「電力の鬼」松永安左エ門氏の電力事業構想が実現していれば、計画停電はなかった。 [2011年03月30日(Wed)]
ここ数日間は温暖な気候となり、私も普段は着用していたコートもはずす機会が増えてきました。首都圏ではおなじみとなった計画停電も、暖房の使用量が少なくなったことと、国民一致して節電に取り組んでいることなどから、ここ数日間は最小限にとどまっている様子です。
しかしながら、これから夏場にかけて冷房の需要が高まると、現時点の3800万キロワットという供給量では到底間に合わないことが明らかで、冷房の利かない部屋、冷房の利かない電車に乗ることになりそうな状況になっています。私たちは、なんとか阻止をすべく、アイデアを絞っているのですが、また何らかの形で発表できるよう、勉強をしている所です。 さて、今回のテーマは、電力に関係する方はもちろん、日本経済界にとって知る人ぞ知る、経済界の大物についてです。画像をご覧いただきますと、文字通り「鬼」のような形相をしている老人でありますが、名前もインパクトがある「松永安左エ門」という方であります。この方は現代には「電力の鬼」と称されているのですが、それは、戦後の復興期、当時のGHQの主導で電力のあり方を審議していた中で、たった一人「電力の民営化」を主張し、それを実現してしまったその実行力を形容したもののようです。 元々、松永翁は、福沢諭吉先生の慶應義塾にて学び、いったんは故郷の壱岐で家業を継ぎますが、やがて再び上京し、福沢氏の養子でもある福沢桃介氏とともに、明治大正期の日本経済のカリスマとして名を成していきます。当初は、さまざまな事業に手を出しますが、やがて電力事業に天命を見出し、国家の産業の基礎としての使命を果たすために邁進していきます。 当時は、電力そのものが高価なもので、電力を作る事業(製造)とそれを配電する事業(販売)とが、分けられており、しかもそれぞれの配電業者が同一地域で過当競争をしている時代でありました。松永氏は、やり手でもありましたので、非常に過酷な競争をライバル社に強いて勝ち抜いていきますが、最後は、政府の主導で大合併を行うことになります。しかしながら、先ほど述べましたが、電力そのものの国家としてどのような意義があるのかを明確に知っていました。そして、戦後の混乱期にもやはり松永翁しか、まとめることのできる人間はいない、という事では一致していたようです。 さて、今回の東日本大震災の影響で、現在首都圏では計画停電の可能性に1日1日が、一喜一憂で過ぎていきますが、実は松永氏の提唱していた構想が実現していれば、おそらくこのような計画停電はなくなっていた事を知り、おそらく翁は大変悔しい想いをされているのではないか、と思い、今回アップいたしました。 それが、「超電力連係構想」であります。実は、すでに指摘がありますとおり、日本では東西に電力の周波数が異なっています。ちょうど静岡県と愛知県の境目、長野県以西などの境目になっている所で、東側が50ヘルツ、西側が60ヘルツの周波数を使用しています。恥ずかしいことにこのように書いておりますが、実際にこの周波数の違いが明確には理解おりませんが、簡単にいうと、東西で電気が実質的に遮断されている状態になっていると言ってよいかと思います。確か、100キロワット程度であれば、融通が可能との事でありましたが、現在の状況では、焼け石に水に近い状態と言ってよいでしょう。もし、これが東西同じ周波数であれば、もちろん関西から電気を融通することが可能となり、今回のような計画停電は起きなかったと思われます。 この周波数を60ヘルツに統一し、全国端から端まで電力が通ることを構想したのが、この松永翁でありました。ネットで確認したところ、元々、アメリカで掲げられた構想を翻訳して大正12年に一度、公にしております。さらに、戦後復興期にも再度、この構想を掲げましたが、残念ながら実現にいたることなく、現代になっています。 察するに、この構想の肝は「60ヘルツに統一する」と言う事で、従来50ヘルツの周波数を使用していた業者にとっては、費用負担が大きくなってしまうという事でありました。この負担をどうするか、また、元々50ヘルツから変える側からすると、プライドからしてなかなか受け入れがたいところもあったのかもしれません。 こういう時こそ、国家としての強制力を働かせてもよいのではないかと思いました。それは、この電力事業は、なんなる民営化というだけでは済まない所もあるからです。そして、今回の件が証明するように安全保障の面からしても、停電は本当に望ましいものではありません。やはり、松永翁存命の時に手を付けておくべき事業だったのかもしれません。 その他に、関東大震災の折に「東京から電柱を一掃し、ロンドンのような地下配電方式にしてはどうか」と提案しています。こうしたエピソードを見てもこの方のスケールの大きさを知ることができます。本当に現代の日本、特にまさに現時点の国難の際に、どのようなアドバイスをいただけるものか、本当にお伺いしてみたくなるほどの方です。 今日、あるネット討論番組を見ていたら、評論家が「今回の福島原発事故により、原発については、明らかに推進出来なくなった」とおそらく反原発の立場からの意見がありました。こうした感性的な議論が今後もでてくると思われます。ここで再度強調したいのですが、今まで、日本の電力の基礎的な部分の担ってきたのは、やはり原子力であり、それがどれだけの少ないエネルギーで効率的な電力供給に至ったのか、確認された方がよいのではないかと思います。 現在の首都圏の電力は火力発電を中心となっていると思いますが、これらの発電手段は、定期的なメンテナンスが必要で、四六時中稼働することは非常に難しいと言われています。そうした中、さらに計画停電により経済活動が停滞しかねない中での、原発についての否定的な見解について、そうした意志表明をすることでできるのも原子力発電による電力供給があるからで、現実的ではないと思います。 もし、松永翁がいれば、そうした方にたいして「鬼」の形相で一喝をされている事と思います。とにもかくにも、少なくとも、この夏までに、計画停電をなんとか食い止めるアイデアが求められると思います。私自身も、時間がない中ではありますが、勉強して、まとまれば発表したいと思います。 |