ベルギー・知的障害者の作品展 廃校利用した栃木の美術館 [2007年07月27日(Fri)]
廃校を利用したもうひとつの美術館 栃木県の那珂川町の山あいに、廃校を利用したユニークな美術館がある。NPO「もうひとつの美術館」(梶原紀子代表理事)だ。ハンディキャップを持つ人の作品を中心に、内外のさまざまな作品を展示し、間もなく開館して6年。現在は日本財団の支援でサマーフォーラム「大地の歌を描く人々」と題したベルギーの知的障害を抱える画家の美術展が開かれている。木造の校舎を利用した美術館はほかには北海道・音威子府村にあるが、全国的にも少なく、訪れた人は一種のノスタルジアを感じながら作品に親しむことができる。 もともと建築家である梶原さんは、夫とともに東京の設計事務所に勤務していた。その後生まれた次男が自閉症と判明し、田舎で暮らしを決断し、那珂川町(旧馬頭町)に住居を構えた。ちょうど知的障害を持つ人たちの作品に触れる機会があり、こうした人々の作品を展示する美術館をつくろうと考えた。たまたま那珂川町の里山の一角にあり、明治時代に建てられ築100年以上の平屋建ての小口小が廃校になった。この校舎(7教室)を町から無償で借りることができ、2001年8月に「もうひとつの美術館」がオープンした。(写真:美術館入り口に立つ梶原さん) 春、夏、秋と年3回企画展を行っているほかに、知的障害者に関係する講演、映画、ワークショップも開催しており「大地の歌を描く人々」はベルギーのNPO「クレアム」(創造的活動と知的障害の意)に属する10人の画家たちの作品64点を4つの教室に展示している。コラージュ(新聞記事を重ねたもの)やポスターの裏にアクリル絵具、色鉛筆で描いたものなど、作品からは画家たちの鋭い感性と息使いが伝わってくる。10人のうち5人(ほかにスタッフが3人)は8月に来日し、美術館で8月18(土)、19(日)の両日のイベントに参加する予定だ。 梶原さんは「ベルギーのクレアムの活動は理想的だ。日本ではアートといえば堅苦しい感じがするが、あちらでは身近な生活の中に入り込んでいる」と話しており、夏休みを利用して多くの子どもたちが来館することを期待している。この作品展は9月24日まで。(写真:展示されたクレアムの作品と梶原さん) もうひとつの美術館は、栃木県那須郡那珂川町小口1181-2 電話0287-92-8088 (詳細はコチラ) |