ニコライの日記献呈式 [2007年09月12日(Wed)]
宣教師ニコライの全日記 全9巻 東京・神田のニコライ堂で知られるロシア正教会大主教ニコライ(1836〜1912)の日記の日本語訳版「宣教師ニコライの全日記」がこの夏、出版され、9月9日、ニコライ堂で献呈式が行われた。ロシア語版は既に2004年にモスクワでロシア正教会総主教に贈られており、1979年、中村健之助・大妻女子大教授によってサンクトペテルブルグの中央国立歴史古文書館で日記が発見されて以来、4半世紀以上続いた翻訳事業は一段落することになる。(写真:東京復活大聖堂(ニコライ堂)) 献呈式は復活大聖堂で日曜の「聖体礼儀」を終えた約200人の信者を前に行われ、翻訳事業を支援してきた日本財団の笹川陽平会長からダニイル府主教に、中村教授からミハイル・ロシア大使にそれぞれ手渡され、ダニイル府主教は「ニコライ大主教の日本での活動を日露両国で広く知ってもらい、両国の友好を進める上でも大きな意味がある」と事業の意義を強調するとともに支援に当たった日本財団に謝辞を述べた。(写真:左からダニイル府主教、笹川会長、中村教授) また笹川会長は全体的な監修に当たった中村教授の努力をたたえるとともに「ニコライの日記が日本とロシアの文化交流につながれば望外の喜び」とあいさつ。ミハイル大使は献呈を受けた後、「ロシアについても同様に外国人が記した紀行文などがあり、自国民と違った視点が大変参考になっている。同じ意味でニコライの日記は日本人にとっても貴重な研究資料になると思う」と感想を語った。(写真:笹川会長と話すロシア大使(一番右)) ニコライは江戸末期の1861年に来日。1912年、東京で永眠するまで約50年間、ロシア語で日記を付け、当初の9年分は函館の火災で焼失、その後の日記も関東大震災(1923年)で同様に焼失したと見られていたが、中村教授の調査で約40年分が保存されていることが突き止められ、04年にロシア語版全5巻が現地のギペリオン社から出版された。 (詳しくはこちら) |