マ・シ海峡の安全航行に資金拠出 マレーシアで調印式 [2009年07月21日(Tue)]
動画:マラッカ海峡基金調印式(1:30秒) 年間延べ9万4,000隻の船舶が通航する世界で最も通航量の多い海峡の一つのマラッカ・シンガポール海峡(マ・シ海峡)。その安全航行を目指して2008年4月に設置された航行援助施設基金に日本財団が初年度の2009年、250万USドル(約2億5千万円)の資金を拠出するための覚書調印式が7月7日、マレーシア・クアラルンプールのマンダリンオリエンタルホテルで行われた。式典には笹川陽平日本財団会長のほか沿岸3カ国(マレーシア、インドネシア、シンガポール)の運輸、海事関係者らが出席した。 |
マ・シ海峡航行援助施設基金は、沿岸3カ国がこれまで負担してきたブイや浮標などの航行援助施設の維持・更新を行うのが目的で、海峡を利用する海運業界から自発的な資金拠出を求める。日本財団はこのうち09年度は250万USドルを拠出、来年度以降4年間についても費用総額の3分の1相当を支援する。(写真:マラッカ海峡の浮標)
調印式典で笹川会長は日本財団の資金拠出をあらためて表明。さらに「海峡利用者が企業の社会的責任(CSR)の見地から国際的な役割を果たすべきだ」と述べ、海運業界などの自発的な資金負担を呼び掛けた。一方、マレーシアのキート運輸大臣は「日本財団の資金拠出はマ・シ海峡の航行安全と海洋環境の保全に大きく貢献する。これを機に他の利害関係者が基金運営に協力するよう、努力をしたい」と語った。この後、関係者が覚書に署名した。 笹川会長(写真左)とキート運輸大臣 国際海運需要の増加でマ・シ海峡を航行する船舶も増加傾向にあり大規模な海難事故発生のリクスが高くなっている。しかも航路標識の整備、維持管理、設標船(航路標識を設置する作業船)の代替建造などに要する費用も継続的に増え、沿岸国にとっては大きな負担となっていた。航行援助施設基金には現在、日本財団のほか中東航行援助サービス、日本船主協会などが資金を拠出しているが、さらに世界の海運団体をはじめ、多くの海峡利用者の基金への協力が必要だ。(杉浦清治) 覚書の交換 |