難病の子どもたちのキャンプ場 北海道・滝川の高原で宿泊棟完成式典 [2012年05月31日(Thu)]
完成した星のコテージ(真ん中の建物) 小児がんや心臓病などの難病と闘っている子どもたちと家族のための日本初の医療ケア付きキャンプ場「そらぷちキッズキャンプ」(北海道滝川市丸加高原)の建設が進んでいる。このうち宿泊棟の一つである「星のコテージ」の完成を祝う式典が5月27日、現地で開催され、建設を支援した日本財団やキャンプの運営に当たる公益財団法人そらぷちキッズキャンプの関係者らが出席、テープカットをして施設の完成を祝った。 |
テープカットをする関係者(右から細谷代表理事、尾形日本財団理事長、前田滝川市長) このキャンプ場は、米国の俳優、ポールニューマン(2008年に83歳で死去)がコネチカット州に開設した難病の子どもたちのためのキャンプ場をモデルにしたもので、滝川市から無償譲渡された16ヘクタールの草原と森の中に2007年から事務棟、医療棟、食堂・浴室棟、宿泊棟2棟(1棟の建設を日本財団が支援)、車いすでの利用できるツリーハウスの建設を進めていた。宿泊棟の一つ「星のコテージ」は、木造平屋建てで、延床面積は約230平米。宿泊用6部屋とリビング、浴室、トイレがあり、36人の宿泊ができる。 子どもたちが泊まる人部屋には2段ベッドが 完成式典ではキッズキャンプ代表理事で聖路加国際病院副院長の細谷亮太医師が「自然の中で生活したら、子どもたちも少しは元気になるだろう。子どものホスピス運動が起きているが、その先駆けがそらぷちキャンプだ。日本人としてほっとけない人たちに手を差し伸ばそうとい共感を大事にするシンボルとしての役割を果たしたい」と、キャンプ運営への思いを話した。続いて日本財団の尾形武寿理事長が「束の間でも子どもたちや家族にやすらぎを与えることは素晴らしい事業だ。所期の目的を達成するよう、ご尽力をお願いしたい」とあいさつ。同キャンプの評議員でもある前田康吉滝川市長は「市民一丸となって施設を応援したい。滝川をこの施設にふさわしい街にしたい」と語った。 式典は青空の下で開催された 同キャンプ場は、8月から子どもたちや家族を受け入れる予定。子どもだけの参加の「キッズキャンプ」は夏、冬を中心に6歳―18歳までの子どもで1回(3泊4日程度)最大30人、家族単位で参加する「ファミリーキャンプ」は1年を通じて主に週末などを利用して1回(1泊2日程度)最大10家族を受け入れ、年齢の制限はない。本格開園後には「レスパイトキャンプ」として、地元の子どもを対象にデイケア、ショートステイサービスも実施する予定だ。 キャンプ場から見た滝川の街と暑寒別連峰 2004年からは市内でプレキャンプが行われ、400人を超える子どもたちが参加している。滝川市を見下ろす側の宿泊棟の窓からは、市の後方にそびえる暑寒別連峰を見ることができ、眺望は抜群だ。細谷さんは「宿泊棟の窓越しから見た景色の方が外から見るよりもきれいだ」と印象を話し、子どもたちがやってくる日を待ち望んでいる様子だった。(石井克則) |