孤児たちのお母さん的存在に シニアボランティアの大作さん [2007年09月10日(Mon)]
フィリピンの孤児院でシニアボランティアとして活躍する大作さん 「よっちゃん、また必ず帰ってきてね」。子どもたちの声を背に大作佳子さん(65)は8月中旬、夏休みのために日本に一時帰国した。技能ボランティア海外派遣協会(NISVA)から派遣され、東京からフィリピンへと出発したのが4月14日。一時帰国までの約4カ月、フィリピン・パンガシナン州スワルの孤児院「子どもの家」で食生活を管理し、市の要請で女性たちに洋裁を教える活動もしてきた。 大作さんは、スリランカで縫製を教える女性を紹介する新聞記事を見て感銘を受け「私にも途上国の人々に何かできることはないか」とNISVAの会員登録をしたという。NISVAは、日本財団の支援でシニア世代を、発展途上国へボランティアとしてコーディネートする団体だ。様々な特技を持つ約190人が登録、今回は「子どもの家」を建設、運営をしているNPOから食事改善の指導をしてほしいという要望があり、栄養士としての経歴と縫製もできる大作さんが選ばれた。(写真:子どもの家) 「子どもの家」は、マニラから車で約5時間の景色が素晴らしい丘の中腹にある。ストリートチルドレンを保護し、将来に向かい心豊かに生活できる場所を提供するために設立された。大作さんはこの施設で生活し、10数人の子どもたちの食事指導を担当し、簡単な縫製も教えた。 栄養面で偏る食生活を見て考えたのが味噌汁の利用だ。野菜やワカメを食べることができ、味噌を摂取することで栄養面でのサポートになる。子どもたちや職員が「ワカメみそしる〜」と歌うほどの好評ぶりだった。このほか週1回、地区の女性に足踏みミシンを使って洋裁を教えた。勉強熱心な女性たちの願いで、午前9時から午後4時までの予定がいつも延長するほどで、バッグやブラウス、ツーピースなどいろいろな作品を仕上げた。(写真:洋裁を教える大作さん) 「よっちゃん」の愛称で呼ばれ、頼りにされるお母さん的存在になった大作さんは「言葉が分からなくとも心で通じます」と頼もしい。一時帰国の際、子どもたちや職員らは大きなケーキを用意してお別れ会をしてくれたという。「ボランティアは本当に楽しく、生きがいを感じています」と話す大作さん。派遣されたことに感謝しつつ9月14日には、もう1人の女性ボランティアとともに、子どもたちが待つフィリピンへと再度出発する。 食堂に集まった子どもたち 子どもたちがお別れ会に用意したケーキ |