死遺族の心のケアにも取り組んでいるとのことで、会の現状についてもお話されました。



福島自死遺族ケアを考える会 れんげの会代表 金子 久美子さん

 会の目的や、活動内容を紹介されました。

 自死によって大切な人を亡くした方が、少しでも安らぎをもって毎日が過ごせるようになって欲しいと、遺族達が語り合える集いを開催していらっしゃるそうです。

 「どこに相談していいのかわからなかった」など自死遺族の直面した問題に触れ、自死遺族たちはどのような行政手続き手段をとったらいいのか、どこに相談をしたらよいのか、など必要な情報を載せた資料を配布する必要性を強調されました。

 また、遺族の気持ちをさかなでることがないよう、配布方法も自死遺族のみに配布するのではなく、死亡届を提出した人全員に渡す資料の一つとして配布すべきだ、と行政に提言されました。

◇◇


 シンポジウムの後、会場からは活発に意見が出されました。

 会場の外では、「遺族語る」のパネル展示が行われ、多くの方々がパネルのひとつひとつを食い入るようにご覧になられていました。



◇◇


 なお、茨城県でのキャラバン・キーワードは、

気付いてください、あなたのすぐそばに相談できる人や場所がある

となりました。
ライフリンクの美味しいものたちB [2008年03月24日(Mon)]

報告:森山(ライフリンク事務局)


 もう3月も下旬となり、新年度も間近な今日この頃。

 まだまだ肌寒い日が続くものの、ライフリンクの事務所近くでは桜が咲き始めました。




 まだ、川沿いの桜並木は開花していませんが、駅近くの桜が一足先に花開いたようです。

 今日は近くの大学の卒業式でもあったようで、駅前には袴姿やスーツ姿の学生さんがたくさん見えました。

 今年度も、もう残りわずか。4月から、また新しい年度が始まります。「キャラバン」も最終日の大阪まで、あと1週間を切りました。
 その頃、この東京の桜は、満開になっているでしょうか。



◇◇


 そんな春らしい景色がひろがりはじめた頃、ライフリンク事務局に、「多重債務による自死をなくす会」の弘中照美さん(兵庫)から、関西の春の風物詩「いかなごのくぎ煮」が届きました。



 去年もいただいた、とてもおいしい、手作りのいかなごのくぎ煮。亡くなったお母様が毎年作ってくださっていた、大切な思い出の味なのだそうです。

 関西の方にはおなじみのものだと思いますが、「いかなご」とは、関東でいうと、「こうなご」のこと。しょうゆと砂糖で煮詰めると古びた釘のような形になることから、くぎ煮というそうです。

 今年は、いかなごが品薄なのだとか。
 そんな中、弘中さんはしょうが風味と山椒風味の2品も送ってくださいました。
 
 山椒味は、山椒がピリリっときいて、おつまみにも合いそうなお味。
 
 しょうが味は、じんわりとした風味が口いっぱいに広がる、ご飯が進むお味。

 ライフリンクスタッフ一同、おいしくいただきました。



 ほっとする、お母さんの味の「いかなごのくぎ煮」。弘中さんからの温かいお心遣いに、皆癒されるひと時を過ごさせていただきました。

◇◇ 


 弘中照美さんは、つい先日、「多重債務による自死をなくしたい」との思いから、ご自身のこれまでの経験を書かれた本を発行されました。
 本では、弘中さんのこれまでの壮絶な人生がつぶさに描かれるとともに、ご自身の多重債務の経験、お母様の自死---そして、いまのお気持ちが書かれています。
 多重債務に対するQ&Aも書かれている一冊。
 「お金のために亡くなる人を、一人でも減らしたい。」その思いが強く伝わってくる一冊です。



お金のために死なないで(弘中照美著・岩波書店)






※弘中照美さんの記事
多重債務、救済策ある お金のために死なないで(2008年3月19日読売新聞)
多重債務による自死をなくす会の弘中さん(2007年3月2日読売新聞)
全国キャラバン in 鳥取 [2008年03月21日(Fri)]

報告者:弘中隆之(多重債務による自死をなくす会)


自殺を『語ることのできる社会』へ〜自死遺族支援を考える〜

日時:2008.3.9 13:30〜16:30
場所:鳥取県立県民文化会館第1会議室



◇◇


主催者挨拶

○鳥取県福祉保健部長 田中謙さん

 鳥取県では、自殺者数が交通事故の4倍であります。自殺対策は社会全体で考え、地域で考えていかなくてはなりません。

 50歳台では病苦の次に経済苦による自殺が増えています。そこで、平成17年度より日南町と岩美町をモデル事業の一環として取組んできました。

 鳥取県では、こころの健康管理の必要性から普及啓発しておりますが、自殺に関しては詳しくは判明しておりません。

 これから、実態を明らかにし、掛かりつけ医や産業医とも連携して取り組んでいきたいと思っております。

◇◇


遺族からのメッセージ



○弘中照美

 母親を自殺で亡くした時に、再婚が決まっていましたが、「自分だけが幸せになれない」と半狂乱になった時期もありました。

 一生、誰にも(家族の自殺を)言えないと思って生きてきました。

 けれど、まわりのご遺族の方々と接するにつれて、母の分も幸せにならなければと思えるようになりました。

◇◇


パネルディスカッション

「自殺を『語ることのできる社会』へ〜自死遺族支援を考える〜」



コーディネーター
 原田 豊さん(鳥取県立精神保健福祉センター所長)

