日本海事新聞「ソーシャルイノベーション 日本財団の挑戦」(1月9日掲載)
[2014年01月29日(Wed)]
「海事新聞編集原稿/刑務所出所者への就労支援」
窃盗や傷害など一般刑法犯による再犯率は1997年以降増加傾向にあり、2012年は過去最悪の45.3%となった。刑務所入出歴が多い者ほど再犯率が高く、初犯の24.4%に対し、3回以上では59.6%に跳ね上がる。また無職の保護観察者の再犯率は働いている者に比べ約5倍と高い。早い段階で就労支援を行うことが再犯を防ぎ、更生に導くための鍵となる。
日本財団は2010年より「就労支援」に着目し、農業を活用した再犯防止プロジェクトや企業が元受刑者らに職場を提供する職親(しょくしん)プロジェクトに取り組んできた。そして本年4月から新たに「再チャレンジ奨学制度」をスタートさせる。
同制度は、福岡市で出所者の基礎教育や心のケアを行い、更生と社会復帰を支援する株式会社ヒューマンハーバーとの共同プロジェクトである。同社は元受刑者に「仕事、住居、教育」による三位一体の支援を提供、日本財団は元受刑者が自立に必要となる技能や資格取得を後押しするための奨学金(最大30万円)を給付する。夢の実現に向けて努力することは更生につながり、その姿は後に続く出所者の希望にもなる。
奨学制度の資金は、個人や企業から寄せられる寄付金のほか、飲料1本当たり10円が寄付される寄付型自動販売機の設置者からの寄付金を充てる計画である。
自動販売機はメッセージ性を持たせるために世界的に活躍するCI(コーポレート・アイデンティティー〈企業の独自性〉)デザイナーの稲吉紘実氏にデザインを依頼、無償で提供いただいた。「新生の一本の道」と名付けられたシンボルマークは、「決して道をはずさず、二度と間違った道を歩まず、新生の一本の道を一筋に生きる」という力強いメッセージが込められている。
昨年12月に第1号機となる自動販売機が福岡空港に設置され、その後も広く協力を呼び掛け、現在まで10台以上の設置が確定している。当面は年間50人分の奨学金を確保すべく、3年間で300台の自動販売機の設置を目標に取り組んでいく。
刑務所出所者に対する社会の目は厳しく、更生支援は違う世界の出来事といったのが大方の見方であろう。自動販売機で寄付を募ることは、一人ひとりが気軽に飲料を購入する、あるいは自動販売機を設置するといった関わりの中で、更生支援を身近に感じてもらうことを狙いとしている。
反省は一人でできても、更生は一人ではできない。多くの方の理解、そして支援の輪を広げていきたい(日本財団 財務チーム 伊藤広毅)。
窃盗や傷害など一般刑法犯による再犯率は1997年以降増加傾向にあり、2012年は過去最悪の45.3%となった。刑務所入出歴が多い者ほど再犯率が高く、初犯の24.4%に対し、3回以上では59.6%に跳ね上がる。また無職の保護観察者の再犯率は働いている者に比べ約5倍と高い。早い段階で就労支援を行うことが再犯を防ぎ、更生に導くための鍵となる。
日本財団は2010年より「就労支援」に着目し、農業を活用した再犯防止プロジェクトや企業が元受刑者らに職場を提供する職親(しょくしん)プロジェクトに取り組んできた。そして本年4月から新たに「再チャレンジ奨学制度」をスタートさせる。
同制度は、福岡市で出所者の基礎教育や心のケアを行い、更生と社会復帰を支援する株式会社ヒューマンハーバーとの共同プロジェクトである。同社は元受刑者に「仕事、住居、教育」による三位一体の支援を提供、日本財団は元受刑者が自立に必要となる技能や資格取得を後押しするための奨学金(最大30万円)を給付する。夢の実現に向けて努力することは更生につながり、その姿は後に続く出所者の希望にもなる。
奨学制度の資金は、個人や企業から寄せられる寄付金のほか、飲料1本当たり10円が寄付される寄付型自動販売機の設置者からの寄付金を充てる計画である。
自動販売機はメッセージ性を持たせるために世界的に活躍するCI(コーポレート・アイデンティティー〈企業の独自性〉)デザイナーの稲吉紘実氏にデザインを依頼、無償で提供いただいた。「新生の一本の道」と名付けられたシンボルマークは、「決して道をはずさず、二度と間違った道を歩まず、新生の一本の道を一筋に生きる」という力強いメッセージが込められている。
昨年12月に第1号機となる自動販売機が福岡空港に設置され、その後も広く協力を呼び掛け、現在まで10台以上の設置が確定している。当面は年間50人分の奨学金を確保すべく、3年間で300台の自動販売機の設置を目標に取り組んでいく。
刑務所出所者に対する社会の目は厳しく、更生支援は違う世界の出来事といったのが大方の見方であろう。自動販売機で寄付を募ることは、一人ひとりが気軽に飲料を購入する、あるいは自動販売機を設置するといった関わりの中で、更生支援を身近に感じてもらうことを狙いとしている。
反省は一人でできても、更生は一人ではできない。多くの方の理解、そして支援の輪を広げていきたい(日本財団 財務チーム 伊藤広毅)。