救助犬はいかに活動したか 東日本大震災出動の写真展 [2012年01月18日(Wed)]
大震災の現場を再現した写真展会場 2011年3月の東日本大震災の現場に出動した「災害救助犬」の写真展「いのちをみつける犬」とトークショーが2011年12月25日から28日までの4日間、東京・銀座のギャラリーで開催された。日本財団が活動を支援しているNPO救助犬訓練士協会(RDTA、村瀬英博理事長)が主催、42枚の写真で凄惨な現場で活動する救助犬の姿を紹介し、災害発生後、早期に救助犬を投入して生存者の捜索をする必要性を訴えた。 |
生存者を捜す大島さんとあかね号 同協会は、大震災当日警察庁からの救助犬の出動要請を受け、村瀬さんら8人と救助犬6頭が翌12日海上自衛隊の大型ヘリで神奈川県厚木基地から仙台市の陸上自衛隊霞目駐屯地に向かった。宮城県警の警察学校を拠点に2つのチームに分かれて13日と14日の両日、津波で大きな被害を受けた名取市閖上地区と山元町・亘理町荒浜地区で捜索活動を実施した。がれきの中から生存者を発見することはできなかったが、脳神経外科医で協会理事の玉川輝明さんのチームが荒浜地区の住宅2階で助けを待っていた老夫婦を発見、自衛隊とともに救助した。写真展は出動した協会関係者が撮影した写真をパネルにして展示、現場で活動する人と犬の姿を再現した。 当時の状況を話す大島さん/RDTAの村瀬英博理事長 写真展と並行して、現場に出動した玉川さん、山田道雄さん、大島かおりさんが交代でトークショーを行い、震災の現場への出動から捜索活動などについての状況を語った。このうちゴールデンレトリーバーのあかね号と現場に入った大島さんは「津波の被害を受けた現場を見て、生きている人を捜すのは難しいと思った」と当時を振り返った。老夫婦を発見した14日、福島原発が爆発したという情報が入り、「私の人生は終わった」と思ったという。現場では警察と消防、自衛隊が捜索活動をしていたが、指揮系統が一本化されていないため、同じ場所を何度も捜索するケースもあり、大島さんは「互いに横の連絡を取り合い、捜索の質を高める必要があると感じた」と指摘した。 熱心に写真を見る女性たち 大震災の被災地には、海外から50頭の救助犬がやってきたが、国内からは約40頭しか出動しなかったという。トークショーに同席した村瀬理事長は「3日だけで犬は疲労困憊になった。もっと多くの犬を現場に出すためにも、緊急時には民間の救助犬を活用するシステムを構築しておくべきだ」と強調していた。(石井克則) |