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15のまなび 残る3回の日程のご案内です。 [2015年11月26日(Thu)]
12回まで終了した、15のまなびですが、
1回での参加もお待ちしております。
参加費は1回が2000円で、保育は1名につき500円です。
遠方からのご参加もあり、常に、いろんな出会いの場となっています。
新たな支援の姿を模索されている方、悩みを共に話し合いたい方、
支援を深めるために学ばれている方、皆さん一緒に学びましょう。
詳しくは、HPをご覧ください。

第13回  12月13日(日)  灘 裕介 氏
子育てに活かす作業療法視点 
講師紹介:(有)あーと・ねっと 作業療法士
マイナー職種の作業療法士という仕事をしています。作業療法は、一般的には『リハビリ』です。元々、小児の病院に勤めていましたが、医療機関の枠組みに捉われることなく、もっと広く作業療法の視点を、活用頂きたく、独立・事業展開していま
す。現在は、乳児相談や健診、保育所・幼稚園訪問、学校等への他職種の方々とも連携しつつ、個別セッション(作業療法)もしつつ、子育て支援をしています。

第14回  2016年 1月11日 (祝)  谷口英子さん
地域を知り地域をサポートする 
講師紹介:NPO法人まちづくりサポートクラブ/副代表理事/舞鶴市社会教育委員
出産を機に専業主婦となるも「良妻賢母として生きる」ことに縛られる生活に行き詰り、子どもを連れながら、子育て当事者主体の子育て支援活動を始める。現在は、法人が指定管理者として受託している舞鶴市西市民プラザでの地域子育て支援拠点事業や介護予防事業の運営のほか、丹後地域での民間子育て支援団体の設立に携わっている。高校生から小学生まで5人いる子どもたちは、おんぶで育てた。

第15回(最終回)
2016年1月30日(土)  朱 まり子さん
子育て支援者の基本となる学びを構築するために 
講師紹介:子育ての文化研究所 代表
専門は児童文化学。幼稚園教諭時に長男を出産し、保育園の豊かな子育てを経験。夫の転勤で知り合いゼロ地域に転居し、子育て家庭を受け入れない社会の大きな壁に直面。片や、ご近所さんの大いなる力に日々感激して過ごす。その後、京都に戻り、自宅マンションで週2回の子育てサークルを開始。以後、子育て支援のクラブを立ち上げ、地域の子ども対象のNPO活動等に専念する。
15のまなび 迫きよみさん 「抱っことおんぶのサポート実践を通して見えてきたこと」 [2015年11月26日(Thu)]
第12回 11月23日(月・祝)
「抱っことおんぶのサポート実践を通して見えてきたこと」
  10:15〜12:15 講演・意見交換会
  12:45〜14:00 講師を囲んで座談会
講師:NPO法人子育てを楽しむ会 代表理事
  京都キッズプロジェクト 代表 迫 きよみさん

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 残すところ少なくなってきた15のまなび、第12回は「抱っことおんぶのサポート実践を通して見えてきたこと」というテーマで行われました。講師は、ご存知の方も多く、この子育ての文化研究所の事務局長でもある、迫きよみさんでした。迫さんは、福祉現場での経験やそこから感じた事、ご自身の出産、育児を通して受けた思いを子育て支援に繋げ、精力的に活躍されています。活躍の場は多く、それと同時に様々な立場で子育て支援に関わる方達と繋がりを作り、時には、その方たち同士の繋ぎ役も担っておられます。そして現在は、10年前から関心の持たれた「だっこ」と「おんぶ」を切り口に活動されています。今回は、なぜ迫さんが今の活動に至ったのか、どのような思いで活動しているのか、そして今後どういうこうとを目標に活動していきたいかを、年表や図を使いながらお話下さいました。参加者も定着しつつ、また、新しいお顔や新生児さんを連れて来て下さった方など今回もたくさんの方が来られました。

 迫さんは19歳の時から、保育士資格を通信で勉強しながら滋賀県の障害児施設で12年間住み込みで勤務され、この12年があったから今に繋がっていると仰っていました。その施設は夜勤もあり、大変忙しく、職員もなかなかまわらない状況だったそうです。他の女性職員も居られ、妊娠された方も居られたそうですが、職場の状況から妊娠を言えず就労を続けた結果、死産や流産となる方も居られたようです。迫さんはそのような現場を見て、自分は仕事をしながらの出産や子育てはせず、仕事とプライベートは分けたいと感じられたそうです。

