被災した福祉施設の再興は、商品の販売力アップから〜大阪、兵庫のNPOらが支援の手 [2011年08月10日(Wed)]
![]() 7月22〜24日、大阪の百貨店で開かれた東北の施設の商品販売会 東日本大震災から約5カ月。依然がれきとの戦いが続く一方で、被災地の産業復興が急がれている。福祉施設も同様。建物はなんとか復旧し、仕事が再開できても、生活必需品を除くと買い手は少なく、全体的に売上は低迷。また仕上げ作業ができず“半製品”状態のまま放置されている品物もある。こうした東北地方の福祉施設の現状に「長期的な立場に立って手助けしたい」と、日本財団の支援を受けてサポートする動きが全国的に広がっている。大阪市と兵庫県三田市の2つの団体のケースを追った。 |
![]() 被災地の現状を見て歩く鵜木さん 大阪市浪速区のNPO法人トゥギャザー(中條桂理事長)は設立して10年、障害者の自立と社会参加の支援に取り組み、全国の300近い福祉作業所の製品販売などに携わっている。今回の震災では、東北の障害者の被害状況があまり伝わってこないため、7月初め現地を訪ね、岩手、宮城、福島3県の13施設を視察。その結果、販路拡張の必要性を感じ、デパートや盆踊り会場での販売会、ネット通販、さらに企業にも協力要請、と奮闘。7月22日からの3日間、大阪・阿倍野の近鉄デパートで開いた販売会では20施設115種類の商品(平均単価300円)を並べ計33万円を売り上げた。販売を中心としたイベントは、この2カ月間で5回を数える。 ![]() 視察した施設では、ともに頑張ろうと気勢を上げる一幕も 各地の作業所を相手に14年のバイヤー歴を持つ鵜木里美さん(セルプショップぶなの森チーフ)は、脳性まひのハンデを抱えながらも視察団に同行した。同じハンデを持つトゥギャザー・スタッフの橋本剛さんも一緒だった。600余人の死者を数えた宮城県山元町では、施設にイチゴジャムの原料を安く提供してくれる畑が津波で全滅したが、「もう一度瓶詰めを作りたい」との作業員のあふれる思いを聞いた。同県柴田町では「一日も早く施設を再開し、仕事の質・量・賃金保証することが精神的ケアにつながる」と話す施設長の言葉が、仕事を生きがいとする鵜木さんらの胸に響いた。 ![]() トゥギャザーの人たち。左端が中條理事長、中央が上月専務理事 「1個でも多く売って、給料アップで元気につなげたい。そのためには、東北だから…の甘えではなく、東北から良い商品を出そうという心意気が大事。岩手県久慈市の施設では、せんべいに割れない工夫を、の注文をつけさせてもらった」と鵜木さん。橋本さんは「東北のダメージを全国で支えたい」と話した。上月正洋専務理事は「薬事法や食品衛生法などの知識がないまま製品にしている施設もあった。震災前に戻すのではなく、通常の商取引のできる内容にもっていきたい」と将来の展望を熱く語り、中條理事長も「ネット、バザー、頒布会、これに企業のCSR活動を活用して職域でも販売させてもらえるよう、販路を拡張していきたい」と話した。 ◇ ◇ ◇ 兵庫県三田市の「三田を知る会」(堺末廣代表)は5月初めから、交流のある福島市と郡山市の福祉施設3か所と連絡を取り、ハンドバッグや帽子、コースターなど施設で作る手芸品を預かり、神戸市や宝塚市などで販売する支援を続けている。同じ三田市内の「NPO交通事故サポートプログラム兵庫」代表理事の藤岡知香さんとの2人3脚で、大型スーパーや駅などの公共スペースの一角を借りての販売。その活動をさらにパワーアップするため今、施設内に“半製品”のまま眠っている品物を製品に仕上げるプランを進めている。 ![]() はた織り機に期待を寄せる堺さん/帽子などの施設商品を前に藤岡さん 堺さんは16年前の阪神大震災の際、福祉作業所の知人から「建物が壊れ、手をつけられない状態だったので、授産品がホコリをかぶったまま。1年ほどして整理できた時には劣化していて捨てるしかなかった」と聞かされた。今回の震災でも、作業所がダメージを受け、仕上げ作業が残っている施設があり、半製品を製品に仕立てるサポートに乗り出すことを決めた。スタッフ10人を抱える手織り工房「祐」を運営しており、3施設だけでなく、広く利用を呼びかける。 |