パネリスト
 西田 正弘さん(NPO法人ライフリンク)
 川ア 政宏さん
  (NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ代表)
 中込 和幸さん(鳥取大学医学部教授)
 長谷川 照子さん(日南町福祉保健課主任保健師)


○日南町福祉保健課 保健師 長谷川照子さん

 日南町では、3年前よりモデル事業として自殺対策に取組んできました。

 H17年度には60歳代以上の町民の「こころの健康づくり」に関する調査を行い、2975人中2014人から回答を頂き、うつと疑われる67人への訪問を致しました。うつの講演会や自治会ごとにうつの学習会を実施、手作りパンフレットも作成しました。

 H18年度には、「ほっと安心日南町こころの健康づくりネットワーク」の立ち上げを行い、H19年度には「うつ」の紙芝居やショッピングセンター前で、自殺予防キャンペーンの一環としてチラシを配布しました。



○鳥取大学医学部教授 中込和幸さん

 うつの方は受診することを決断されるまでに相当期間時間がかかり、すぐに受診して戴くのが難しいのが現状です。うつ状態で受診したのはわずかに4人に1人です。

 中高年の方が多く、うつに関しては女性が多いのが現状です。

 4000人にうつの調査をしたところ、うつの方は12.3%でそのうち受診されたのは24%でした。

 何故受診しないのか主な理由を聞きますと「行く必要を感じない」「医療機関への不信感」「周囲に知られたくない」という回答でした。

 うつについて、受診の判断は誰がしたかとの問いに「自分で判断した・91%」「家族、知人に相談・13%」との結果でした。

 周囲が気付いて声をかけることが重要です。現実的に辛いこととうつ病とが重なることは珍しいことではないです。やはりうつに対する偏見があり、それを除去するために普及啓発をすることが必要です。



○NPO法人おかやま犯罪被害者サポート・ファミリーズ理事長
 川崎政宏さん


 地域の中でご遺族が孤立しています。気持ちを語れる場所がない。当事者でないと分かち合えないことも含めて、知ること理解することが支援につながります。

 現場の近い3つの県民局のうち、備前・美作県民局と事業を取組むことになりました。行政とともに何ができるか、共に考えることが重要です。

 2007年4月から「大切なひとを亡くした方のための電話相談」を開始しました。また、自死遺族の分かち合いを昨年の8月から実施しています。保健所の「こころの健康相談」とどうつながるかが、今後の課題です。



○NPO法人ライフリンク 西田正弘さん

 100人の自死遺族がいれば、100とおりの課題がある。支援をする側にも気をつけなければならないことと思います。

 鳥取県では、3月22日にご遺族の方への分かち合いの第1歩として学習会を開催されるとのこと、大変喜ばしいことと思います。



○鳥取県立精神保健福祉センター所長 原田豊さん

 これから、4人のパネリストの方々と会場の方々との質疑応答を行いたいと思います。
 自殺対策基本法には、遺族支援も条文に盛り込まれており、十分に活用することが重要。遺族支援にはまず相談窓口の設置から取り組みたいと思います。

◇◇

 会場から御質問をお受けします。

会場:
 障害者ですが、働きたくとも、働くところが見つからない。一様に障害者だと敬遠される。障害者の窮状を理解してほしい。

原田さん:
 障害者支援も県としても取組んでいるので、ご相談にきてください。


会場:
 3月22日に遺族の学習会が開催されるが、知人に自死遺族であろうと思われる方がいて何とかして知らせたいがどうしたらいいでしょうか。

西田さん:
 当事者であるご本人がこのような学習会を県が行っていることを県が広報されると思いますので、直接知らせるようなことは控えられたほうがいいと思います。
 たとえ3月22日に間に合わなくても次回でもいいと思います。


会場:
 自殺者のうち女性の自殺者について、男女の要因の違いは?

中込さん:
 男は外でストレスを感じ、女性は家庭を守るものとの社会的通念があると思います。愚痴も言わない女性が多いのではないでしょうか。


会場:
 
老人の自殺は一人暮らしの方より、3世帯同居のご老人が多い。

中込さん:
 ご自身の役割がなくなって家族に申し訳がないと思われたり、病苦による家族への負担から自殺されるケースが多いです。



川アさん:
 身近な人が自殺された場合、遺児は取り残されています。
 未成年後見人になったりしているが、小さい子供は声をあげられない。長い間封印している。学校の関係者が子供たちの気持ちを理解することが重要。
 遺児の低年齢化が進んでいる。学校の先生は必ず「おはよう」と声をかけて目をかけてほしい。



原田さん:
 無料相談窓口の設置が必要だと思っています。体調が変わったら、相談にくるタイミングが重要です。学校とか地域を基点として直接出向いていくような取組が必要だと痛感します。

 このようなボールを投げて戴いて感謝します。
 やっとみなさまとご一緒に考えられるときがきました。ありがとうございました。

◇◇




 なお、鳥取県でのキャラバン・キーワードは、「孤立を防ぐ、安心して語れる町づくり」(長谷川さんより)となりました。
全国キャラバン in 長野 [2008年03月19日(Wed)]

