栃木県NPO等活動促進に関する
基本方針
平成1 4 年5 月 栃木県
はじめに
21世紀を迎えた今日、少子高齢化の進展、地球規模の環境問題、経済の減速など、かつて経験をしたことのない困難な状況に直面しており、従来の社会経済システムの変革が求められています。
また、住民の意識も「経済的な豊かさ」から「精神的な豊かさ」へと変化し、生活スタイルや社会的なニーズも複雑多様化しております。
こうした中で、ボランティア活動をはじめとする県民みずからによる社会活動への参加が、これからの社会を支えていくためには、とても重要であり、また、さまざまな社会的な課題の解決につながるものと大いに期待しております。
私は、こうした時代であればこそ、自立と自助、さらに互助による幸福の追求であります「分度推譲」の理念に基づく“とちぎ”づくりを進めていく必要性を強く感じております。
この「分度推譲」とは、ひとり一人が自立し、個性や能力を発揮して、豊かさやゆとりを産み出し、互いに譲り合い支え合うことによって、豊かさやゆとりを共有し、県民全てが幸福になることを目指すという、やさしさと思いやりの心の発露であります。
県ではこれらの理念を活かすべく「県民みずからが、積極的に社会的な課題や地域社、会づくりに取り組める環境をつくる」観点から、県民による社会貢献活動を促進するため、学識経験者や活動実践者等からなる「栃木県NPO等活動促進懇談会」を設置し、NPOやボランティアの行う社会貢献活動を促進するための総合的な施策等について、委員の皆様から幅広くご意見をいただきながら、このたび「栃木県NPO等活動促進に、関する基本方針」を策定いたしました。
今後、この方針に基づいて、県民、活動団体、企業、行政などが良きパートナーシップのもとに互いに譲り合い支え合うことによって、誰もが豊かで活力に満ちた生活を営み、自然や街並み、そして人々の心が美しさとやさしさにあふれる「活力と美しさに満ちた郷土“とちぎ」を県民の皆様と共に築いていきたいと考えております。”
最後に、この方針の策定にあたり、貴重なご意見やご提言をいただきました栃木県NPO等活動促進懇談会委員をはじめ、県民の方々、関係各位に厚くお礼申し上げます。
平成14年5月
栃木県知事 福田昭夫
目次第1 章 策定の意義
1 背景
2 策定の趣旨
第2章N P O とボランティア
1 基本認識
( 1) N P O とボランティアの意味
( 2) N P O とボランティアの特性
( 3) N P O とボランティアの関係
2 N P O ・ボランティアに期待される役割
( 1) 公共的サービスの担い手としての役割
( 2) 新しい経済主体としての役割
( 3) 地域社会の新しいパートナーとしての役割
( 4) 個人の社会参加意欲を社会に結びつける役割
( 5) 行政への提案、評価を行う役割
( 6) 企業と協働する役割
( 7) 中間支援機能を担う役割
第3章N P O ・ボランティアに対する県民意識と課題
1 ボランティアに対する県民意識
2 N P O に対する県民意識
3 N P O とボランティアの課題
( 1) 県民がボランティア活動に参加する上での課題
( 2) N P O ・ボランティアをとりまく課題
( 3) N P O 法人の課題
第4章県の基本姿勢と協働
1 基本姿勢
2 市町村に期待すること
3 企業に期待すること
4 協働
( 1) 目的意識の共有
( 2) 相互の特性の認識・尊重
( 3) 対等な関係
( 4) 関係の公開性
( 5) 関係の時限性
第5 章N P O 等活動の推進策
1 基本的な考え方
( 1) 自立・成長のための環境整備
( 2) 協働のための環境整備
( 3) 県民参加の環境整備
2 N P O 等活動の環境整備
( 1) 環境整備にあたって配慮すべきこと
( 2) 組織基盤の強化
( 3) 活動場所の確保
( 4) 情報提供
( 5) 県民の理解促進
3 サポートセンターの設置
4 推進体制( ネットワーク) の構築
( 1) ネットワークの構築
( 2) 市町村とのネットワーク
( 3) 地域ネットワーク形成支援
5 推進条例の制定
6 県の推進体制と職員の意識改革
第6 章サポートセンター設置の基本的な考え方
1 基本コンセプト
2 機能
3 ネットワークのコア
4 運営方式
( 1) 公設民営方式
( 2) 運営委員会等の設置
( 3) 運営上の留意事項
5 設置場所
第1章策定の意義
1 背景
近年我が国では、少子高齢化による人口構造の大きな変化、地球温暖化をはじめとする環境問題の顕在化、急速なIT(情報通信技術)化の進展などを背景として、社会的なニーズが複雑多様化してきており、これまでの行政や企業を中心とする社会システムや中央依存型の社会構造では、このような変化に対応できなくなってきています。このため、地方分権の推進や規制緩和の拡大などさまざまな分野で改革が進められています。
また、住民の意識は「経済的な豊かさ」から「精神的な豊かさ」を重視する方向に変化してきており、社会的な役割を果たすことに生きがいを見いだそうとする活動、生涯を通じて学び、その成果により社会への貢献を果たしていこうとする活動、災害時の救援活動、さらには、まちづくり等、世代、性別を問わず自らの問題意識・関心でとらえた社会的な課題を自主的な活動により解決しようとする人々が増えつつあります。また、近年、行政が幅広く社会的なニーズを充足すべきとする社会から民間が行うことが可能なものは民間に委ね、「る」という社会へ移行しつつあります。行政は、真に行政として行うべきことを見極め、民間との役割の分担を進める必要があります。
