山口市仁保にある山口県発達障害者センターまっぷで
「ママグループカウンセリング」という事業にかかわっている。
ここでは自閉症などの発達障害のあるお子さんを
育てる母親たちを対象に、グループワークを行っており、
ファシリテーター(進行役)として、これまでたくさんの
ママたちに出会ってきた。
発達障害者センターという相談機関は全国に
存在するが、このように母親支援に特化した
事業を行っているセンターは山口だけかもしれないので
簡単に紹介しておこうと思う。
平成14年10月より、センターの本格的な運営が
始まる前に、企画に携わり、試行事業から
かかわっている。
このブログを書きながら、もうそんなにたったのか・・
と改めて感じているが、試行事業の時に協力していただいた
ママたちの子どもは幼児期だった。
今は、もう小学校高学年・・。あの頃とはまた違う
課題に向き合っているが、どのママも、本当に素敵な
ママたちで、自閉症の子どもを育てる母親として
何らかの形で、地域社会にかかわっている。
その一つに、「余暇くらぶくれよん」という活動が
あるが、また、別に機会に紹介することにしよう。
事業の企画・立案にあたっては、協力してくれたママたち
の語りの記録を分析したり、様々な文献や資料から、
どのうような方法が発達障害者センターという専門機関で行う
グループ活動として社会的役割を担うんだろうと
模索していた。そんな時、ある書籍の中に、米国の自閉症の
母親グループを対象にしたグル―プのセッションで、「テーマ」
を掲げている方法を見つけることができた。
書籍に記述したある情報は極めて少なかったし、
アメリカという文化と日本の文化の違いがあるし、
私の能力にも限界があるので、そのあたりも含めて企画をした。
テーマを設定したグループワークとして
近年はこのうよな形で運営してきた。
詳しくは、山口発達障害者センターまっぷの
HP(http://ynet.gr.jp/hiraki/center/)にあるが
紹介しておこう。
4月「新学期を迎えて」
5月「支援者との関係作り」
6月「きょうだい児について」
7月「就学・進学について@」
8月「母と子のくらしの中で」(母子家庭対象)
9月「高機能・アスペルガーの子育て」
10月2「就学・進学についてA」
11月「家庭の中の工夫@」
12月「家庭の中の工夫A」
1月と2月 サポートブックを作ろう@A
3月4日 交流会
このようなテーマで、参加者であるママたちが
発達障害のある子どもの子育てを語りあう。
きっと発達障害の子育てについて知らない人には
想像もつかないような、苦しみや悲しみと向かいあって
いるママたちがいる。
逆に、こんなことで喜べるんだ・・という些細な出来事に
しあわせを感じたりできるようになる。
子どもを育てる過程で、<しあわせ>の意味も価値観もゆるやかに
変容していくのだ。
夫や他の家族の理解を得られず、孤独さに耐えながらも、
前を向き、わが子のために、涙をこらえながらがんばって
いるママもいる。
すごく大変すぎてつらすぎて・・よく一人で耐えてきたね・・・
生きていてくれてありがとう、出会えてありがとう・・
と抱きしめてあげたくなるようなママにも出会ってきた。
少し変な言い方かもしれないがそんなママたちを私は尊敬している。
そして、何もできない私にもどかしさを感じたこともある。
一人の専門家ができることはあまりにも小さすぎる・・。
ママたちの声から、学校の中で、地域の中で、そんなことが
本当に起きたのかと、耳を疑いたくなるような、差別や偏見が
存在していることを知ることにもなった。
その他、たくさん・・・
ここでは書きれないことがある。
こんな子育てのことを多くの人に知ってほしいと思う。
来年で10年をむかえるこの事業。
療育を専門とする施設においても、母親支援に特化した
事業が開始されるようになり事業の普及といういい感じの拡がり
も見られるようになった。
しかし、ママたちが本当に願う社会になるまで、そして
十分な支援が整うまでまだまだ時間がかかると思われる。
私たちのような支援者にできることは・・・・
支援が整備されるプロセスにおいて、当事者や
当事者と共に生きる支援者の声や力は
大きく影響するはずである。
だからこそ、耳を傾けることを忘れてはいけない。
そして、知り得た情報を整理し、ニーズを整理して
伝えていかなければならない。
これまで出会ってきたママたちの思いや願い、
そして、これからも出会うママたちの声も、
支援者仲間や学生たちに伝え続け、学び合いたい。
ママたちの声から学ぶ姿勢を保持していきたい。
今日出会った7人のママたちの声が、気持ちが、
まだ、私の身体の中になまあたたかいカタチで存在している。
なんとなく私自身の心が晴れず、それは、今日の
冬空のような寂しさも内包している。
一人ひとり抱えている課題は異なるが、少しずつ
よい方向に向かうよう、祈りたいし、彼女たちの
一番身近で支えてくれる学校の先生たちに託したいと思う。
ふじた くみ