 1995年、結婚を機に宇治に転居、現在は19歳と17歳になるお子さんが居られます。1人目のお子さんの時はつわりが大変酷かったようで、その時に産前産後のケアの大切さを知ったと話されました。また、2人目のお子さんの時に、バセドウ病にかかり体重もかなり落ちたそうです。闘病生活を乗り越えての子育て時、マタニティースイミングで出会ったお母さん方の相談に乗っておられる中で、出産する前から離婚する、など口にされる不安定な方も居られ、親身にサポートしたり、お話を聞いたりしている間に人数も増え、定期的なお茶会や同窓会のようになったと仰っていました。そこでは、色々な思いを抱えながら子育てをされるお母さん方が集まり、様々なお話が飛び交いました。中には、病気の時に医師からスポーツ飲料をたくさん飲ませた方が良い、と言われたからと、病気以外でも常時スポーツ飲料ばかり飲ませているお母さんや、産婦人科で授乳前後に体重を計るように言われたため、生後6カ月になっても授乳前後で毎回きちんと体重を測り、忙しいと口にされるお母さんも居られたようです。そのようなお母さん達は、お茶会や同窓会の場で初めて、そうではない、そこまでしなくて良い、ということを知ったようです。迫さんは、「始まりの指導はあっても、終わりを教えてくれない」と言葉にされていました。そのような場を目の当たりにして、サークルの大切さと、その場所の少なさを感じ、それが今の活動に繋がるきっかけになったそうです。
 しかし、当時はサークルを行うにしても公共施設の理解が無く、なかなか活動場所が確保できなかったので、その時に京都子育てサークルと共同し宇治で子育てしやすくなるために活動を立ちあげられました。当時で子育てサークルは他に30ほどあったのですが、迫さんはサークルだけ繋がっていても良くはならないと感じられたようです。なぜなら、サークルは子育て中のお母さんが自分の足で一歩踏み出さないと生かされません。でも、出て来られない人は、出て来られないままです。特に1歳までのお子さんを抱えておられるお母さん方はなかなか外出が難しく、サークルだけでは完全ではないと感じ、ご自身のお子さんも幼稚園に上がったこともあり、再出発されることになりました。

 だっこ紐との関わりは、少し前から流行っていた、だっこ紐を手作りでされていた方との出会いがきっかけで、だっこ紐をお母さんが手作りする教室として始まりました。手作り教室は、お子さんを保育する体制でしたが、参加者の中には、自分の時間の為に子どもを預ける(保育する)という事は気がひけて出来ない、という方も居られました。しかし、だっこ紐の制作は子どもの為なので、そう考えると預けられた、預けても良いのだと思った、と仰ったそうです。最初のだっこ紐はM、Lなどでしたが、徐々にお母さん方の体のサイズに合わせ、細分化させていったそうです。
 この教室、目的は子どもの為のだっこ紐を作る事ですが、その作業時間の間だけはお母さんは一つの事に夢中になれ、普段は相談できない事も相談出来る時間になりました。当時の子育て支援の主体は保育園が担っており、内容は親子遊びがほとんどであったため、親だけの時間を持つことは難しかったようです。しかし、迫さんは女性としての、ひとりの時間を持てる事、相談に乗れる事を目指し、その後、京都キッズプロジェクトを立ち上げ、子育て支援の輪を広げて行かれました。

 ここで、2005年にご自身が作られた三角ピラミットの説明がありました。
一番下の層は「特別支援の必要を感じない」、
次に「適切なサポート」、
そして「虐待のリスク」、一番上が「虐待」となっています。
この図を作られた当時、リスクの感じない部分は8割ぐらいだと感じられたようですが、2012年には逆転、子育ての情報が無いとすぐに上の段階に行くと感じるようになったと仰っていました。

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 だっこ紐との出会いを通して、だっことおんぶに関心が移り、2010年からはだっこ紐を沢山集め出します。当時はまだ子育て支援とだっこ紐、おんぶ紐を繋げて調べる人はいなかったとのことでした。沢山あるだっこ紐を集めることで、何かが見えると思ったそうです。それと同時に、おんぶの人がいないことも気付かれたそうです。おんぶを提案してみても、中々受け入れられず、中には、子どもの姿が見られないので怖い、後ろから刺された時に守れないので怖い、と話された方も居られ、迫さん自身衝撃を受けたそうです。
 同じ頃、輸入物の抱っこ紐とイクメンのブームがやってきました。それまでのだっこ紐は小ぶりで色もカラフルで女性向きが多かったようですが、それは海外では男性がつけている事でも話題になり、基本的にサイズが大きく、色もモノクロ調のものもあり、そのような斬新さ、イクメンの流行に乗ってSNSや口コミを頼りに、日本の女性には大きい商品がそのまま入り、定着していきました。日本には、子どもにとって良いかどうかを判断する機関が無く、育児用品が無選別で入ってくると迫さんは指摘されていました。
 たくさんの育児用品であふれる情勢の中で、ひろばに来られるお母さん方や赤ちゃん達を見ていると、赤ちゃんに語りかける事がなかったり、表情が乏しかったり、寝返りが出来ないなどの相談をされる方が多くなりました。迫さんは、これらの事に対し、子育ての文化が伝承されていないと気付かれたそうです。新たな抱っこ紐は、その使い方を人から教わらなくても良い物、取扱説明書があれば使用できる物で、これらの普及が、昔ながらの抱っこ紐を廃れさせたと思われます。抱っこ紐の形が大きく変わったことと同時に、子育ての文化が受け継がれ無くなったと感じたそうです。また、そのような抱っこ紐が普及すると、赤ちゃんを素手で抱けない人が多くなり、サロンに来られた2時間、赤ちゃんを置いたら泣いてしまうからと、ずっと赤ちゃんを抱っこ紐から出さない方も居られ、とても疑問に思うようになったと仰っていました。

