芸術の正体
[2018年12月18日(Tue)]
今年6月、
「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が
公布、施行されました。
『 障害者文化芸術活動推進法 』と呼ばれるもので
この法律の基本理念は、
文化芸術活動の促進、
芸術性の高い作品の創造に対する 支援強化、
地域での 作品発表の促進、が
掲げられています。
その上で、国に対して、
障がいのあるひとたちの芸術活動を推進する
基本計画を策定するように
義務付けたのもの となっています。
このような法律が出来たということは、
何だか
障がいのあるひとの芸術活動が
分けられ
特別視されて、
ひとりのひと として
芸術活動を行うことを
拒まれているかのように思えました。
それに、
そもそも、芸術に
障がいの有無を 持ちだし、
作品や作者に
障がいという「 冠 」を付けることに
疑問をもつひとが
どれだけいるかを知らないひとが
このような 法律をつくったのだ、とも。
「 文化芸術活動を通じた
障がい者の個性と能力の発揮
及び 社会参加の促進を図ることを目的 」
と 言われても、
東京パラリンピックに向けての
付け焼き刃的な取り組みでしょう、と
思ったり。
ちょっと、ひねくれすぎでしょうか。
でも、
障がいのあるひとが
福祉施設や学校で
芸術を想像するための環境整備も
盛り込まれた
この法律の内容を知り、
こう思うのです。
「 障がいのあるひとのなかには
芸術に 興味のないひともいるし、
芸術活動を していないひとの方が多いのに、
好きでもないことを
“ 強制 ” されることにならないか 」と。
障がいのないと呼ばれるひとのなかにも
芸術に興味のないひとがいるのと同じなのに。
「 絵は 描かないの?
なぜ、芸術活動をやっていないの?」と
面と向かって聞かれて
複雑な気持ちになる
障がいのあるひとや その家族が
実際に 多くいて
その度に 困惑していることを知ってください。
障がいのあるひとのなかには
芸術活動を
好まないひとも 相当数いるのです。
『 障害者文化芸術活動推進法 』は
障がいのあるひとの
権利に寄り添ったものではありません。
それよりも、
一部の学芸員さんが言っている
「 “ 障がい者アート ” などと言わず、
どんどん 一般の公募展に応募すればいい 」
という意見に 同感です。
ある学芸員さんに
「 前衛芸術のひとたちが
障がいのあるひとの作品を恐れている 」と聞き、
より一層 こう思いました。
「 芸術に “ 障がい ” という冠はいらない。
芸術とは 本来 “ そういうもの ” じゃないですか」。
*文化庁
『 障害者文化芸術活動推進法 』施行について
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/geijutsu_bunka/shogaisha_bunkageijutsu/1406260.html
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