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全国キャラバン in 三重 [2007年12月17日(Mon)]
報告者:ライフリンク事務局長 藤澤 克己


 「全国キャラバン」20番目のシンポジウムが三重県にて開催され、約150名の参加がありました。(12月9日(日)、三重県庁講堂にて)



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 開会に先立ち、野呂昭彦知事が挨拶をされました。「お互いに支えあい安心して暮らせる地域づくり」としてできることから始めるのが肝要で、「意義深いシンポジウムになり、着実な前進に結びつくことを願っている」と話されました。



 また、三重県自殺予防対策推進協議会長の棚橋尉行氏からシンポジウムの趣旨説明があり、自死遺族支援はとくに遅れているので、このシンポがきっかけとなって、自死遺族支援に役立ってもらいたいと話されました。

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 シンポジウムは3部構成です。

 第1部は、清水康之(NPO法人ライフリンク代表)による基調講演でした。
 1)自殺の問題を一人ひとりがどう考えるか、
 2)自死遺族や自殺未遂者の声に耳を傾けることの重要性、
 3)自殺総合対策がこれまでの自殺予防・防止とどう違うのか、
といったポイントを話しました。

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 続いて第2部は、「自死遺族からのメッセージ(体験談)」。登壇してくれたのは、弘中照美さんです。



 弘中さんは、いつもは「多重債務による自死をなくす会」の代表幹事として話をするのですが、「自死遺族」として体験談を語ったのは今回が初めてでした。3年前にお母様が自殺で亡くなったのですが、お母様のお墓が三重県にあるそうです。「母が生きた証として、話をさせてもらいました」と結ばれました。

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 第3部は「自殺予防・自死遺族支援 〜支えあう地域を目指して 今、私達ができること〜」
と題したパネルディスカッションでした。



 三重県健康福祉部医療政策監の西口裕氏がコーディネーター役を務め、パネリストがそれぞれの活動紹介を兼ねて、「今、私たちにできること」を話してくれました。

 まず、NPO法人ライフリンク代表の清水康之からは、体験談を語ってくれた弘中さんに対して、いつも笑顔のイメージの弘中さんでさえ「涙の枯れることはなかった」と、その痛みを開いてシェアしてくださったことに感謝します、と。
 また、その貴重な体験談を聴いて、自殺で亡くなっていった方の人生や顔を思い浮かべる想像力が問われていると発言がありました。

 続いて、NPO法人自死遺族支援ネットワークRe代表の山口和浩氏は、長崎県において先進的な自死遺族支援を展開しており、その活動内容を紹介してくれました。
 自死遺族は悲しみや苦しみだけではない複雑な心情をもっているので、安易な慰めや励まし、批判や風評によって傷つけられやすいということ、活動を通してご遺族の気持ちに大きな変化があることなどを教えてくれました。
 印象的だったのは、参加する人が「分からない、でも、分かりたい」という気持ちで集まっているということでした。行政と連携して行っている出張遺族会の取組み紹介もありました。

 NPO法人三重いのちの電話協会副理事長の珍道世直氏からは、活動内容の紹介をいただきました。
 自死遺族の方からの相談は、別の悩みで話しをしているときに出てくることがあるそうです。日本社会の構造改革が緊要だと力説されていました。

 三重県自殺予防対策推進協議会代表で三重大学医学部付属病院精神科の准教授谷井久志氏からは、自殺前サインを読み取ることを目指したリスナー制度など、県における自殺対策の基本的なことを説明いただきました。

 三重県こころの健康センター所長のア山忍氏からは、三重県における自殺の実態について、資料を使って分かりやすく説明いただき、地域社会の変革に向けて研修実施などできることから着手していくとお話し下さいました。

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 会場から発言を求めたところ、何人もの人から意見・質問がありました。

 多重債務者支援に取り組んでいる司法書士会の方から、行政における多重債務者支援の担当者と、自殺対策の担当者の連携を進めてもらいたいとの意見が出されました。

 また、熊野市でこの10月に「自殺防止センター」を立ち上げたというボランティアの方からも
発言がありました。県南地区の自殺率が高いことを鑑みて、住んでいる故郷で亡くなっていくいのちを見捨てられないとの思いから立ち上がったと説明があり、会場からエールの拍手が大きかったように思います。
 
 さらに、ご自身が職場でのストレスからうつ病になり追い詰められた経験を持つ男性から、医療機関のネットワークが可能とは思えない・不信感を持っているという率直な意見が出されました。うつ病になった原因が明らかであるのに、主治医も産業医も、職場の問題を無視しようとしたというのです。
 パネリストからは、医療現場も実は過重労働だということ、社会的な背景を理解していない医療従事者が多いと認識していること、等のコメントがあり、貴重な意見として今後検討していくと返答がありました。

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 最後に、一番印象に残ったキャラバンキーワードをパネリスト・会場のみなさんと一緒に選びました。いくつかの候補の中から、「分からない。でも、分かりたい」が選ばれました。

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 「全国キャラバン」の会場には、「遺族語る」のパネルが展示されます。
自殺で身近な方を亡くした方が、亡くなった方のことを思い出して綴ってくださったものです。
どの会場に行っても、多くの来場者の方がそのメッセージを見入ってくださいます。


「遺族語る」のパネル展示