漁船の機動力で油濁防止 網走港で開発装置を実験 [2008年08月04日(月)]
![]() 網走港で作動試験をする、ドラム缶による簡易バケット装置 タンカーの座礁や沈没事故などにより大量の原油が海上に流出すると、広範囲にわたって深刻な漁業被害をもたらす。そうした場合の被害漁業者に対する救済事業にあたっている財団法人・漁場油濁被害救済基金は、事故発生時の被害拡大を阻止しようと、漁船による迅速で効率的な流出油回収技術の開発を進めている。7月17日には北海道網走市の網走漁港で、これまでの研究で考案された試作機による作動試験を実施した。 大規模な油流出事故は、1997年1月に島根県から秋田県に及ぶ日本海沿岸に甚大な被害をもたらしたロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」事故など、世界各地の海域で起こっているが、新たな油田開発などによりその危険性はますます増大している。このため同基金は、ロシア・サハリン油田の開発に伴い大型タンカーの通行量増加が見込まれるオホーツク海から日本海沿岸をモデル地区に想定、流出油の回収方法の研究に取り組んできた。(写真:シー・アンカーを改造して油をすくい揚げる) 目標は、いかに効率よく油をすくい取る装置を実用化できるかだが、前提としているのは@海域で操業中の沿岸漁船に取り付け可能な仕組みで、漁港近辺の工場などで簡便に製造できる装置であることA回収した油を漁船内に安全に収納できる方式を伴うこと――という点だ。つまり漁船の機動力を生かして油濁の拡散を防ぎ、従来の「人力ひしゃく」による汲み取りを大幅に効率化させようという狙いだ。(写真:魚網開閉型は閉じて沈み、海中で開く) 今回、作動試験が行われたのは、製帆網具やクレーンなどのメーカー3社の試作品を含む4方式。@2分割したドラム缶をクレーンに固定して油をつかみ取る「簡易バケット方式」A漁船に備え付けのシー・アンカーを改良した「パラシュート方式」B漁網と不織布で油をすくい取る「漁網開閉型装置」Cポリエチレンの板で汲み取る「浮き板方式」だ。(写真:ポリエチレン板で海面に浮いた油をすくい取る) 網走港に接岸した漁船2隻で、乗組員がそれぞれの試験装置を実際に操作、装置を海中に投入して操作性や汲み取り効率、漁船内タンクへの油の回収効果などを実験した。いずれも「ひしゃく」の100倍程度の効率をあげる可能性が確認された。検討委員会の稲田博史委員長(東京海洋大学准教授)は「なお改良が必要だが、いずれも目的にかなった装置となる手応えを感じた」と語っている。(写真:行政や各団体も出席した検討委員会。右が稲田座長(網走漁協会議室))各装置は今回の作動試験をもとに改良を加え、今秋には造船所のドックを使って実際に重油を汲み取る実験を行う。この事業は日本財団の助成を受け、開発を始めて今年で2年目。同基金は今年度中に製作方法と使用方式を確立して実用化のめどを付け、ゆくゆくは全国の沿岸漁船で活用できるよう普及させていく考えだ。 *動画はコチラ(1:24秒) |










大規模な油流出事故は、1997年1月に島根県から秋田県に及ぶ日本海沿岸に甚大な被害をもたらしたロシア船籍のタンカー「ナホトカ号」事故など、世界各地の海域で起こっているが、新たな油田開発などによりその危険性はますます増大している。このため同基金は、ロシア・サハリン油田の開発に伴い大型タンカーの通行量増加が見込まれるオホーツク海から日本海沿岸をモデル地区に想定、
目標は、いかに効率よく油をすくい取る装置を実用化できるかだが、前提としているのは@海域で操業中の沿岸漁船に取り付け可能な仕組みで、漁港近辺の工場などで簡便に製造できる装置であることA回収した油を漁船内に安全に収納できる方式を伴うこと――という点だ。つまり漁船の機動力を生かして油濁の拡散を防ぎ、従来の「人力ひしゃく」による汲み取りを大幅に効率化させようという狙いだ。(写真:魚網開閉型は閉じて沈み、海中で開く)
今回、作動試験が行われたのは、製帆網具やクレーンなどのメーカー3社の試作品を含む4方式。@2分割したドラム缶をクレーンに固定して油をつかみ取る「簡易バケット方式」A漁船に備え付けのシー・アンカーを改良した「パラシュート方式」B漁網と不織布で油をすくい取る「漁網開閉型装置」Cポリエチレンの板で汲み取る「浮き板方式」だ。(写真:ポリエチレン板で海面に浮いた油をすくい取る)
網走港に接岸した漁船2隻で、乗組員がそれぞれの試験装置を実際に操作、装置を海中に投入して操作性や汲み取り効率、漁船内タンクへの油の回収効果などを実験した。いずれも「ひしゃく」の100倍程度の効率をあげる可能性が確認された。検討委員会の稲田博史委員長(東京海洋大学准教授)は「なお改良が必要だが、いずれも目的にかなった装置となる手応えを感じた」と語っている。(写真:行政や各団体も出席した検討委員会。右が稲田座長(網走漁協会議室))