報告者:久保井


 2月24日(日)長野県主催の「自死遺族支援全国キャラバンinながの『守ろう大切ないのち』が、長野市の信濃毎日新聞社で開かれました。



◇◇


 当日は近年稀な大雪に見舞われたにも関わらず、定員の120人を超えて多くの方に足を運んでいただけました。

◇◇


 開会のあいさつは長野県衛生部長の渡辺庸子さんが行い、長野県の自殺者の現況をお話されました。

◇◇


 まず、内閣府の高橋広幸参事官より「国の自殺対策における動向」というタイトルで日本の自殺の現状と昨年策定された自殺対策大綱の説明が行われました。



◇◇


 次に基調講演として信州大学付属病院メンタルヘルス外来専任医の巽信夫さんより「喪失体験と癒し」というテーマで、日々外来でうつ病の患者と接する中での経験談やうつ病についての体系的なお話がされました。



◇◇


 次に、遺族の声「自死遺族の痛みと課題」というテーマでパネルディスカッション式の発表がありました。



 
 進行が長野県精神保健福祉センター所長 小泉典章さん、発表者として久保井康典(自死遺族、長野県自死遺族分かち合いの会)、山口 和浩さん(NPO法人 自死遺族支援ネットワークRe代表)、清水 康之さん(NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク代表)が登壇しました。



 まず、小泉さんから長野県の自殺対策および自死遺族支援の経緯について話がありました。
 長野県では自殺対策連絡協議会の設置、分かち合いの会の立ち上げ、担当者向けの研修会、自死遺族向けのリーフレットの作成、自死遺族からのメッセージの配布等が行われているということが説明されました。



 続いて、登壇者3人の紹介があり、「自殺対策が始まったきっかけの3人」として紹介していただきました。(かつて学生時代に私たちが社会に対して「声」をあげたとき、清水さんは取材者として私たちの番組を作ってくれたという関係です。)

 そして、清水さんにマイクが移りました。

 清水さんは、最初に先日の東京マラソンを撮影した映像を会場のスクリーンに流しました。東京マラソンの参加者が約3万人、日本で一年間に自殺によって亡くなる人と同じ数です。

 清水さんは、3万人という数字の中「ひと」の存在を感じでほしいと会場に投げかけました。

 スクリーンには大通り一杯を埋め尽くす人の流れがありました。その人の流れが20分間続くという説明に会場は黙って耳を傾けていました。清水さんは続けて話しました。

 マラソンの参加者一人ひとりにゼッケンがあるように、自殺で亡くなる一人ひとりにもそれぞれ異なる人生がある、と。

 続いて、リメンバー福岡の遺族の分かち合い会の様子が映像で紹介されました。夫を自死で亡くした女性の自責の念、残された家族たちの想いが画面の中から伝えられました。

 「私たちは年間の自殺者数を前の年と比べて増えた減ったで考えてしまうが、自殺者が減ることはありえない。毎年3万人の自殺者とその遺族の数は確実に増えている。今この会場で自殺と自分は関係ないと思っている人も10年後は身近なところで起こっている可能性がある」と清水さんはお話されました。



 次に私(久保井)にマイクが移りました。

 まず、今回の自分の話のテーマを「自死遺族が分かち合うことの意味」と会場に伝えた上で、父親を自死で亡くして以来、自分が経験してきたことを話しました。

 父親を自死で亡くしてしばらくは誰にも話せなかったこと。あしなが育英会に出会い、初めて自分以外に自死で親を亡くした人に出会い、自分も語れたこと。

 自死遺児ミーティングをきっかけとした文集の発刊、その後の自分たちの経験を社会に伝える活動。活動をする中で社会に自分たちが出ていくことへの葛藤。

 そして、今、長野の自死遺族の分かち合いの会に関わっていること。それらのプロセスから自分が前を向くきっかけになった出来事は何だったのかを感じて欲しいという意図を持って話しました。



 次にマイクが山口さんに移りました。

 山口さんは、自死遺族が安心して悲しめないことの背景を、社会が自死遺族の語ることができない空気を作り出していると話し、「自殺するのは弱いから」「勝手だ」といった偏見がその空気を作り出していると説明しました。

 また、自死遺族は誰が亡くなったかいつ亡くなったかなど人によって悲しみが違ってくると説明し、一人ひとりの声にまっすぐに向き合うことの大切さを伝えました。

 また、社会の制度的な面に関しても、社会の中に遺族の方たちを支えられる制度があるのに、その情報が当事者の元に届いていないと問題点を指摘しました。

 そして話の終わりには、「自分の思いを分かってくれる人がいることが大きな力になる。語る相手は必ずしも遺族でなくてもいい」と話し、遺族、遺族でない人に関わらず一人ひとりにできることがあるという部分を強調しました。



 その後、マイクは再び清水さんに渡り、自死遺族の1000人調査についての話がありました。

 多くの実態が見えていない自殺対策について、自殺に追い込まれた人の追い込まれたプロセスを調査することの重要さを説明されました。

 「自殺は社会の生き辛さが凝縮されて起こる問題で、亡くなった人からそのプロセスを学び、解決方法を見つけていくことで「生き心地のよい社会」につながっていくとお話されました。

 また、山口さん同様、一人ひとりにも必ずできることがあると付け加えました。



 終了時間も迫り、最後に私と山口さんが一言ずつ発言しました。

 私は、今日の自分の話のテーマであった分かち合いの意味を「人に話すこと、人に聞いてもらうこと、人の話を聞くことに意味がある」とまとめ、山口さんが遺族と向き合う際には気持ちを理解してあげることは難しいかもしれないが、「分かりたい」と素直な気持ちで向き合うことが重要、とまとめました。



