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患者と家族の心の拠り所に 近江八幡のホスピス希望館 [2008年04月04日(金)]


近江八幡市のホスピス希望館

人生の終末期を迎えた患者にとってホスピスの役割は大きい。滋賀県近江八幡市の「ヴォーリズ記念病院ホスピス『希望館』」は、患者が自分らしく生きるためのサポートをする施設として地域に次第に根をおろし始めた。滋賀県内にある4つのホスピス中、唯一の民間運営ホスピスとして小規模ながら患者と家族の心の拠り所的な存在になりつつある。(写真:希望館の細井ホスピス長)

ヴォーリズ記念病院は、日本各地に西洋建築を建てた米国人ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880-1964)が1918年に水郷の街といわれる近江八幡市の山懐の緑が多い場所に結核療養所「近江療養院」として開設、その後現在の名称になった。希望館はヴォーリズ記念病院の一角に日本財団などの助成で2006年10月にオープンした。鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積は1600平米で全個室16部屋がある。このほか、談話室、家族も使えるファミリーキッチン、家族室、ボランティアルーム、瞑想室、面談室、診察室、日帰り患者のためのデイケア室もある。(写真:希望館の多目的ホール)

大阪の淀川キリスト教病院のホスピス医を経験した細井順ホスピス長を中心に、17人の看護師や、音楽、園芸などのボランティアの協力で運営。現在末期がんなどの患者8人が入院中だ。館内はゆったりしていて、病院という印象はない。しかし、細井医師によると「全国的な傾向としてホスピスは介護病棟化しているのが現状」で、患者の家族には「ホスピスは死にいく所というイメージが強い」(岡田幸子師長)という。これまでの入院患者の動向を見ると、入院日数の平均は32・5日。17日で亡くなる患者が一番多く、最も短い人で1日、最大では398日の入院生活を送った人もいる。(写真:整った設備の家族用厨房セット)

「家に帰りたい」という患者の希望をかなえさせるために、緩和ケア外来があり、在宅で過ごすに当たっての不安や困りごとの相談も受けている。しかし、家族関係が希薄になりつつある世相だけに細井医師は「医者は患者を一時帰宅させる勇気を持たないといけない」と指摘する。さらに「人間にとっていかに死ぬことが大事か分かってほしい。お別れ会を終えると、家族はつらい思いから解放されて帰っていく」と、ホスピスの役割を淡々と話している。

ヴォーリズは大学(関西学院大学や神戸女学院など)や教会の建物を多数建築、病院内にもツッカーハウス(支援者のツッカー女史の寄付で結核療養施設として1918年に建築)があり、ホスピス建築のため取り壊しの計画もあったが、保存されることが決まっている。ヴォーリズは実業家としての顔も持ち、近江兄弟社の創立者の一人としてメンソレターム(現在のメンターム)を普及させたことで知られる。(写真:保存されたツッカーハウス) (石井)
ブックマークに追加する Posted by 日本財団 広報チーム at 09:24 | 福祉・医療 | この記事のURL | コメント(0) | トラックバック(0)