自然な笑いが世界を救うのだ!〜米人道化師が施設訪問 [2010年08月23日(Mon)]
![]() クラウンの仕草の一つ一つに、笑いが付いて回った ショーも終わりに近づいた頃、小さな女の子が輪の中に入ってきた。「恐いから」と逃げていたのに、楽しそうな仲間の声に誘い込まれたのだ。道化師の飛ばすシャボン玉に手を伸ばし、一緒にダンスもした。別れの時には「嫌だ」と言って涙も見せた。訪問クラウニング…クラウン(道化師)が病院や施設を訪ね、笑いとユーモアの力で癒しと元気を与える。7月30日、千葉県習志野市実籾の社団法人「たからばこ」(児童デイサービス、緒方栄美代表理事)で行われたクラウニングに同行し、そのパワーの凄(すご)さに触れた。 |
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NPO法人シアタープランニングネットワークが、日本財団の支援を受けて、米国人のクラウンパフォーマー、モシェ・コーエンさん(54)を日本に招いて実施した。“クラウン”とは「クロット」…田舎者・のろまの意味で、この野暮なイメージが17世紀ごろに人気となって、これを真似た西洋の喜劇役者が“クラウン”と呼ばれるようになったという。お馴染みのピエロはクラウンの一部。コーエンさんは1995年「国境なき道化師団」の合衆国組織を設立し、被災地や紛争地を訪問する一方で、若いクラウンの育成にも携わっている。
![]() ショー後半は、一つの輪に溶け合った熱気 コーエンさんの持ち味は、ピエロのように顔を白く塗ったり、赤鼻をつけたりせず、人間の内面から湧き出てくる自然なユーモアだという。午後1時、ショーの始まり。6畳ほどの板の間が舞台、隣の8畳間が観客席。ひきこもりがちの子供ら約10人が熱く見つめる中、手品でコインや赤い玉が消える。次いでビニール袋の風船が飛び、助手役の若手がお手玉を披露…。すぐに2〜3人の児童がショーに割り込んできた。大きな声で自分勝手な歌を歌いだす。でも、次の場面ではそのメロディーがコーエンさんの口から出て、ショーのBGMになった。一段と高まる歓声と笑い声。その渦の中に“参加拒否”の女の子が加わってきたのは、ショーの終わる10分ほど前のこと。演技者と観客の垣根が自然となくなり、パフォーマンスの場は車座の輪の中で移り、最後は全員ダンスで盛り上がった。 ![]() 助手役の若手も、板についたパフォーマンス 別れ際に、子供らは「おじいちゃん、ありがとう」と声をそろえた。道化師がおじいちゃんに変わっていた。緒方代表は「普段、あまり声を出さない子供が口ずさんだ歌を、コーエンさんがうまく引き取ってくれて、とてもうれしかった。予想以上の盛り上がりでした」と話した。コーエンさんも「私にとってもスペシャルな時間でした。最初は引いていた女の子が最後の5分間でエネルギーが変わった。自ら関わろうとしてきた。笑い、楽しみがバリアを除くのです」と手応えを感じた様子だった。 ![]() 中山夏織さん シアタープランニングネットワークは、ドラマ教育や俳優トレーニングを通して演劇を社会の中でどう生かせるかを探るのが本業。企画を担当した中山夏織さんによると、ユーモアの意味、俳優の演技などの講義に加えて、今回を含む計5か所のクラウニング体験によって、自己と役柄の距離感をつかむ技量アップも視野に入れていたという。「どの施設でも大変喜んでいただき、クラウニングの持つパワーを実感しました。福祉の中で一番生かされるものだと思うが、演劇面ではどうか…これから分析します」と話した。(平尾隆夫) |