 長野のキャラバンは、清水さんが取材された山口さんと私、それぞれの今までの歩みを振り返りつつ、遺族にとっての分かち合いの会の意味を会場みんなで共有したキャラバンとなりました。


「遺族語る」のパネル展示の様子


◇◇


 なお、長野のキャラバンキーワードは、タイトル通り、「守ろう大切ないのち」になりました。
全国キャラバン in 富山 [2008年03月17日(Mon)]

報告者:福山なおみ(NPO法人ライフリンク)


 平成20年2月16日(土)、「富山キャラバン」が、北陸の地、富山県県民会館で開催されました。全国キャラバン34番目の開催地となります。



 はじめに、河村幹治さん(富山県厚生部健康課課長)から主催者挨拶がありました。

 「富山県の平成18年の自殺者は293人で、本人だけでなく遺族の支援も重要となる。富山県では、平成18年より自殺対策協議会を設置し、医療・保健・官・民等が一丸となり、一人でも自死者が少なくなるよう対策を考えてきた。この度、NPOライフリンク全国キャラバンの一環として『自死遺族支援』が自殺総合対策大綱に基づき、富山に根ざしていくよう努力していきたい」と話されました。

 キャラバンは、三部構成で行われました。

◇◇


<第一部>DVDによる遺族支援の実際(リメンバー福岡の「分かち合う声」) 

 第一部では、リメンバー福岡でのわかち合いの様子が上映されました。

 上映にあたり、代表の井上久美子さんから、「4年前より自死遺族支援を始め、2か月に1回『分かち合い』という集いを行っています。どのような気持ちで、何のために、分かち合いをしているのかを見ていただきたい」とお話があった後、4人の方の体験がDVDにて紹介されました。

◇◇


<第二部>自死遺族の語り



 第二部の自死遺族の語りでは、大野絵美さん(埼玉県)の体験談が語られました。

 保健師である大野さんは、このような場で、《自死体験を語る》のは初めてであるということでしたが、時折胸を詰まらせながらも最後まで冷静に語られました。(以下要約)



 家族を亡くした後に、誰かがそばにいて一緒に泣いてくれました。特別何かしてくれたのではないですが、それが今の支えになっています。それが、勇気になる。受診するとか、薬を飲むとか、カウンセリングとか・・・それは何かちがう・・・。

 何かがあったら、死ななかったのかもしれない。家族も、そのようなところ(わかち合いの会)に行けていたら、死ななかったかもしれない。

 埼玉には、わかち合いの会はなかった。そこで、仲間に出会い、遺族支援活動(あんだんて)を立ち上げました。

 悲しい話をしに来たのではないです。私のような人を一人でも減らして欲しい。隠さなくても良い世の中になったらよいと、自分にできることをやっていきたいと思います。(自死された方は、)『特別な人ではない』ということです。



 そして、大野さんは語りの最後に、次のようなメッセージを私たちに届けてくださいました。
 「大切な人に、《あなたのことを大好きだから、死なないでね》と言って欲しい」と。

 その瞬間、大野さんと心を寄せて聴き入る参加者との間に、優しい、温かな時間・空間が共有できたように思えました。大野さんの提言を含む真摯で勇気あるスピーチに会場から感謝の拍手が響きました。

◇◇


<第三部>パネルディスカッション「自死遺族の支援のために」

コーディネーター:
 西田 正弘 氏 (NPO 法人ライフリンク)
パネリスト:
 井上 久美子氏 (リメンバー福岡)
 豊原 則子 氏 (富山・生と死を考える会)
 高野 利明 氏 (富山県臨床心理士会)
 角田 雅彦 氏 (富山県精神科医会)
 數川  悟 氏 (富山県心の健康センター)




 まず、NPO 法人ライフリンクの西田さんが、今自死遺児総数は9万人と推計しており、遺族支援が重要であることを話されました。

 そして、「自死遺族支援全国キャラバン」の趣旨説明として次の3つを述べられました。
 一つ目は「自殺対策のつなぎ役」として、二つ目は「自殺対策の理念を根付かせる」ために、三つ目は「自死遺族支援」をすることです。その全国キャラバンは、3月30日大阪での開催が最後になることを紹介されました。

 次に、パネリストの方が、それぞれの立場での取り組み、遺族支援の課題、支援者の課題について、またDVDや体験者の語りを聞いた上での感想を踏まえて語られました。



數川さん
 はじめに心の健康センターで活動されている數川さんは、「他の相談にはのれるが、自死遺族の相談は難しく、その重大さを感じた。
 取り組んでいることは、ライフステージ別の観察(家族・学校・現場)。
 
 平成18年からは富山大学精神科での『リスク相談』思春期・青年期におけるうつ病や統合失調症の早期発見に努めている。また、月に2回の『グリーフケア相談』を行っているので《分かち合い》につなげていきたい。

 大事なことは、県民全体で取り組むことである。研修や広報は、実行委員会形式にして知恵を結集し、一人でも自死者が減るようにする。課題は、警察や葬儀に関わる人たちにいかに届けるかである。」と述べられました。

                  

高野さん
 カウンセラーをしておられる高野さんは、「DVDを拝見し、話す相手がいなかったということがいえる。話すことは、気持ちの整理をつけていくこと。そのためには、聴くのがポイントである。」とお話になられました。

