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全国キャラバン in 神奈川 [2007年09月02日(Sun)]
報告者: ライフリンク事務局長 藤澤 克己


9月1日(土)、横浜市はまぎんホールヴィアマーレにて
「かながわ自殺対策シンポジウム」が開催されました。
神奈川県、横浜市、川崎市の3県市の共同主催でした。


500人が入る会場は、開始前にほぼ満席状態になりました。




◇◇


開会に先立ち、羽田愼司神奈川県副知事が挨拶を行いました。




この8月に3県市(神奈川・横浜・川ア)で「かながわ自殺対策会議」
を設置したことが報告され、今後は各分野が連携して自殺対策の推進
に取り組んでいくと明言されました。

その上で、「今回のシンポジウムをきっかけとして自殺対策への糸口が
見つけられればと思っています。県民一人ひとりが主役となって考える
ことが大切で、これからは行政や民間団体、県民のみなさんが一体と
なって取り組み、自殺者数の減る住みやすい社会にしていきましょう」
と、このシンポジウムの意義を説明くださいました。


◇◇


シンポジウムは二部構成で、第一部は俳優の竹脇無我さんの講演。

竹脇さんは、15歳の時にお父様が自殺で亡くなった自死遺族であり、
ご自身も重度のうつ病で死にたい衝動に苦しんだ経験をお持ちでした。

竹脇さんは、まず、自死遺族としての経験を語って下さいました。

お父様が自殺で亡くなったことを相当長い間、だれにも言えなかった
そうです。それは、現実問題として、竹脇さんが子どものころから
つい数年前まで、絶対に語らせてくれない雰囲気だったからだと。
語ることの大切さを、「早く語らしてあげた方がいいんですよ」と
経験者として力強く仰っていました。

続いて、うつ病に罹患し克服した体験についても語ってくれました。

周囲が「休ませる勇気」を持つこと、「治るまで待っててやる」という
態度でいることが大切だと、経験談から教えてくださいました。
俳優仲間の森繁久弥さんと加藤剛さんからの手紙も紹介され、
最後に「生きていればなんとかなりますから」と結ばれました。



◇◇


第二部は、「自殺問題・・・今私たちにできること」
というテーマでのシンポジウムとなりました。

コーディネータを桑原寛氏(神奈川県精神保健福祉センター所長)
が務め、
シンポジストとして、(写真左から)柴田雅人氏(内閣府政策統括官・
共生社会政策担当)、平安良雄氏(横浜市立大学教授) 、山口和浩
(自死遺族、自死遺族支援ネットワークRe[長崎]代表)、清水康之
(NPO法人ライフリンク代表)の4名が登壇しました。



シンポジスト4名がそれぞれの立場から話をしました。



柴田氏は、今年6月に策定された自殺総合対策大綱の概要と趣旨を
説明し、「困っている一人の人を支えるためには包括的に関係者が
連携すべきで、縦割り組織の行政は努力が必要」との認識を示した
上で、「これまで語ることのできなかった自殺という死の実態解明
を行い、何を必要とされているのかを見極めるためにも、それを
一番よく分かっている民間団体と連携強化すべき」と説明されました。

平安氏は、救急救命センターにおける精神科医との連携事例について
紹介してくださいました。救急搬送されてきた自殺未遂者が「救命」
された後、心理的サポートをするために精神科医を配置している
のです。ただし、精神科医が不足していて、こうした支援ニーズに
追いつかないので、医師以外の専門家が関わること、そして、地域
コミュニティが関心を持つことの重要性を説明くださいました。

山口氏は、13年前に父親を自殺で亡くし、それから何年もの間、
父親の死について語れなかったこと、あしなが育英会のキャンプで
「ひとりじゃない」と実感できたこと、それから「父親のことを
考えられるようになった」ことなどを教えてくれました。
今では、地元長崎で「自死遺族支援ネットワークRe」を立ち上げ、
自死遺族が安心して語れる場を提供していること、まだ子どもの
参加が少ないのが気がかりなこと、行政との協働で運営が助かって
いることなどを話してくれました。

清水氏は、「自殺の社会問題化」に注力してきたと話がありました。
年間3万人以上の自殺者が9年も続いていて、
未遂者は10倍といわれ、
ひとりの自殺(未遂)によって深刻なダメージを受ける人が
少なくとも5人いるとすると、この10年間で6〜7人に1人の割合で
「自殺」に関わっている、との説明には説得力がありました。
これだけ多くの人が自殺に関わっているのに、
自殺を個人の問題としてきたことに対して危機感を感じたこと、
無関心の連鎖となっている流れを断ち切りたい
と思ったこと、などを語ってくれました。

コーディネータの桑原氏から、神奈川県における
自死遺族を支援する取組みについて紹介がありました。

その後、会場からの質問に答える形で意見交換があり、自死遺族の
分かち合いの中で、自死遺族でない人の関わり方の話がありました。

「体験をしていない人(自死遺族でない人)に受け容れられたと
感じられたときの気持ちの回復が大きい」「体験の無い人がいかに
分かち合いの場に関われるのかが、これからは大事だと思う」
といった山口氏のコメントが印象的でした。

◇◇


最後に、会場のロビー風景です。




7月1日のシンポジウム(東京ビッグサイト)で、やはり会場ロビーに
展示した「遺族語る」というメッセージパネルは、その後も、各地を
「全国キャラバン」として巡っています。前回の開催地・佐賀県から
届けられたものです。次週の宮崎でも展示される予定です。