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2010年10月26日

介護と看取りのしゃべり場を開催しました。

介護と看取りのしゃべり場を開催しました。

10月9日(土)、仙台市福祉プラザを会場として、介護と看取りのしゃべり場を開催しました(14:00〜16:30)。

今回は、東北大学大学院文学研究科に在籍し、近現代の国文学を専門とする高橋由貴さんに話題提供者となっていただきました。タイトルは「祈りと文学−大江健三郎の世界−」。参加者は17名。障害をもつ息子との共生、大江健三郎の作品を通して、介護や看取りにどう向き合うかということをお話しいただきました。


〔しゃべり場風景。真ん中前にみえるのが、話題提供者の高橋由貴さん〕

介護者(大江)と息子とのいさかい、そこからお互いを尊重した歩み寄りの姿を通して、「自らを曲げることなく、しかし恥じ入って相手に歩み寄る和解、そのために言葉ならぬ声に耳を傾け、信仰をもたない者の祈りに注目する大江の世界は、たいへん示唆に富むものと感じました。

話題提供の後の座談会の場では、こうした題材を取り上げたときによくある、文学の中の世界は美しい、でも現実はそんなものではない、という意見が出されました。介護に直面する人にとって、たしかに大江健三郎の世界は、見にくい部分を捨象したきれいな世界と映るかもしれません。

しかし、文学や古典に接するとき、それが現実の世界と違うとか、いま直面する問題の解決に役立たないという姿勢では、おそらく私たちに文学や古典は何も語りかけくれないのではないかと思います。

大江健三郎は、いまこの一瞬、また生きている間に、相互の和解は難しいかもしれない、だから相手が死を迎えた後にもまなざしを向け、長い時間のスパンの中で、問題を捉えようとしています。苦しい介護に直面したとき、目の前の現実にしか思いが至らないときがあります。しかし、そうした近視眼的な状況では、自分の精神状況は追い詰められてしまうように思います。追い詰められたときに、空間的・時間的にふっと遠くをみつめてみる(それは現在でも過去でもいいと思いますが)、そうしたことが少しいまの現実を変えるきっかけになると思います。

ここ数年、自分がいま向き合っている対象から何を学ぶかというプラス志向をもつと、自分の世界が広がり、いまの状況をかえるヒントを得られるという経験をしてきました。今回のしゃべり場の大江健三郎の世界もそうしたたいへん有意義な機会でした。
posted by M.Motomura at 11:42| Comment(0) | 介護と看取りのしゃべり場

2010年10月05日

介護者サポート実践セミナーを開催しました

介護者サポート実践セミナーを開催しました。

 アップが遅くなりましたが、9月12日(日)10:00〜16:00、介護者サポート実践セミナーを開催しました。今回は、日本ケア・カウンセリング協会の協賛のもと、介護者サポート活動に必要なコミュニケーションのスキルの方法の会得を目的とした内容でした。

 日本ケア・カウンセリング協会の協賛でイベントが実現できたのは、昨年、東京で開催された「介護なんでも文化祭」(NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン主催)に私が参加したとき、同じ部屋で日本ケア・カウンセリング協会の方々をおられて、そこでいろいろ交流を深めたことがきっかけでした。

 今回の企画は、日本ケア・カウンセリング協会の東北支部の方々(宮城県在住、秋田県在住)のお力添えで実現することができました。

 当日は、43名の方に参加いただきました。午前中は、日本ケア・カウンセリング協会の代表理事である品川博二氏による講演「ケア・カウンセリング入門―援助的人間関係の構築に向けて!―」でした。


〔品川博二氏の講演風景〕

 内容は、ケア・カウンセリングの基本的な考え方、哲学に関するものでした。無定型・多方向な介護の現場の話から、「ケア」と「お世話」の違い、「生」と「命」の違い、「表」と「現」の違い、そしてケア・カウンセリングとは何か、ということへ話は進んでいきました。1つ1つの話が、私たちの常識を覆し、新たな地平を垣間見せてくれる刺激に満ちた講演でした。全体をここでまとめることは実に難しい、つまりその場の雰囲気をリアルに伝えるには、ご参加いただくしかないと感じた講演でした。

