親子の絆をつなぐ子守唄 [2007年04月04日(Wed)]
古くから全国各地に伝わる子守唄を後世に残そうと、日本子守唄協会(西舘好子代表)は失われつつある子守唄の保存に取り組んでいる。既に3,000曲以上の子守唄が確認され、その後もテープに録音された曲や歌詞が同協会に寄せられ、一つひとつ丁寧に記録されている。
同協会は子守唄を資料として保存するだけでなく、子守唄を情操教育の原点と位置付け、親から子へ、そして孫へ歌いつないでもらおうと啓発活動に取り組んでいる。 「親子の絆」をテーマにこのほど東京都内で開催されたコンサートでは、宗教学者の山折哲雄、女優の藤村志保両氏や西舘代表による座談が行われ、増加する少年犯罪と子守唄の関連性について意見が交わされた。山折氏は「悲哀の感情が排除されることで少年犯罪が多発する」と語り、藤村氏は明るさだけを求める現代文化の欠陥の表れと指摘した。 子守唄は、子をあやし、遊ばせ、寝かせるために歌われてきた。詩の中には、遠い昔の暮らしが映し出され、旋律には民俗の魂が込められている。哀愁を伝えることも子守唄の役割であり、「勉強では学ぶことのできない人作りの基本が秘められている」と西舘代表は話した。 子守唄は子を想う気持ちが唄として表現され、地域の生活、風土と融合して歌い継がれてきた。親は歌うことで、子育ての悩みや疲れた心を癒し、子の成長を見守ってきた。短調で静かに流れる旋律、詩に込められたメッセージを子や孫に残すため、同協会の歌いつなぐ活動は今後も続く。 「よみがえる子守歌」マップ(日本子守唄協会より) |