このように社会・経済環境や住民意識等が変化する中で、さまざまな社会的課題を解決するための新たな担い手として、NPOやボランティアが大きな期待を集めています。
2 策定の趣旨
このような状況に鑑み本県では県民自らが積極的に社会的な課題や地、、『、域社会づくりに取り組める環境をつくる』観点から、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動を促進するため、平成13年度に社会貢献活動団体に関する実態等を調査するとともに、学識経験者や活動実践者等からなる「栃木県NPO等活動促進懇談会」を設置し、県とNPOやボランティアとの連携のあり方やNPOやボランティアの行う社会貢献活動を促進するための方策等について、広くご意見をいただきながら検討を行っております。
このたび、同懇談会から栃木県NPO等活動促進に関する中間報告を受け、県では、NPOやボランティアの活動が促進される環境の整備に努め、NPO等との相互理解の上に、対等のパートナーとして、手を携えながら社会的な課題の解決を図っていくため栃木県NPO等活動促進に関する基本方針を策、「」 定するものです。
第2章NPOとボランティア
県は、本方針におけるNPOとボランティアに関する基本的な事項を次のように認識するものとします。
1 基本認識
(1)NPOとボランティアの意味
ボランティアとは「個人の自由意思で他人や社会に貢献していこうとすること、または、その主体としての個人」を意味するものとします。
NPO (Nonprof i t Organi zat i on:民間非営利団体)とは 、「市民の行う自由な社会貢献活動を目的とする団体」とし、特定非営利活動促進法(平成10年12月1日施行。以下「NPO法」と言う)に基づき法人格を取得している特定非営利活動法人(以下「NPO法人」と言う)及びボランティア団体をはじめとする任意団体を指すものとし、広い意味でNPOに含まれる共益団体(同業者組合や同窓会など)や公益法人、社会福祉法人などは含まないものとします。
またNPO等活動とは「市民が行う自由な社会貢献活動」を意味するものとし、その活動の主体としては、NPO、ボランティア、企業等が挙げられます。
(2)NPOとボランティアの特性
NPOとボランティアに共通する特性は、自主性、自発性、自立性、自律性、公共性(公益性 )、先駆性、多様性(多元性)、国際性が挙げられます。
その活動は、自発的な個々人の思いからスタートし、社会的な使命の達成を目的にしており、行政が公平性に基づき、均一的なサービスを提供するのに対して、NPO・ボランティアは、複雑多様化する社会的なニーズをいち早く捉えて、それぞれの価値観に基づくきめ細かな活動を自主的に行っています。さらに、国際的な課題に取り組む活動も見られます。
その他、固有の特性として、ボランティアには、金銭的な利益やサービスに対する報酬を求めたりしない「無償性」が、またNPOには、収益を伴う事業であっても、それを関係者で分配しないで、団体活動への資金としていく「非営利性」が挙げられます。
(3)NPOとボランティアの関係
NPOとボランティアは、いずれも社会貢献活動を行う主体であり、根本に共有できる理念を備えています。地域での活動をはじめとして、様々な場面でお互いを認識・尊重し、対等の関係のもとで、協調していくことが大切です。ボランティア活動が盛んになることで、NPOも成長でき、NPOが健全に発達することでボランティア活動も活性化していく関係にあります。
2 NPO・ボランティアに期待される役割
(1)公共的サービスの担い手としての役割
公共的サービスは、従来行政が行うものとされてきましたが、社会的なニーズの複雑多様化に伴い、先駆性、多様性などの特性を活かした活動を行うNPO・ボランティアが、新しい公共的サービスの担い手として期待されています。
(2)新しい経済主体としての役割
組織的、継続的に活動を行うNPOには、地域における経済活動や事業の創出、雇用の創出をもたらす事業主(企業)としての役割が期待されています。さらには、その先駆性や多様性によって、新しい分野における新規事業の創出(起業)も期待されています。
(3)地域社会の新しいパートナーとしての役割
NPOが町内会などの地縁や職場に由来する団体などと連携することで地域の活性化に大きな役割を果たすことが期待されており、地域の課題を解決し、新たな展開を生み出す可能性を持っています。
(4)個人の社会参加意欲を社会に結びつける役割
自己の経験や能力、学習成果や身につけた技術等を社会のために活かしたいという個人の社会参加意欲が高まりつつあります。
NPOは、ボランティア活動を通じて自己実現や生きがいを求める人々などに多様な活動の場を提供し個人の社会参加を促す受け皿として期待されています。
(5)行政への提案、評価を行う役割
NPO・ボランティアは、身近な問題意識から公益的な課題に取り組むことを通して、多様な価値観や先駆的な視点、現場の視点などにたった行政に対する提案や評価等が可能です。
(6)企業と協働する役割
NPO・ボランティアは、市民のニーズ、現場情報、企業活動への助言・企画等を提供することができ、企業と協働することで、社会貢献活動をより効果的に進めることが可能です。
(7)中間支援機能を担う役割
中間支援とは「NPO・ボランティアの活動や運営に関して市民 、NPO 企業、各種の団体、行政の中間にあって、資金、人材、情報、ノウハウ助言、活動機会の提供や各主体間の橋渡しを行うことで、支援すること」を意味します。NPO・ボランティアの活動や運営について熟知しているNPOによる効果的な中間支援が期待されています。