よりそって〜子育て相談室の窓から【第5回】 [2012年02月06日(Mon)]
事務局 たなかです
山科醍醐こどものひろばは、「コッペパン」という機関誌を発行しています。山科醍醐こどものひろばの前身である「山科醍醐 親と子の劇場」が発足した1980年に創刊し、30年以上続いているものです。 この「コッペパン」には、内容の濃い記事がたくさんあるので、時々ブログでご紹介しています。 今回もコラム「よりそって」より、記事をひとつ転載します よ り そ っ て【第5回】 〜 子 育 て 相 談 室 の 窓 か ら 〜 【鈴鹿短期大学助教,臨床心理士:渋谷郁子】 <コッペパン 2011年6月掲載分> 4月から三重県の鈴鹿短期大学というところで働いている。 保育士や幼稚園教諭になりたい人たちを教える仕事である。 鈴鹿に通勤するため,京都で働く夫と中程の距離をとって,滋賀県は甲賀市に引っ越した。新しい職場に新しい住処と,取り巻く環境は大きく変わったが,なんとか持ちこたえて,2ヶ月が過ぎようとしている。 さて,短大のセンセーになった今,一番の悩みは授業中の私語である。 自分の学生時代を振り返っても,授業中のおしゃべり,身に覚えがないとはいえない。しかし前に立って話す立場になってみると,私語がいかにセンセーの意欲を削ぐものかがわかる。 受講者が100名近くいる講義では, 4時限目ということもあって疲れがピークに達しているのか,一向にワイワイガヤガヤがおさまらない。「(手を振りながら)はい,授業はじめますよ。」…効果なし。「そろそろおしゃべりやめてくださいね(ニッコリ)。」…効果なし。何も言わず 待つ作戦も,おしゃべりに夢中で教師が待っていることにすら気付かない学生が多く,有効策ではなかった。かくして,授業を開始するまでに,相当なエネルギーを消耗することになってしまう。 何か打開策はないか考えていたところ,同業者から聞いた話を思い出した。 「○○さん,ちょっと声大きいよ。」と大講義で言ったところ,学生はピタリと話をやめ,驚きの表情を浮かべたというのである。「学生はセンセーの名前を知っていても,センセーは知らない。 授業は,大勢の匿名学生に向かって,センセーが一方的に話すもの。という考えがあったのだろう。「授業中は透明人間」,こうした意識が私語を生み出しているのかもしれない。 まずは学生一人ひとりの顔をしっかり見て,その気持ちに「寄り添って」みたいと思う。しばらくは,短大生との付き合い方を模索する日々になりそうだ。 子育てに関するコラム、これからもお届けいたします。お楽しみに |