グアムキャンプを楽しむ 難病・障害を持つ子どもと家族たち [2008年12月19日(Fri)]
グアムキャンプに参加した60人のメンバー 難病や脳性マヒなどで重い障害を持つ子どもと家族、ボランティアによる海外キャンプ「グッドイナフinグアム」が11月14日(金)〜17日(月)の4日間、日本財団の支援で開催された。車いす生活を余儀なくされた子どもらに体験の場を与え、母親のレスパイトケア(一時的な開放)やきょうだいのメンタルケアなどを狙いに2004年から国内でキャンプを実施しており、5年目となることしは初めて海外キャンプに挑戦した。参加者は、東京や徳島、神奈川、埼玉などの12家族(障害者の年齢は7歳−21歳)とボランティアら総勢60人にのぼった。 |
「グッドイナフ」(弓田真江代表)(Good enough)は「ほどほどに」という英語が由来で、責任感から緊張した生活を送る母親ら患者の家族が自然体の生き方ができるようサポートすることを目的に、患者家族が中心になり2003年に発足した。参加者が主役となり互いに支えあいながら企画運営をしているのが特徴だ。今回は海外旅行のため本人が都道府県庁へ出向き、パスポートの申請手続きをした。おむつの圧縮の仕方、ミキサー食の機内持ち込みなど参加者からの様々な質問には旅行会社や医師らが対応し、疑問や不安を解消した。(写真右:車椅子から機内移動用のイスへ)
成田空港はユニバーサルベッドが設置される車椅子トイレが少なく、やむを得ず授乳室や救護室でおむつを交換した。大きな車椅子に乗っている子どもには飛行機に乗り込むのも容易ではない。車椅子から機内移動用のイスに乗り換えて座席を目指し、座席ではクッションやベルトを利用して体を固定する。筋緊張のため手足が突っ張り、体が反ってしまう子供はベルトの固定も5分と持たない。飛行中は横になり両側から抱えられた子どもいた。(写真左:リフトでバスに乗り込む) 深夜1時グアムに到着し、翌朝からキャンプが始まった。ほぼ天候にも恵まれ、青く澄んだ海で泳いだり、カヌーに乗ったり、流水プールで遊んだり、バーベキューをしたりと、それぞれの家族が自由にプランを決めて楽しい時間を過ごした。浮き輪を使ってプールに体を浮かべて気持ちよさそうにする姿が目についた。そして、みんなが笑顔だ。夜のポリネシアンショーでは、舞台に上がってダンサーと一緒にダンスをするなど、会場全体が一つになった。(写真右:プールで遊ぶ参加者たち) 期間中の移動はリフト付バスを利用し、各家族にはボランティア1人が付き添い、遊びや入浴などを手伝った。ふだんは子どもの世話で多忙な親も、グアムでは束の間ながら自分の時間を過ごせたようだ。徳島から障害児を含め3人の子どもと一緒に参加した母親は「帰った後も子どもたちはみな元気で外に行きたいと言っている。参加して本当によかった」と報告を寄せ、付き添いの医師も「だれにも教えてもらえないグッドイナフについて心と体で実感できた」とキャンプの意義を振り返った。(写真左:入浴後の水分補給。スプーンでとろみのついたお茶を飲む。)(鈴木亜美・川部育子) |