 そして、臨床心理士の立場から、【3つのなぜ?】について話されました。1つ目は『なぜ、自死したのか?』(自殺の理由や動機、原因)、2つ目は、『なぜ、追いつめられたのか?』(自死の際の心理は、楽になりたかった、自己価値がない)、3つ目は、『なぜ、打ち明けてくれなかったのか?』(相談相手は誰なのか)。

 また、3つのTについて述べられました。Tear(泣く)、Talk(話す)、Time(時間)、これらも遺族支援には重要であるということ、さらに、感情を整理すること、事実を語ること、体験を共有することが大切である、ということをお話されました。
                     


豊原さん
 「生と死を考える会」の豊原さんは、「ビハーラの理念のもとで、自死遺族の声を電話相談を通して聞かせてもらってきた。その活動は、平成元年から始めて大学ノート1冊にもなった。男女比は11対6である。『風聞』を食い止めることの必要性、事例を通して、かかわりをもった人たちや話を聴いてくれる人を求めて電話をすることが大切である。」と述べられました。

 また、親鸞聖人の言葉『できること/できないこと』の整理、が大事であろうと話されました。
                      


角田さん
 精神科医の角田さんは、「大野さんの心の叫びを聞いて、医療だけでは不十分で、わかち合いが大切かなと思った」と話されました。

 そして、「できるだけ早い段階でのケアの重要性と、直後の感情を素直に表す機会が大切である。」と話されました。「しかし、強要してはならない。分かち合いは、悪者探しをするのではなく、自分のことを語る場である。」と、《ありのままの率直な感情を表現することの重要性》を伝えられました。遺族の感情は『自責感』が強いことを承知した啓発活動が重要であるとご指摘されました。

 最後に、『富山うつプロジェクト』が目指しているキャッチフレーズ@うつは皆で治すもの、Aうつは特別な病気ではないこと、B一人ひとりが自殺予防の主役である、とまとめられました。
                     


井上さん
 井上さんは、リメンバー福岡立ち上げの経緯や、わかち合いの会の紹介をお話しされました。

 最近では、大切な人を亡くされて早い時期での紹介者が増えてきたことと、会を運営する
際の大切なルールについて話されました。

 その内容は、守秘義務があること、批判しない、評価しない、励まさない、パスあり、話を聞くだけでも構わない、トーキング・スティックを持っている人だけが話すことができること、メモをとらないこと、などです。

 さらに、自死遺族だけになると、うつになるほど社会や自責感に追いつめられることがあるということをお話になられました。そして、社会的偏見の問題で、「自殺」「うつ」に対する理解のなさがまだまだあり、「逃げ」、「弱い人間」、「死ぬ勇気があるのなら・・・」というような偏見に対しての啓発も重要である、とお話されました。

                 

西田さん
 西田さんは、「心理的問題のひとつに、遺族に残された借金から引き起こされる経済・生活困難がある。このような状況で、誰が、どこで、どのような手助けができるのだろうか。『孤立』させるものは何か。周囲の目(偏見)にどう対応したらよいのか。必要性をどのように届けるのか。気持ちの整理をするための「わかち合いの場」があるのか。」など、課題を投げかけられました。

 その後、パネリストお一人ずつが、提言も含めて述べられました。              



 數川さんは、「必要な方に、必要な情報が伝われば、何らかの解決策があるはずだ。利用する情報は、近づいていけるか。自死遺族が《安心》して話せることが、重要なことである。」とお話されました。

 角田さんは、「偏見については、CMやゲストスピーカーの語りなどメンバー構成し、複合的に行ってみてはどうか。」と提言されました。

 高野さんは、「カウンセリングについて、さきほど(大野さんの語りの中で)何か違う、と言われたが、それは一方向であるからであって、何かの時には、『ここに』が大切かと思う、と話されました。

 豊原さんは、「泣いてもいい、忘れなくてもいい、忘れても薄情ではない」ことが大事である、と伝えられました。

 井上さんは、「当事者の方に話を聞かせてもらわないとわからないことがある」とお話されました。「どんなふうに、何が辛いのか」を語れる死になるよう、ご遺族の感情をステレオタイプ化しないことも重要であるとお話されました。ご遺族は辛い立場に置かれるので、つながりを持つことで解決の糸口を見つけていけるということと、追い込まれていった死をていねいに見ていく必要があること、そして自殺をどのような言葉で語っていくかについてお話されました。

◇◇


【会場からの発言】
 私は1年前に自殺で夫を亡くした。「『うつプロジェクト』の中に、<うつは夫婦で治すもの>とあった。私はこの言葉を聴いて、お前が殺したんだ、と思った。マスコミでも自殺はいけない、という。一生懸命に生きたいい人だった。『うつプロジェクト』が、役所仕事としてではなく、もっと関心を持って参加して欲しい」と、力説されました。

 井上さんは、「法律ができて何をしてくれるのか?ということはあるが、教育、精神科、行政、市町村等が連携し、これから何かが始まるような気がする」、と述べられました。

 西田さんは、「ご遺族と接する中で、私の気持ちがわかりますか?と問われることがある。だからこそ、考え、行動するために、考えるだけでは始まらない、行動を具体的に起こすことである。この声を届ける場所を作ること、自分の意見を届けること、また、一生懸命に遺族支援に携わる人のケアも考える必要がある」、と話されました。