 お昼休みには、ランチタイムセミナーを行いました。今回は介護保険外のホームヘルプサービスを行っている株式会社アオバヤさんにおこしいただきました。


〔ランチタイムセミナー風景。ホワイトボードの前にいらっしゃるのがアオバヤさんの方々〕

 介護保険の訪問介護が年々利用の制約が強まっていく現在、料金は割高であっても、必要なときに必要なことを提供してもらえる介護保険外のサービスの存在は、きわめて重要と感じています。仕事をもっている私にとって、病院の通院、ショートステイ先からの外出(施設側の了承もいただいています)など、たいへん助かっているサービスです。とくに、ショートステイ中の外出・お散歩は、妻の気分転換として、とても大切なものとなっています。お散歩、買い物など、健康であれば普通の人であれば何でもないことです。しかし、それができない妻にとって、こうしたひとときを作り出してくれるアオバヤさんのサービス提供は、かけがえのない時間です。もちろん家族がやればいいじゃないかという人もいるかもしれません。しかし、家族にも仕事や家事、炊事、その他、やることはたくさんあります。手が回らないことも多いはずです。加えて、人は家族とだけ交流をもって人生を過ごしているわけではなく、家族でも親族でもない、他者とも交流をもちながら生きているはずです。そうした人とのつながりが、介護が必要な状態になったときに失われてしまうのは、おかしいと考えています。こうした時間を何とか生みだそうとされているアオバヤさんの活動は、今後広がっていくといいなと思っています。

 午後は、参加者が6名ないし7名くらいのグループになり、2つのワークを行いました。1つは、お互いをほめあうというもの、もう1つは介護に関するよかった体験を話して、それに対するコメント返すというものでした。


〔午後のワーク風景〕

 知らない相手をほめること。とても難しいことでした。しかし、ほめようと思うと、相手を一生懸命みて、どんな人か思いめぐらします。そうした営みが、人間関係を構築する上で、とても大切なことの1つであることをあらためて感じました。

 ワークに参加されたみなさまは、おそらく今まで考えもしなかった世界を体感したことと思います。ワークも実際に参加していただく以外、この体感をお伝えすることは難しいことです。ただ1つ、今回のキィーワードは、「人との関わりあうことで、人生の新たなストーリー(物語)を作り出す」ことの大切さだったと思います。そのために、1対1で話をするだけでなく、何人か集まって、介護について話す場(私たちの団体の行っている介護者の集い)を作り出すことに意味があると再確認することができました。

 今回参加された多くの方々より、またこうした企画を行ってほしいという声をいただきました。すでに、次回の企画を準備中です。詳細が決まりましたら、またアップします。
posted by M.Motomura at 14:45| Comment(0) | 介護者サポート実践セミナー

2010年10月01日

介護者の集い(二日町)開催のお知らせ

介護者の集い(二日町)開催のお知らせ

 「介護者の集い」は、日々介護に従事している人、介護に関する仕事に就いている人、介護に直面しなくとも介護に関心のある人、誰でも参加でき、精神的に癒され、有益な情報交換できる場を目指しています。

 10月23日(土)13:00〜16:00頃、二日町にある緩和ケアクリニック仙台で集いを開催します。場所は、地下鉄北四番町駅下車、南1番出口すぐ、バス停向かいにあるネオハイツ勾当台901です。

 参加費無料、来室・退室時間は自由です。日々の介護から解放されて、いっしょにほっと一息ついて、いろいろお話ししませんか。

 ご関心のある方々のご参加を心よりお待ちしております。
 

【案内チラシ】
posted by M.Motomura at 21:48| Comment(1) | お知らせ

介護と看取りのしゃべり場開催のお知らせ

介護と看取りのしゃべり場 開催のお知らせ

 10月9日(土)14:00〜16:30、仙台市福祉プラザ・第4研修室にて、介護と看取りのしゃべり場を開催します。

 この企画は、話題提供者による50分程度の話のあと、それをもとに参加者で座談会をするものです。今回の話題提供者と内容は、以下の通りです。

話題提供者:高橋由貴氏(東北大学大学院)

【タイトル】 祈りと文学―大江健三郎の世界―

【概要】
 小説『個人的な体験』を発表して以来、障害を持つ息子との関係性を小説に織り込んできたノーベル文学賞作家である大江健三郎のテクストを読みながら、大江が言う「信仰を持たない者の祈り」や息子との共生の方向性はどのようなものか、これを大江のフランス文学受容や小説の実践との関わりからお話しする予定です。

 定員20名。参加をご希望の方は、事前にご連絡ください。連絡先は、プロフィールにある携帯電話かメールにお願いいたします。


【案内チラシ】
posted by M.Motomura at 02:14| Comment(0) | お知らせ