日本にも子どものホスピスを 大阪で発祥の地・英国の活動セミナー [2009年10月30日(金)]
![]() 台風接近の雨の夜、大阪市で開催されたセミナー 大阪・中之島の大阪市中央公会堂で10月7日、「子どものホスピス」について考える「ヘレン&ダグラスハウス交流セミナー」が開かれた。「ヘレンハウス」は1982年、英国オックスフォードに開設された世界初の子どものホスピス。会場には医師や看護師、学生ら医療関係者を中心に約700人が集い、来日した英国の創設者や医師の話を聴いた。会場に満ちていた思いは「日本にどうやったら《子どものホスピス》が創れるか」だった。 |
![]() ヘレンハウスの少女とシスター・フランシス(壇上も) ホスピスは、治癒が望めない患者のターミナルケアの場として日本社会にも定着しつつある。ただ日本にはまだない「子どものホスピス」は、英国やカナダ、オーストラリア、ドイツ、アメリカなどで「大人のホスピス」とはいささか異なった活動が行われている。対象は神経筋疾患、先天異常症候群、小児がんなど「生命を脅かす病態」の子どもとその家族で、介護にあたる家族を支えることも重要な役割りなのだ。 ヘレン&ダグラスハウスでは、子どもたちに家庭的な調度をそろえた広い個室が用意され、小児に関するさまざまな専門職員がマンツーマンで対応する。きれいな庭やプール、遊具室で、他の子どもたちと一緒に過ごすことができる。家族には設備の整った部屋が用意され食事も提供されるが、家族は滞在してもしなくてもいい。利用できるレスパイトケアは年間2〜3週間程度だが、公的保健や地域からの寄付金などによって家族の経済的負担はない。 セミナーではこうした様子がスライドで紹介され、創設者のシスター・フランシス・ドミニカ女史が「治癒する見込みがないと告げられた2歳のヘレンを連れ帰った両親が、介護に疲労困憊している様子を見て、時々私が預かりましょうと提案した。それが始まりでした」と、子どものホスピスがレスパイトケア(介護者の休息のための預かり)から始まった経緯を語った。 ![]() 医療関係者が多く、行政関係者は少なかったセミナー参加者 ヘレンハウス(0歳から18歳までが対象)とダグラスハウス(16歳から35歳まで)に勤務するウイリアム・ソートン医師は「ハウスでの医療行為は治療に留まらず、人生の質を高め、深く生きる手伝いをすることにある」と、病院での診察・治療とは異なる役割りであることを説明した。この点について英国への留学経験のある大阪市立総合医療センターの多田羅竜平・緩和医療科兼小児内科医長は、英国では小児緩和ケアが専門分野として確立していると、その医療事情を解説した。 ![]() 日本にも設立を、と願ってパネルディスカッション 講演に続いて関係者によるパネルディスカッションが行われ、「英国にはすでに41カ所もある子どものホスピスが、日本にはなぜないのか」「1施設で年間3〜5億円程度が必要となる資金は、日本ではどうしたら確保できるか」「ホスピスは《終末医療》の響きが強い。他の名称を考えた方が良くないか」などといった意見が交わされた。 ![]() オープニングは地元の男性合唱(クレセントハーモニー)で 会場を埋めた参加者は、日本のホスピスプログラム発祥の地である大阪で、子どものホスピスを実現したいとの思いを強めたようで、英国における緩和ケアの機微を熱心に聴いていた。このセミナーは、セミナー実行委員会と財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が主催し、プロジェクトパートナーとして日本財団「夢の貯金箱」が加わった。「夢の貯金箱」は「夢の自動販売機」の設置などを通じ、寄せられた寄付金の全額を社会貢献活動に活用している。【加藤春樹】 |