 そして、一人ひとりに、「何かできるか。ここから何かを始める、その思いを持って…」と締めくくられました。

◇◇


 会場入り口に設置された『遺族語る』のパネルの前には、開始前から参加者が集まり、沈黙のまま、声なき声にじっと耳を傾けて下さっていました。





 なお、富山のキャラバン・キーワードは、「ひとりで悩まないで あなたは大切な人」となりました。
全国キャラバン in 熊本 [2008年03月14日(Fri)]

報告者:弘中照美(多重債務による自死をなくす会)




 2008年2月7日(木)13時から、「自死遺族支援キャラバン@くまもと」が、熊本国際交流会館で行われました。

◇◇


開会挨拶

 まず、岩下直昭熊本県健康福祉部長から開会のご挨拶があり、熊本県の現状をご報告いただきました。熊本県でも平成10年度以降毎年自殺者が500名になっていることをお話くださいました。



◇◇


キャラバン趣旨説明

 続いて、清水康之さん(NPO法人ライフリンク代表)が今回の自死遺族支援全国キャラバンの趣旨と、これまでの経緯を報告されました。改めて自殺者3万人という数字の深刻さを感じ、逝ってしまった人一人ひとりの苦悩を想うと同時に、残された遺族の悲しさ・無念さを語ってくださいました。

◇◇


自死遺族の体験談

 遺族の体験報告は、私、弘中照美が、黙って逝ってしまった母の人生と、その苦しみがわからなかった自責の念に苦しんだ日々、支えてくださった方々の事をお話いたしました。
 会場の皆さんは、じっと聞き入ってくださり、中には涙される方もいてくださいました。私の話をうなずいて聞いてくださる方々も多く、会場は、私としても話しやすい、あたたかい雰囲気でした。



◇◇


 続いて、パネルディスカッションへと移りました。

パネルディスカッション 「私たちにできること」



パネラー
 前田博さん(熊本県障がい者支援総室長)
 本島昭洋さん(くろかみ心身クリニック院長(精神科医))
 松下弘子さん(カウンセリングオフィスKMJメンタルアシスト代表(臨床心理士))
 山口和弘さん(NPO法人「自死遺族支援ネットワークRe」代表)
 清水康之さん(NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」代表)

コーディネーター
 黒木よしひろさん(フリーアナウンサー)



前田さん
 まずはじめに、前田博熊本県障がい者支援総室長が、平成18年度末に医療・福祉・教育・労働・警察などからなる自殺対策連絡協議会を設置したこと、そして平成19年度には「地域自殺対策推進事業」として3年間のモデル自治体として厚生労働省から指定を受け「ウツはなおる」キャンペーンを行ったことなど、自殺予防対策への取組みをお話くださいました。



本島さん
 寺岡会くろかみ心身クリニック院長で精神科医の本島昭洋さんからは、自殺未遂等で搬送される大きな病院に精神科の入院病床がないことの問題点をご指摘され、ご自身が担当されていた患者様が自殺されたこともお話くださいました。
 また、日本ではグリーフケアへの認識が低く、ケアが必要な遺族がいるということ、そしてその遺族がどのような支援を求めているのかを考えていく必要があるとお話くださいました。



松下さん
 臨床心理士でカウンセリングオフイス・KMJメンタルアシスト代表の松下弘子さんは、敷居が高かった精神科医療の敷居を低くしてカウンセリングを気楽に受けてもらいたいとの思いや、ご自身の体験をお話いただきました。
 「大切な人を失った悲しみが消えることはありません。なぜなら『失っても今もなお大切な人』だからです。これからも・・・。」と、こころ温まるメッセージを頂きました。



山口さん
 また、山口和浩さんは、自身の体験をお話され、その中であしなが育英会のキャンプに参加し自分と同じ思いをしている仲間がいることを知り「ひとりじゃない」と実感したことが今につながっている事をお話されました。
 自らが2007年に設立した自死遺族支援ネットワークReで遺族の分かち合いを中心に活躍しつつ、地元長崎県の自殺対策についての関わりの大切さもご報告いただきました。
 現在NPO法人ライフリンクで「自殺実態調査」の担当として活躍されていて感じたことなどもお話くださいました。



清水さん
 NPO法人ライフリンク清水康之さんは、NHK時代に取材をした山口和浩さんはじめ自死遺児の子供たちに接して遺児や自殺で亡くなった人の遺書、自殺対策について取材を続けながらも「推進役」のいない日本の自殺対策に限界を感じNHKを退社し、自らが「つなぎ役」となるべくNPO法人ライフリンクを設立したこと、そして「自殺対策基本法」の成立までの「想い」をお話くださいました。
 「自殺対策とは生きる支援でありいのちへの支援である」とちから強くお話くださいました。



 最後に、コーディネーターであるフリーアナウンサーの黒木よしひろ氏より、「他の県にはある分かち合いが熊本ではないのはおかしい。熊本でもぜひ安心して話すことが出来る分かち合いの会をつくりましょう!!」と元気で心強い声援を頂きました。

◇◇


 熊本県でのキャラバン・キーワードは、『弱音を吐きましょう』となりました。


「遺族語る」のパネル展示の様子
全国キャラバン in 高知 [2008年03月12日(Wed)]

報告者:弘中隆之(多重債務による自死をなくす会)


「自死遺族支援を考えるシンポジウム」
自死遺族支援全国キャラバンIN高知 報告


登壇者(敬称略)
○自死遺族 弘中照美
○高知県健康福祉部 副部長 元吉喜志男
○高知県四万十町保健師 小野川恵利
○自殺予防総合センター自殺対策支援研究室長 川野健治
○自死遺族支援ネットワークRe 山口和浩

