07年版海洋白書を発行 海洋基本法制定の動きを詳述 [2007年04月17日(Tue)]
【2007年版 海洋白書】 日本の海洋問題に取り組むための初めての法案である「海洋基本法案」が衆院を通過し、今国会で成立が確実な見通しの中で、海洋政策研究財団は海洋を取り巻く様々な状況を総合的に整理・分析した「2007年版 海洋白書」(A4判、159頁)を日本財団の支援でこのほど刊行した。今回で4回目の海洋白書は、海洋基本法制定に向けた動きを中心にまとめており、重要性がクローズアップされてきた「海洋問題」を理解するための貴重な資料といえる。 白書は、第1部「海洋の総合的管理への新たな挑戦」、第2部「日本の動き、世界の動き」、第3部「参考にしたい資料・データ」の3部構成。このうち、第1部は世界の中で法制化が遅れていた日本の海洋基本法制定の必要性と2005年11月に日本財団とともに公表した「21世紀の海洋政策への提言」によって始まった法制化への動きを紹介。さらに米国、中国、韓国、カナダ、EU各国の海洋政策の取り組みを点検し、わが国の主権が及ぶ海域の情報管理の必要性を提言している。 続いて今後10年の長期的視点に立って、観測衛星を使った海洋データの収集など海洋の基礎的研究を進めるための技術開発を概観した。2005年7月に完成し、海洋研究開発機構が所有している地球深部探査船「ちきゅう」の建造意義、構造についても詳しく触れている。 温暖化現象など地球環境問題が発生し、大量生産・消費型から持続可能な開発を目指す循環型社会への移行の必要性が指摘されているが、海事活動についてもその観点から点検。幅広い国際協力が重要であると訴えている。また、海を守るために、航行、資源、環境、軍事、科学調査など総合的な海洋安全保障の実現の必要性、排他的経済水域で多発する事件や紛争にも触れ、これらの再発防止のための国際的な指針作りが急務であると強調している。 |