モンゴルの医師団が富山へ 伝統の置き薬制度を学ぶ [2007年04月18日(Wed)]
日本財団を訪れたモンゴルの医師団 日本伝統の「富山の置き薬制度」を学ぼうと、日本財団の招きでモンゴルの医師やNPO関係者が16日に来日、富山を訪れるなどして23日までの日程で研修を続けている。モンゴルは、ソ連の崩壊に伴う体制の急変と財政危機で医療サービスも低下したため、日本財団が2004年から富山の置き薬制度を応用した事業の普及支援に乗り出し、昨年初めてモンゴルの医師団を日本に招待した。医師団の来日研修は今回で2回目。 来日したのは、モンゴル国立中央病院伝統医療科のバダムジャワ・ボルドサイハン科長(57))、ヘンティ県ウムヌデルゲル郡病院のプレブ・ジャブザンラグチャー院長ら医師8人と、置き薬事業の普及を担当するモンゴルのNGO「ワンセンブルウ・モンゴリア」の関係者4人の計12人。一行は17日に日本財団の笹川陽平会長を表敬訪問した後、東京都内の北里研究所を見学した。18日富山に向かい、19日に富山市内の置き薬のメーカー・廣貫堂で日本の置き薬の手法について研修する。 廣貫堂は、旧富山藩の「反魂丹役所」(配置家庭薬の製造と販売業者を指導管理した役所)の廃止後の明治9年に創設された家庭置き薬メーカーの老舗。モンゴルの一行は、廣貫堂の担当者から品質管理のノウハウやお客に対するサービスの手法などの説明を受けて、モンゴルのサービスに応用する方針だ。この後、北日本新聞社で新聞印刷の現場を見学し、さらに富山大学薬学部の和漢医薬総合研究所も視察する。 モンゴルの置き薬は胃腸薬や解熱剤など12種類が入っており、日本のものとよく似ている。既に遊牧地域を中心に郡病院の医師たちが巡回、5つの県、約1万世帯に置き薬キットを配布している。薬の代金回収、補充も郡病院の医師たちが担当しているが、代金の回収率も高く、次第にこの制度が浸透しつつあるという。この事業は現在試験的な取り組みだが、西洋医学の補完的な役割を果たすものと期待され、将来はモンゴル全体に広げる構想だ。一行は23日夕、成田から帰国する。 |