◇◇


 2月17日(日)、高知県主催の「自死遺族支援を考えるシンポジウム」が開催されました。



◇◇


○ 主催者挨拶

 まず、高知県健康福祉部部長の畠中伸介さんが挨拶をされました。



 高知県では、自殺者数が交通事故死者数の1.4倍である。四万十町で県のモデル事業を取組んでいる。自殺予防対策は平成17年度から取組んできたが、自死遺族支援に関してはまだ取組みがなされていないので、今日のシンポジウムから学んで取り組みをしていきたい。

◇◇


○ 遺族の体験報告 弘中照美



 遺族は語れないということを身をもって実感した。こちらが話したことにより、遺族の方からも実は・・・と語られることがある。自ら語ることが出来ない。
 私はよく人から明るいですねと言われるが、笑っていないと保てない自分がいてる。
 いつもこころの中に小さな母いて、私が悲しむと母も悲しんでいるように思う。
 遺族支援で考えないといけないのは、遺族も生活をしているということ、法的トラブルであったり、生活再建に向けての支援(相談)が分かち合いにも必要であると感じている。



○ 各シンポジストの報告





1.県健康福祉部副部長 元吉喜志男さん
 高知県では、働き盛りの男性40〜50歳台の自殺が多い。50歳台で全体の25%、40〜50歳台となると全体の4割を越す。
 10万人に換算すると平成8年代では10人台であったのが、平成18年には20人台に膨らみ、平成18年度は全国で11位である。
 動機別では、男性では病苦が1番だが、経済苦が急増、ほぼ同じくらいになっている。
 女性は圧倒的に病苦であり、全体を見ても地域により差がある。



2.四万十町保健師 小野川恵利さん
 四万十町は県のモデル事業として、平成18年度から自殺予防対策に取組んでいる。
 普及啓発に努め、意識調査や相談体制つくり、関係機関連絡会を対策の根幹として取組んでいる。学校で普及啓発の依頼をしたところ、保護者に自死遺族がおられるので、啓発が困難であると言われた。身近な問題として改めて感じた。



3.自殺予防総合センター自殺対策支援研究室長 川野健治さん 
 よく自殺予防対策を論ずるとき、事前対応→危機介入→事後対応と言われるが、寧ろ逆であると考える。事後対応から最初に取組むべきである。
 悲しみをゆっくりと悲しめる場合と、悲しみという作業を位置づけられない人がいる。
 専門的なシェアが必要な人、支援が必要な人は自分から遺族とは言えない。伝えることが出来ない。日本には全国に40弱くらいの自死遺族支援団体があるが、アメリカでは400以上の団体がある。日本は態勢が整っていない。
 アンケート調査について、情報がきちんと届くこと、安心して悲しめること、必要な専門的支援を受けられることが重要。5人にひとりの割合でアンケート調査を拒否されている。
分かち合いについて、スタッフは寄り添うことでお互いに並ぶ関係にあること。
向かい合う関係になるのは危険である。
 二次的被害にならないように「見つめる力」「間をおく力」が大事。(並ぶ関係の中でお互いの力を借りる)
 また自死遺族支援のガイドラインも検討中である。例えば、勝手な自死遺族像を押し付けない。ひとりひとり違う。



4.長崎県自死遺族支援ネットワークRe 山口和浩さん
 自殺への偏見から不安や不眠など、社会の圧倒的な圧力で語れない雰囲気がある。それぞれの体験と向き合うことで次につなげていく→決してキズのなめ合いではない。
 遺族支援は心理的支援と生活支援が重要である。私たちに出来ること、「何ができるのか」「一緒に考える」「分りたい。でも分らない」



○ シンポジウム討論

 元吉:現場の声を大切にしていきたいが、分かち合いにしてもどのような場をつくっていけばいいか、色々なケースを考え、共有する大切さを第一にご遺族のご意見を尊重していきたい。自殺予防に関しては情報として、病院や警察とも連携していく。年代別での対策を講じていく。事後的な部分の大切さを活かし次の段階に進みたい。

 小野川:啓発の大切さを感じた。今までは心の整理にとらわれすぎていたと思う。生活のことなど考えていなかった。

 会場発言:今日は参加してよかったと思う。地域の中で取り組みたい。死ぬということを遺族が受け入れることに変わりがない。とうしても二の足を踏んでしまう。死を受け入れるということはどういうことなのかを地域で考えていきたい。山口さんに質問、どうやって乗り越えられたのか、教えてほしい。

 山口:どうやって乗り越えてきたかという質問ですが、「乗り越えていません」と答えている。父が自殺した事実は変えられない。今でもその当時の気持ちは変わっていない。しかし、365日苦しんでいるのかというと、決してそうではない。同じ体験をもつ人たちと共有できたことが有りがたかった。もの作業の場の提供が大事である。

 会場発言:中学生の子供ですが、全く意欲がありません。小学生のときに飛び降り自殺を見た経験をもつ。カウンセリングが必要。父親がプロパンガスで自殺未遂を起し、次に排ガスで自殺した。子供への配慮が回りにない(PTSDなど)。癒しが出来て普通の生活ができる家族が大事である。

