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舵の革命 1軸2舵の新システムで操船性能向上 [2007年04月24日(Tue)]


「VLベクツイン・ラダーシステム」


船舶、なかでもタンカーなどの大型肥大船の操縦性を飛躍的に高める、新たな舵システムが開発された。推進プロペラ1基に舵2枚で構成される「VLベクツイン・ラダーシステム」で、大阪市の船舶用舵・舵取り機器の設計製造専門メーカー「ジャパンハムワージ社」が、海洋政策研究財団の助成を受けて開発した。

「VLベクツイン・ラダーシステム」は、推進プロペラの両舷に2枚の舵を設置することと、その断面が魚尾の形状をしていることが特徴。2枚の高揚力舵の舵角度を組み合わせることにより、推進性能を落とすことなく回転半径を圧縮し、停止性能を高めると共に低速時の操縦性能を大幅に向上するなど、操縦性能を著しく向上できることが確認された。

この原理を取り入れた特殊高揚力舵は、海上保安庁や水産庁の船舶や民間の内航船にはすでに導入が進んでおり、今後はタンカーなど大型船への導入が期待されている。そのためにはこの新舵システムがエネルギー効率でも優位性がある証明が必要だとして、その実証研究も進められている。

海洋政策研究財団は新型舵による速力推進性能が正しく解析されれば、経済性においても普通舵を上回ることが実証できると見ており、大型船においても将来の世界標準となることを期待している。
船舶の性能は、船体や推進機関の改良で向上してきたものの、もう一つの重要な要素である「舵」の改善については、大きな変化はもたらされてこなかった。造船技術分野では実績が重視されるため、舵に関する新技術開発は積極的に取り組まれない傾向があったためだ。

しかし東京湾やマラッカ海峡など、船舶輻輳海域の通航過密化は激しさを増しており、航路の安全確保が喫緊の課題となっている。航行の安全は操縦性能の向上によって確保される面が大きいことから、特に大型肥大船の性能向上が強く求められるようになった。

大型船は「推進プロペラ1基+舵1枚」が従来からの基本構造であり、現在もそのスタイルが主流である。「1軸1舵」で操縦性能を高めるには、舵の大型化が必要となる。しかし舵面積を拡大することは、高揚力はアップするもののそれだけ重構造となり、推進性能向上にはマイナスとなる。

この二律背反に対処するため、舵の数を複数にするという考えは昔からあった。しかしその場合、船体の抵抗が増して推進力を削ぐ、というジレンマは克服できなかった。「VLベクツイン・ラダーシステム」は、舵断面を魚尾形に改良するなどして、2舵間に流れ込む旋回エネルギーを前進推力に有効利用することに成功、これらの懸案を解消した。

この結果、新システムは普通舵に比べ舵ブレードの面積を20%圧縮できるうえ、舵取機の容量も半分に小型化できた。そのうえ船の操縦性能(舵揚力)は20%アップすることが確認されたといい、旋回性能やジグザグ操縦性能にも優れた効果を発揮している。
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Posted by 日本財団 広報チーム at 10:15 | 海と船 | この記事のURL | コメント(0)
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