「どんな状況でも、人とつながって」 自閉症啓発イベント開催 [2011年12月08日(Thu)]
自閉症理解の大切さを語るオノ・ヨーコさん 「日米自閉症スペクトラム研究会議」と関連の啓発イベント「Get in touch!」が12月1日から3日間、東京・赤坂の日本財団ビルで開催された。同実行委員会と日本財団の共催による国際会議で、期間中、日米の専門家が自閉症の最新研究を発表したほか、啓発イベントでは絵画や音楽などを通して自閉症に対する理解を広く呼び掛け、最終日には国連が定める「世界自閉症啓発デー」の啓発大使であるオノ・ヨーコさんも駆け付けた。 |
会場のガラスに絵を描く子どもたち 近年、自閉症の研究は劇的な進歩を遂げており最新の知見について研究者たちが情報を共有する必要性が高まっている。半面、自閉症の正しい知識の啓蒙・啓発はまだ途上にあり、自閉症の人たちが社会的に不自由な生活を強いられるケースも少なくない。こうした現状を受け運営委員会の氏田照子さんは「障害があってもなくても、互いに理解し、寄り添い、生きていける社会を作りたい」と啓発イベントの狙いを語った。 サルサガムテープの演奏も イベントでは絵本作家のスギヤマカナヨさんが子どもたちと会場の壁ガラスに絵を描く「大ラクガキ」や、表情や身振りによるコミュニケーションが低下するアスペルガー症候群をテーマにした映画『音符と昆布』の上映、知的障害者が多数参加するバンド「サルサガムテープ」の演奏会など、さまざまな催しが行われた。障害の有無にとらわれず自由な発想で創作される芸術「アール・ブリュット」の展覧会も開催され、日本財団が保管・所蔵する著名な作品も展示された。 「Let it be」の前で取材を受ける東ちづるさん このほか岩手県出身の造形作家・小林覚さんによる「Let it be」の展示も。作品は東日本大震災の大津波をかぶり泥にまみれたが、汚れを落とし額装も一新された。「Get in touch!」企画者の一人である女優の東ちづるさんは作品を前に被災地の窮状を語り「どんな状況でも人とつながって生きて行くメッセージを伝えたい」と語った。作品の一部は販売され、売上は被災地の障害者施設に寄付される。 来場者と記念撮影するオノ・ヨーコさん(前列左から3人目) オノ・ヨーコさんは3日に会場に姿を見せ「社会が自閉症の方たちに対する尊敬の念をもう一度確認するとき。ひとりで見る夢は夢でしかないけど、みんなで見る夢は現実になる。一緒に頑張りましょう」と語り掛けた。(菊地佐知子) |