 会場発言:自死遺族ですが、主人が自殺しました。子供が4人いて長男が小学校高学年(今は中学3年生)のときに第一発見者となりました。そのショックが大きかった。どうしていいか分らなかった。子供のことを話せる先生がいれば有りがいのだが・・・。あしなが育英会で話せることが嬉しかった。今日聞いた中で、色んな支援がある中、生活支援(金銭的な支援)を検討してほしい。四国には自死遺族の会がない。

 川野:取組みについて。高知県はこれだけの参加者があったことを大事にしてほしい。対話をすることの大切さ、ひとりひとりの声を大切に、苦しんでいる方々は専門家に支援依頼をしなくてはならないので、相談体制を整えることが急務。

 山口:県として、うつだけに特化して取組むのは偏りがちになる。うつになる前の取組みが必要。地域として安心して話せる場所を県が提供することも大事である。
 自殺者を減らす、支援するだけでなく、自殺対策は生きる支援であるということを認識してほしい。

 元吉:当事者の方にお越し戴いたことは有りがたく思っている。今まで高知県はこのテーマでシンポジウムも取組みもしてこなかった。今日がスタートであると思っている。

 山ア:今日の高知県でのシンポジウムのキーワードを「あなたと語りたい。あなたの隣にいるよ。」としたいと思います。ありがとうございました。



全国キャラバン in 石川 [2008年03月10日(Mon)]

報告者:藤原(NPO法人ライフリンク)




 2月11日(月・祝)に、石川県地場産業振興センター新館/コンベンションホールに於いて、「石川県自殺問題を考えるシンポジウム」が開催されました。

◇◇


 開催に先立ち、石川県副知事の 山岸 勇 氏よりご挨拶があました。



 「本県においても、自殺で亡くなられる方が平成10年に急増するとともに、その後も高い水準で推移し、一昨年の平成18年には交通死亡事故の4倍を超す265人の方が自殺で亡くなっておられます。
 こうしたことから、県といたしましても、本年度内に「自殺対策行動計画」を策定し、県民の皆様や関係機関・団体の御協力をいただきながら、県民挙げた取組として、今後、自殺対策を総合的かつ効果的に推進することとしております。

 ややもすると『自殺』の問題は、個人の問題として片付けられがちですが、最近の自殺の原因や動機において、経済的な問題や生活上の問題などの、いわゆる社会的要因が大きなウェートを占めていることからも、自殺対策は社会全体で取りくまなければならない今日的な課題であると考えております。
 本日のシンポジウムは、こうした『自殺』の問題について、今一度、それぞれの立場で考え直す、あるいは問い直す契機にしていただきたいとの思いから企画させていただいたものであります。

 御参加いただきました皆様には、どうか、本日のシンポジウムを自殺問題への理解をなお一層深めていただく機会にしていただきますとともに、それぞれの地域やお立場で今後の自殺対策の推進に格別の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。」

◇◇


第1部 シンポジウム“遺族の声から始まる自殺対策”



 第1部は、コーディネーター西田正弘氏(NPO法人ライフリンク)の進行により、進められていきました。



§1 遺族からのメッセージ By藤原



○私、藤原が、10年前の母親の自殺、母が亡くなった当時のこととその後の生活苦についてお話しました。
 母の死の後、母の残債をどのように片付けたらよいのか、遺された祖母はずっと悩み、苦しみ、払い続けてきました。しかし、10年目にして弁護士に依頼すると・・・莫大な金額が戻ってくるのです。もっと、その対応策を祖母が知っていたら、この10年は辛くなかったのかもしれません。遺された者には、メンタル的な支援のみならず、各方面からの支援・情報提供が必要であると感じています。



 §2 パネルディスカッション



コーディネーター 
 西田 正弘氏(NPO法人ライフリンク)

パネリスト  
 林 正男 氏(石川県健康福祉部次長/石川県自殺対策連絡会議事務局次長)
 山内 ミハル 氏(社団法人金沢こころの電話会長)
 山口 和浩 氏(NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表)



 林氏は、県の自殺の実態を基に、現在勧められている自殺対策行動計画について説明されました。
 そして、民間団体、県民の協力のもと、取り組みを推進していく方針を明らかにしました。
 「社会全体で自殺対策に取り組める空気ができてきた。県民が一丸となって自殺対策、行き心地がよい石川県になるように、トータル的な行政活動を進めていきたい」とお話されました。



 山内氏は、金沢こころの電話への相談件数が年々上昇傾向にあることと、電話回線の問題で電話を受けられないことがあると、現在の課題点をお話されました。
 そのなかでできることとして、24時間相談ダイヤルを検討中で、月1回からでもよいから相談窓口を広げ、悩みある方々の受け止め場所になりたいとお話されました。



 山口氏は、遺族の心理的状態についてお話されました。
 「遺族が安心して語る場所が必要であり、回復力を養いたい」と話されました。
 そして、「自殺者数を減らすことが目的ではなく、自殺に追い込まれない、生きてゆける社会、こころの暖かさがある日本であって欲しい」とお話されました。

◇◇


第2部 映画「風のダドゥ」上映

第2部では、自殺と向き合う女子高校生が、馬との巡り会いや、それぞれに悩みを持ちながらも懸命に生きる人々との触れ合いを通じて、徐々に生きる力を取り戻していく姿を描いた、映画「風のダドゥ」の上映がされました。

◇◇


 また、会場の外では、石川県司法書士会による「多重債務相談会」が開催されました。
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