初の伝統医療専門学校 カンボジア、近く開校 [2009年05月01日(Fri)]
完成した伝統医療専門学校校舎 カンボジア初の伝統医療専門学校がほぼ完成、近く開校することになり、4月20日、プノンペンの保健省で記念式典が行われた。カンボジアではクル・クメール(伝統医療従事者)と呼ばれる人々が先祖代々、地域に伝わる医療の知識や技術を継承してきており、式典のスピーチで伝統医療局のプンレイ局長は「アンコール時代から続くカンボジア伝統医療を今こそ有効に活用する時」と専門学校の今後に期待を寄せた。 |
開校する伝統医療専門学校は保健省の敷地内に建設され、校舎は3階建て。当面、10年以上の経験を有するクル・クメールを対象に半年間、薬理学、解剖学などの講義、マッサージ、鍼灸の実習など計450時間の授業を行う。既に第一期生として、応募を寄せた57人のうち47人の入学が決まっており、近く授業が始まる。(写真:式典に集まった関係者)
開校式には保健省関係者、教授陣、入学予定者ら約100人が出席。事業を支援する日本財団の尾形武寿理事長は「伝統医療は長い歴史の中で蓄積された貴重な財産」としたうえ「専門学校が優秀なクル・クメールを豊富に養成し、薬や医療へのアクセスが地理的、経済的に困難な人々の助けとなるよう期待する」と述べた。(写真:関係者と懇談する尾形理事長) 入学者の大半はプノンペン市内で伝統医薬品を扱うクル・クメール。古くから伝統医療継承の一端を担ってきた僧侶も5人、含まれており、このうちの一人は「正しい情報を後世に伝えるのがわれわれの重要な役割。本学校で知識と技術を再確認し、今まで以上に住民の役に立つよう努力したい」と話した。(写真:勢ぞろいした入学予定者) カンボジア政府は今後、国内調査を進め伝統医療に関するデータを整備、将来は専門学校を4年制大学に拡充したい、としており、日本財団は研修カリキュラムや資料の作成、ワークショップ、セミナー、アウトリーチ・プログラムの展開などをサポートする。 日本財団は各国が持つ伝統医療資源の活用に向け既にモンゴル、タイ、ミャンマーで伝統医薬品を中心にした置き薬の配布事業などを広く支援している。(中嶋竜生) *動画はコチラ(1:31秒) |