聴覚障害者が参加した手話辞書 アジア6カ国で初の試み [2008年04月02日(水)]
![]() 香港中文大学で研修中のインドネシアとスリランカからの聴覚障害者 アジア地域で手話を言語として広く普及させ、聴覚障害者の社会参画がより可能になることを目的に、日本財団は2002年から4カ国(香港、フィリピン、カンボジア、ベトナム)で手話辞書作成を進めてきた。これまでにこの4カ国で手話辞書と教科書の一部が出版され、2009年までには各国で手話の辞書と教材が一通り完成する見込みだ。2007年10月からは第2フェーズとしてスリランカとインドネシアが新たにこのプロジェクトに加わり、現在はアジアの6カ国の手話辞書作成が進められている。 日本財団は今年2月23日にカンボジアでこの手話辞書作成について、日本を含むアジアのメディアに初めて公表し、3月6日には事業の本部がある香港中文大学でこの事業の第2フェーズスタートを祝う記念式典を行った。式典では、第1フェーズで実施した4カ国がそれぞれ6年間に及ぶ事業の成果を発表し、さらにスリランカとインドネシアの研究者も活動状況を報告した。(写真:式典で手話通訳する左からベトナム、カンボジア、インドネシアの通訳者たち)この取り組みが従来の手話辞書作成と大きく異なる点は、辞書作成に聴覚障害者(当事者)が参加していることだ。各国で聴覚障害者と言語学者からなる共同作業チームがつくられ、世界的な言語学者ジェームス・ウッドワード博士(米国人)が監修に当たっている。選ばれた聴覚障害者はまず手話言語学を受講し、言語に対する知識と理解を深めてから辞書作りに取り掛かる。辞書に取り入れる手話は地域の聴覚障害者に聞き取り調査したものを分析して編集しているため、その地域の聴覚障害者コミュニティーが使用する手話が忠実に反映されている。 辞書には音声単語ごとに同じ意味の手話がイラスト形式で添えられ、音声言語から手話、手話から音声言語と双方に言葉を引くことができる。また聴者への手話教育に役立てるために手話辞書に付随する手話教材も同時に作成し、セットで配布している。 ベトナムの手話辞書作成チームを代表して式典で発表したヴァン・ホさんは「ベトナム手話を習いたいという聴者が年々増えているので、この手話辞書と教科書はとても役立っています」と述べ、実用的な手話辞書は早くも聴者と聴覚障害者とのコミュニケーションと交流に役立てられていることがうかがわれた。(写真:式典の会場光景)2006年12月に国連総会で 「手話は言語である」と定義した[障害者権利条約]が採択されて間もなく1年半になる。しかし、アジアで手話を言語として認識している国は圧倒的に少ないのが現状だ。日本財団は今後、徐々に本事業を拡大して行く方針で、将来はアジア全体で手話が言語として認識され、聴覚障害者の社会参加が増えていくことを期待している。(H) |








日本財団は今年2月23日に
ベトナムの手話辞書作成チームを代表して式典で発表したヴァン・ホさんは「ベトナム手話を習いたいという聴者が年々増えているので、この手話辞書と教科書はとても役立っています」と述べ、実用的な手話辞書は早くも聴者と聴覚障害者とのコミュニケーションと交流に役立てられていることがうかがわれた。(写真:式典の会場光景)