凄惨な現場に救助犬も出動 宮城では老夫婦を救助 [2011年04月08日(Fri)]
出動した災害救助犬 災害現場に出動して、生存者を捜す「災害救助犬」が東日本大震災の現場にも出動した。日本財団が活動を支援しているNPO救助犬訓練士協会からも村瀬英博理事長ら8人に率いられた6頭が宮城県に出動、懸命に救助に当たった。被災地は地震と津波で凄惨な状況のため、がれきの中から生存者は発見できなかったが、住宅の2階に取り残された80歳代の老夫婦を発見、救助した。 |
懸命に行方不明者を探す 同協会の山田道雄さんによると、震災当日の3月11日、神奈川県警を通じて警察庁から救助犬の出動要請があった。協会は海上自衛隊にヘリコプターへの便乗を申し入れ、翌12日午前、神奈川県の厚木から村瀬さん、山田さん、女性のハンドらー大島かおりさんを含む8人と、ジャーマンシェパード・エロス号など6頭が自衛隊の救助犬2頭とともにヘリで宮城県仙台市の霞の目駐屯地に入った。 協会のチームは名取市の名取川河口にある閖上地区と亘理町荒浜地区の2つのグループに分かれ、13日早朝から捜索を始めた。捜索は14日も続けられたが、双方のグループともがれきの中から生存者を発見することはできなかった。しかし14日の捜索では玉川輝明さんのチームが荒浜地区で住宅の2階にいて助けを求める老夫婦を発見し、自衛隊とともに泥と闘いながら2人を無事収容することができた。救助犬による生存者の捜索はこの日で打ち切られた。現場の状況からこれ以降、生存者の発見は困難と判断したためだ。 がれきが散乱する捜索現場 協会は以前にも地震で土石流が発生した現場にも出動したことがあるが、山田さんは「今回はそれ以上に大変な現場で、救助犬の運用は難しかった」と話している。救助犬は今回、韓国からも2頭が派遣された。このうち1頭のジャーマンシェパードが捜索で足を負傷、玉川さんが手当てをしたという。 捜索に参加した方々と救助犬 救助犬チームは、生存者の捜索が目的だ。しかし、協会のチームを含め他のチームも遺体を数多く目撃、今回の震災のすさまじさを実感したという。村瀬さんは今回の震災について「依然現地の状況は変わっていない。被災された方々、どこかで生存して救助を待っているかもしれない方、いまだ回収されていないご遺体、現状を思うと胸が痛みます。まだ捜索は続いているが、皆さんの思いと力を併せて乗り切って行きましょう」と報告している。 |