沖縄の古代のなぞを紹介 うるま市立海の文化資料館 [2007年07月31日(Tue)]
海の文化資料館 沖縄県うるま市は、沖縄本島中部に位置し東に金武湾、南に中城湾に接し、世界遺産の「勝連城」(かつれんぐすく)もある自然と歴史に恵まれた街だ。金武湾には800ヘクタールという干潟が広がり、さまざまな海の恵みがもたらされている。同湾に面した船の形をした「海の駅あやはし館」2階にある「うるま市立海の文化資料館」では7月15日から11月30日までの日程で「古代のうるま市のひみつ〜海の恵みとその交流〜」をテーマにした企画展を開催、夏休みの子どもたちでにぎわっている。日本財団が支援している「海と船の企画展」の一つで、沖縄の歴史を知る上で貴重な資料が数多く展示されている。 同文化資料館は、2003年4月に海の文化に関する資料を展示することを目的にオープンした。沖縄各地の物資運搬に使われ、山原船(やんばるせん)とも呼ばれた木造の「マーラン船」の実物や、この船に関する資料や世界中の貝類3000個などを常設展示している。うるま市にはマーラン船の建造技術を引き継ぎ、市指定文化財に指定されている船大工の越来治喜さんがおり、展示されているのは越来さんの手によって完成したものだ。 (写真:展示されたマーラン船) 2005年に具志川市、石川市、勝連町、与那城町の2市2町が合併してうるま市が誕生したが、企画展は(1)海の恵み−干潟の重要性 (2)交流−、中国、九州とのかかわり (3)世界遺産・勝連城−をテーマに、市内(勝連城の遺跡など)から発掘された6500年前の土器や中国の青磁器など約500点を展示。さらに、干潟で使われた魚介類用の道具、人魚伝説のモデルともいわれるジュゴンの骨でつくったアクセサリーなど、信仰を伝える発掘資料も展示した。(写真:展示物を説明する前田学芸員) このほか入館した子どもたち向けに、夏休みの自由研究として船の模型づくり、土器づくり体験教室、地域の子どもとの遺跡めぐり(宮城島のシヌグ遺跡)も実施中だ。文化資料館の前田一舟学芸員は「うるまが沖縄の考古学の始まりといえる。子どもたちには、2,000年前から中国と交流があったことをこの資料展を通じて伝えていきたい」と話している。文化資料館の窓からは金武湾が望まれ、ウインドサーフィンに興ずる人々の姿が目に入る。伝統と新しさとが混在する、うるまの海は魅力がいっぱいだ。 海の文化資料館は、沖縄県うるま市与那城屋平4、電話098-978-8831 |