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全国キャラバン in 長野 [2008年03月19日(Wed)]
報告者:久保井


 2月24日(日)長野県主催の「自死遺族支援全国キャラバンinながの『守ろう大切ないのち』が、長野市の信濃毎日新聞社で開かれました。



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 当日は近年稀な大雪に見舞われたにも関わらず、定員の120人を超えて多くの方に足を運んでいただけました。

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 開会のあいさつは長野県衛生部長の渡辺庸子さんが行い、長野県の自殺者の現況をお話されました。

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 まず、内閣府の高橋広幸参事官より「国の自殺対策における動向」というタイトルで日本の自殺の現状と昨年策定された自殺対策大綱の説明が行われました。



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 次に基調講演として信州大学付属病院メンタルヘルス外来専任医の巽信夫さんより「喪失体験と癒し」というテーマで、日々外来でうつ病の患者と接する中での経験談やうつ病についての体系的なお話がされました。



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 次に、遺族の声「自死遺族の痛みと課題」というテーマでパネルディスカッション式の発表がありました。



 
 進行が長野県精神保健福祉センター所長 小泉典章さん、発表者として久保井康典(自死遺族、長野県自死遺族分かち合いの会)、山口 和浩さん(NPO法人 自死遺族支援ネットワークRe代表)、清水 康之さん(NPO法人 自殺対策支援センターライフリンク代表)が登壇しました。



 まず、小泉さんから長野県の自殺対策および自死遺族支援の経緯について話がありました。
 長野県では自殺対策連絡協議会の設置、分かち合いの会の立ち上げ、担当者向けの研修会、自死遺族向けのリーフレットの作成、自死遺族からのメッセージの配布等が行われているということが説明されました。



 続いて、登壇者3人の紹介があり、「自殺対策が始まったきっかけの3人」として紹介していただきました。(かつて学生時代に私たちが社会に対して「声」をあげたとき、清水さんは取材者として私たちの番組を作ってくれたという関係です。)

 そして、清水さんにマイクが移りました。

 清水さんは、最初に先日の東京マラソンを撮影した映像を会場のスクリーンに流しました。東京マラソンの参加者が約3万人、日本で一年間に自殺によって亡くなる人と同じ数です。

 清水さんは、3万人という数字の中「ひと」の存在を感じでほしいと会場に投げかけました。

 スクリーンには大通り一杯を埋め尽くす人の流れがありました。その人の流れが20分間続くという説明に会場は黙って耳を傾けていました。清水さんは続けて話しました。

 マラソンの参加者一人ひとりにゼッケンがあるように、自殺で亡くなる一人ひとりにもそれぞれ異なる人生がある、と。

 続いて、リメンバー福岡の遺族の分かち合い会の様子が映像で紹介されました。夫を自死で亡くした女性の自責の念、残された家族たちの想いが画面の中から伝えられました。

 「私たちは年間の自殺者数を前の年と比べて増えた減ったで考えてしまうが、自殺者が減ることはありえない。毎年3万人の自殺者とその遺族の数は確実に増えている。今この会場で自殺と自分は関係ないと思っている人も10年後は身近なところで起こっている可能性がある」と清水さんはお話されました。



 次に私(久保井)にマイクが移りました。

 まず、今回の自分の話のテーマを「自死遺族が分かち合うことの意味」と会場に伝えた上で、父親を自死で亡くして以来、自分が経験してきたことを話しました。

 父親を自死で亡くしてしばらくは誰にも話せなかったこと。あしなが育英会に出会い、初めて自分以外に自死で親を亡くした人に出会い、自分も語れたこと。

 自死遺児ミーティングをきっかけとした文集の発刊、その後の自分たちの経験を社会に伝える活動。活動をする中で社会に自分たちが出ていくことへの葛藤。

 そして、今、長野の自死遺族の分かち合いの会に関わっていること。それらのプロセスから自分が前を向くきっかけになった出来事は何だったのかを感じて欲しいという意図を持って話しました。



 次にマイクが山口さんに移りました。

 山口さんは、自死遺族が安心して悲しめないことの背景を、社会が自死遺族の語ることができない空気を作り出していると話し、「自殺するのは弱いから」「勝手だ」といった偏見がその空気を作り出していると説明しました。

 また、自死遺族は誰が亡くなったかいつ亡くなったかなど人によって悲しみが違ってくると説明し、一人ひとりの声にまっすぐに向き合うことの大切さを伝えました。

 また、社会の制度的な面に関しても、社会の中に遺族の方たちを支えられる制度があるのに、その情報が当事者の元に届いていないと問題点を指摘しました。

 そして話の終わりには、「自分の思いを分かってくれる人がいることが大きな力になる。語る相手は必ずしも遺族でなくてもいい」と話し、遺族、遺族でない人に関わらず一人ひとりにできることがあるという部分を強調しました。



 その後、マイクは再び清水さんに渡り、自死遺族の1000人調査についての話がありました。

 多くの実態が見えていない自殺対策について、自殺に追い込まれた人の追い込まれたプロセスを調査することの重要さを説明されました。

 「自殺は社会の生き辛さが凝縮されて起こる問題で、亡くなった人からそのプロセスを学び、解決方法を見つけていくことで「生き心地のよい社会」につながっていくとお話されました。

 また、山口さん同様、一人ひとりにも必ずできることがあると付け加えました。



 終了時間も迫り、最後に私と山口さんが一言ずつ発言しました。

 私は、今日の自分の話のテーマであった分かち合いの意味を「人に話すこと、人に聞いてもらうこと、人の話を聞くことに意味がある」とまとめ、山口さんが遺族と向き合う際には気持ちを理解してあげることは難しいかもしれないが、「分かりたい」と素直な気持ちで向き合うことが重要、とまとめました。



 長野のキャラバンは、清水さんが取材された山口さんと私、それぞれの今までの歩みを振り返りつつ、遺族にとっての分かち合いの会の意味を会場みんなで共有したキャラバンとなりました。


「遺族語る」のパネル展示の様子


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 なお、長野のキャラバンキーワードは、タイトル通り、「守ろう大切ないのち」になりました。