 迫さんは2006年に、ハグモミの手島渚先生と出会われたそうです。手島先生は東北支援でベビーヨガソシエイトの高橋由紀先生と出会われ、迫さんに高橋先生を紹介されました。手島先生・高橋先生との出会いは、今の子育ては、赤ちゃんへの思いや気持ち、時間、お金をかけているのに赤ちゃんにとって心地良いものになっていない、また、今の子育て中の方達の特徴として、体で感じるよりも頭で判断する人が多いことなどを気づく契機になったそうです。例えば、おへその下の方で抱っこ紐を付けて何か変だな、と感じても、その位置で着けている方が多いから、説明書通りにしているから、これで良いと頭が判断してしまい、自分にあっただっこ紐や、適切な位置を感じられないなど、赤ちゃんとのやり取り、抱っこの仕方などが、ここ5年で低下していると仰っていました。

 続いて、ミクロ(個人・家庭)、メゾ(地域・企業・コミュニティー)、マクロ(国・自治体)の図について説明がありました。今の子育て情勢を考えるとメゾの部分は連携する必要があるとのことで、その相談窓口は沢山あった方が良く、その窓口は必ずしも行政に繋がっているわけではないので、行政に繋がっていないからこそ相談に来る方も居ると仰っていました。だからこそ、メゾの中で1人だけ居るのではなく、手を繋ぎ、色んな切り口を作る必要があるとお話し下さいました。そして、その繋がりと支援を通して国としての仕組みづくりのための実績を作りたいと仰っていました。
ご自分達の世代は育児本を何冊もそろえた「マニュアル世代」、今の子育て世代はキーワードを入力すれば必要な知識だけ得られる「ネット世代」と表現されていました。その違いとして、育児本には知りたい部分だけではなく、その前後の子どもの発達が載っているが、キーワードでは、その知識に関して色々な意見が得られる一方、その前後の発達に関する知識が得られない、文化が繋がらない、と指摘されました。

 このような状況から考えると、サポートが増えればリスクも減るだろうが、今すぐに国の制度としてサポートを取り入れる事は難しく、そのためにメゾのような繋がり、支援を「京都モデル」として作り上げ、それにより「育児不安が減った」ということを示したい。先ずは、新たなプログラムを作成し、もう一度子育ての文化を家族や地域に返し、さらなる目標として、子育ての文化を家族や地域に戻せたら、新しいプログラムや制度をなくす、というところまで目指していると、話して下さいました。
 最後に、ご自身の経験や抱っこやおんぶで見えてきたものを通して自分達に出来る支援を地域に返す事で、ピラミットの下の部分の人達を増やしていきたいこと、そのためにはみんなで手を繋いでやっていきたいと、今後の展望と思いをまとめられました。
自分がどういう思いで今の活動と今後の活動を行っていきたいのかを少しでも知ってもらえたら、と迫さんは仰っていましたが、講演中、参加者の皆さんは何度も頷かれており、その思いは強く伝わったのではないかと感じました。

 午前中の講演後、参加者からの講演を聞いた感想や意見交換をし、午後は参加者の自己紹介と質疑応答が行われたのち、講演で紹介された「むぎゅっと」や一本紐を、参加者がお子さんを抱っこやおんぶされる実演タイムがありました。体験された方は「あっ」という表情になり「こっちの方が楽」と感想を述べておられました。迫さんは、「今はこの『あっ』という感覚を持つ方が少なくなってきている」と話されました。見ている側としても、「むぎゅっと」や一本紐は、お母さんの体とお子さんにフィットしているようでした。今の子育てをしている方達が、「あっ」という感覚が持てるように、子どもが「心地良い」と感じられる機会が増えるように、それぞれの立場でできることを出し合っていきたいと思える今回のまなびでした。
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